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深夜のUberとアメリカの移民の人生

最近、残業が多く、毎晩Uberで帰宅しています。Uberが登場したのは、ほんの数年前のことです。それまでは、いつ来るか分からないタクシーを道で待っていましたが、Uberの登場でそんな必要もなくなり、Uberでは呼んだ車の到着時間が分かるので(だいたい5分以内でやって来ます)、退社する直前に呼んで、パソコンを閉じてビルの下に着いた頃に車が到着してくれるので、効率が良いです。

タクシーがあまり走っていないような場所はもちろん、週末や天気の悪い日のようにタクシーがなかなかつかまらない時でも、Uberは自分が指定した場所に確実に来てくれるので便利です。そんなことから、イエローキャブが通っているような場所でも、退社時間の数分前にUberを呼んでささっと家に帰っています。

Uberはボンネットに小さなUのマークがある以外は、普通の自家用車のような外見です。

先日乗ったUberの運転手さんは、インド人。家に着くまでの短い間に話をしたのですが、数ヶ月前にイエローキャブからUberに鞍替えしたそうです。イエローキャブの場合、運転をしながら自分でお客さんを探さないといけませんが、Uberの場合、GPS機能で近くのお客さんと自動的にマッチングをしてくれるので、同じ時間を働いても乗せるお客さんの数はだいぶ増えたそうです。

せっかくの機会なので、普段疑問に思っていることを聞いてみました。

最近、Uberを呼ぶと9割ぐらいの確率でToyotaの車がやって来ます。偶然とは思えない確率の高さでいつも不思議に思っていたのですが、車を持っていない運転手は、Uberからではなく、自分でリース会社から車を借りているそうで、Toyotaの車は丈夫でトラブルも少ないので人気があるようです。

アメリカで働くためのビザはどうしているのでしょうか。移民問題に詳しいジャーナリストの友人も以前同じことを思って調べたそうですが、もう何十年も前に、インドやパキスタンといった当時はかなり経済状態が悪かった一定の国の人たちに、アメリカがビザをどんどん出していたようで、その時代に渡ってイエローキャブの運転手になったそうです。自国での生活に困窮して、アメリカへ渡った人たち。私が話したUberの運転手は10年前に渡米したそうですが、その頃はもうビザもだいぶ厳しかった時代です。なんと、難民ビザでやって来て、最近までイエローキャブの運転手をやっていたそうです、

夕方6時から明け方6時までというハードな仕事。タクシーの運転手は、色々なお客さんと関わる上、道路事情等知っておくべきことも多く、ニューヨークでの仕事を通して、肌でニューヨークの街で暮らすということを感じているそうです。

難民ビザという日本人には馴染みのないビザ。難民には、通常のビザにはない制限もあるはずです。それでも、自国を離れて(捨てて)、アメリカへやって来るという覚悟は、普通のビザの人には到底計り知れない相当なものだと思います。ただ、正直なところ、このアメリカという国では、タクシーの運転手をやっているだけでは、絶対に平均的な暮らしはできません。何億という巨額の報酬をもらっている人がいる一方で、働いても働いても豊かになれない人もいるアメリカ。この国の貧富の差の大きさを目の当たりにするたびに、考えさせられることが多いです。


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