NYで驚きの体験

ガイドブックが書かないNYの闇

少し恐ろしいタイトルをつけてしまいましたが、ここ数年、ほぼ毎日のように感じていることがあります。それは、マンハッタンのホームレスの多さです。

私がまだ学生の頃、東京の新宿や池袋のような大きな駅でホームレスを見かけたことがありますが、自己主張が少ない静かな国民性の故、ホームレスの人たちがアグレッシブにお金を要求してくることもありませんし、日本のホームレスの人たちは、いつも半ば誰からも見られないように背を向けて寝ていることが多いイメージです。

それに対して、自分の要求を伝えることが国民性とも言えるアメリカでは、ホームレスの人たちもそのご多分に漏れません。
グランドセントラルやタイムズスクエアといった人通りの多いエリアでは、あちこちにホームレスの人たちがいて、恥じることもなく通行人と対峙し、ダンボールに思い思いの独創的なメッセージを書いて助けを乞うているケースがあまりにも多いことは、NY生活が長くなった今でもまだ慣れません。

メッセージはどれもユニークで、「今日が誕生日なので、家に帰るまでの交通費$45ドルを恵んでください。」と言ったものから、「こんなことをしているなんて何て恥さらしなんだ。ここから出るために助けてください。」、「誰も頼る人がいないので救いの手を。」というようなもの、さらには猫や子供を連れていたり、赤ちゃんを身ごもっているカップルだったり、思わずどうしてこんな状態になってしまったのかしら、と驚きの目で見てしまう一方で、どんな人か分からないから目を合わせないように急いで前を立ち去ろう、と少し早歩きになってしまう、ということを私は毎日のように繰り返しています。

こうした彼らを見ていると、なぜこんなことになってしまったのか、彼らのために政府や自治体はどういった手助けをしているのか、彼らはどのようにして今後このどん底の状態から抜け出すのか、といった素朴な疑問が湧き上がってくるのですが、その一方で、移民であるために就労ビザを獲得するのが大変で仕事探しに難航した経験がある私は、彼らはアメリカ人でビザにも何も困らずに今すぐマクドナルド等どこでも働けるのに、なぜそういったことをせずに、ただただ道端で物乞いをしているのだろう、といった彼らに対して厳しい気持ちも浮き沈みします。

NYのホームレスの多さは他国の人からは異常な状態に映るようで、あるイタリア人は、自分の国でこんな状態は見たことないし、ホームレスの人たちがゴミ箱をあさっている姿を見てショックだったと言います。こうした光景に見慣れているニューヨーク出身の友人ですら、最近はひどい状況、と話していました。

そのニューヨーク出身の友人によると、彼らの大半は、何らかの原因で精神的におかしくなってしまっていて、薬に手を染めてたりアルコール依存症になってしまって、手に負えなくなってしまった家族によって家から追い出されてしまい、こんな状態になってしまったようです。
その他、手や足を無くしているホームレスの人も少なくはなく、そうした人たちは、ベトナムやイラク、アフガニスタンへと参戦し、戻った後PTSDになってしまったりと正常な社会生活を送ることが困難になってしまい、路上生活者になってしまったようです。退役軍人は飛行機でも優先搭乗ができたりするので、国から十分な保障をもらっているのかと思っていましたが、そういうわけでもないようで、気の毒です。

ただ、人それぞれホームレスになってしまった事情は異なるので、自分ではどうしようもない不幸が重なってそうなってしまった人にはお金を少し恵んであげたりしたいと思う反面、外見からはどの人がそうなのかを判断することはできず、またあまりにもホームレスの数が多すぎてきりがありません。
友人によると、ホームレスの多くは、精神的におかしくなってしまって薬やアルコール漬けなので、たとえお金を寄付しても、また薬やアルコールを買うだけだから、お金は絶対に恵んではいけず、持っている食べ物をあげたりしたほうがよほど彼らの将来のためになるようです。

たまに、食べかけの食べ物や飲みかけの飲み物をホームレスの人に渡している人を見かけますが、彼らがあえてお金を渡さないのには、そういった事情があることを最近知りました。

1日平均5〜10人もホームレスを見かけるという普通ではないような状態が日常茶飯事となってしまっているので、自分ではどうすることもできないものの、この問題から目をそむけることもできません。


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