NYから日本を考える

渡米して気づいたアメリカにはない、ある考え方

日本では、お取り寄せ文化が発達していて、実際に旅行をせず、自宅にいながらにして、地方の特産品を手軽に入手することができます。その土地独特の旬のものを食べられるのは、何よりの楽しみではないかと思います。

そんな当たり前だと思っていたことが実はそうではないと気づいたのは、渡米してしばらく経ってからのことでした。

残念ながらアメリカには、日本のお取り寄せ文化の考え方は、ありません。どうしてそうなのか、私なりに考えてみました。

地方の特産物が限定されている

アメリカで観光地としても名の通った都市、ニューヨーク、ボストン、ロスアンジェルス、ラスベガスといったところは、人を惹きつけるだけの魅力に溢れ、都市としての個性がありますが、そうではない内陸部はどうでしょうか。

私は出張で、普通、観光では行かないような田舎の州もいくつか行ったことがありますが、そうした州は、どこにいるのか区別がつかないぐらいに、町のつくりが似通っています。広い道路、点在するファーストフード店、広大な駐車場を持つ大型ウォールマート、大規模なショッピングモール・・・。

アメリカの田舎は、金太郎飴のようにどこに行っても同じなのです(英語では、cookie-cutterと言います)。そのため、その地域でしかない手に入らないというものは圧倒的に少ないです。

クール宅急便がない

アメリカのインフラはあらゆる意味で日本より劣っていますが、こんなにオンラインショッピングが発達している国なのに、クール宅急便は存在しません。そのため、地方の鮮度ある食品を買うことは、物理的に不可能です。

食へのこだわり度が相対的に低い

アメリカに来てから、日本の食べ物の質がどれだけ高いかということを再認識しました。

例えば、日本では、コンビニのヨーグルト一つとっても、150円ぐらいととても安いのに、丁寧に作られています。これは、かつて世界を席巻した日本の電化製品がそうであるように、細部までこだわり抜いた日本のモノ作りの真髄が、あらゆる場面に見られることによるからだと思います。それに対して、アメリカのヨーグルトは大味だし、正直なところ、私の口に完全に合うものは、8年経った今でも見つかっていません。たぶん存在しないのだと思います。

こうした小さな例にも見られるように、アメリカ人の味覚は、日本人よりも大味好みで、一部の美食家しか繊細な味は分かりません。日本人なら普通に分かるだしの「うまみ」という感覚も、アメリカ人にはないようです。(日本の影響で、umamiという単語は近年、英語にもなっていて、ニューヨークにはumami burgerというおしゃれなハンバーガー屋さんもありますが、ここではumamiは人口調味料によって作られています。)
このように、アメリカでは、残念ながら、地方独特の新鮮な食べ物を自宅で食べるという文化がないため、メイン州のロブスターやアラスカのサーモンが食べたいと思ったら、自分で現地まで調達に行かなければいけません。(大手スーパーでは規格化された商品も売っていますが、それらは大量生産されたもので、日本のように中小のお店独自の商品を手に入れることはできません。)

ただ、一つの国の中で9つものタイムゾーンがある広大なアメリカでは、面白いことに、特定の地域にしかないファーストフード店やチェーン店も存在します。ロスアンジェルスのIn-N-Out Burgerがその代表格でしょう。そうした、その地限定の食べ物をチェックするのは、旅行の楽しみだと思います。


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