NYから世界を考える

男目線のニューヨークと女目線のニューヨーク

不思議なことに、ニューヨークには無数の顔があります。東京のような大都市の場合、どこの国から来た観光客も、きれい、ご飯が美味しい、地下鉄の時刻が正確、店員さんが親切といったような形で、皆が似たような印象を持つのではないかと思うのですが、ニューヨークの場合は、面白いことに、人によって全然違った印象を持っています。私がこのブログに綴っているニューヨークの物語は、私が実際に見聞きしたことや体験したことに基づいていて、完全に私目線のニューヨークです。

この街にもう8年以上暮らしているので、普通に日常生活で起こりうるようなニューヨークならではの出来事はほぼ経験したつもりでいましたが、実はまだまだ知らないニューヨークの顔があることに、最近、友達との会話で気が付きました。

今日の職場での夜ご飯は、同僚が選んだギリシア料理屋さんからのデリバリー。

30代半ばぐらいのカナダ人の男性は、お店の外で軽くタバコを吸っていると(ニューヨークは室内は完全に禁煙なので、タバコは外でしか吸えません。)、どこからともなく人が寄って来て、タバコを譲ってくれないかと頼まれることがあまりに多くて、辟易しているそうです。周りにうろうろしているような人影はないのに、タバコに火を付けたとたんに、人が寄ってくるのにはビックリすると話していました。アメリカ人の喫煙率は、日本人に比べてはるかに低いです。タバコの健康被害を謳ったテレビのコマーシャル等の影響もあって、タバコを吸っていることを見かけることも少ないです。また、タバコ税もかなり高く、普通のタバコ1箱が1500円ぐらいするので、経済的にも吸い続けるのは難しいのかもしれません。

あるイタリア人男性は、マンハッタンの繁華街で、ドラッグディーラーから声をかけられることが多く、驚いたそうです。ニューヨークの街角をよく観察すると、お店の外で所在なさげに座っているおじさんが割といるのですが、こうした人たちはドラッグディーラーで、ふと目が合ってしまった暁には、声をかけてくるそうです。ニューヨークは場所柄、特に繁華街は私服警官も多いですし、人通りもかなりあるので、そんな街中で声をかけて、果たしてどうやって取引をするのかは謎ですが、そんなことを堂々と行っている人がいることに驚きました。また、私は一度もそう言ったことで声をかけられたことはないので、男性全般、女性の中でも薬物に手を染めていそうな人にだけ声をかけているのかもしれません。

これらはネガティブな内容ですが、ポジティブな内容に目を向けると、女性であればアメリカで日々経験するようなことを、男性は全然経験したことがないことを知って驚いたこともあります。

それは、目が合った男性からの微笑みです。アメリカでは、街中や車内でたまたま相手と目が合った時に、相手が男性であれば、かなりの確率で、相手は一瞬、微笑んでくれるのです。そんな時は、私もそっと微笑み返しています。でも、どうやら、これは、男性から別の男性には行われていないようです。と知ったのは、男性と話していて、そんな場面に遭遇したことないよ、と言われたことがきっかけでした。

旅行で来ていた時には華やかな世界しか見えなかったけれど、こちらに移ってルームメートの暮らしぶりを見ているうちに、図らずもダークなニューヨークを知ってしまったという友人もいます。

世界の縮図とも言えるニューヨークには色々な人が暮らしているので、どういった角度からこの街を見るのか、さらには、ニューヨークのどういった層の人と接触しているか、また、比較対象は自分の母国になるので、母国と比べてという視点で見ると、人によってニューヨークの捉え方は大きく異なるようで、ニューヨークの奥の深さを再認識しました。


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