いきなりステーキのNYでの挑戦

驚くような出店攻勢をかけ、日本ではいまや知らない人はいないほどの有名店に駆け上がったいきなりステーキ。
銀座に1号店がオープンしたのは2013年のこと。私が渡米した2009年にはまだ店舗がなかったため、私は2年ほど前までこのお店のことを全く知りませんでした。

2017年に入ってすぐにNYにお店をオープン。それからまだ1年半しか経っていませんが、既にマンハッタンに5店舗ほどお店を開きました。

いきなりステーキと言えば誰もがまず思い浮かべるのは、「立ち食い」。アメリカではステーキは高級食。家族や親族皆で集まった時やクライアントとの会食、誕生日等、特別な時に高級なステーキ店を予約し、おしゃれをして、大きなテーブルを囲んで美味しいワインとともに楽しむステーキ文化が定着したアメリカで、スピード重視の立ち食いステーキが果たしてどこまで受け入れられるのかと、NYに住む多くの日本人が注目しました。

そんないきなりステーキに、今週初めてランチに行きました。
私は日本のいきなりステーキに行ったことがないので、日本のお店との比較はできませんが、NYの店舗に行ってみて感じたことを書いてみたいと思います。

最近の日本のレストランのNY進出には目を見張るものがあります。早くにNYに進出して安定の実力を誇る一風堂を筆頭に、仕切りがあるユニークなラーメン屋として有名な一蘭、日本のあちこちで見かける大戸屋、銀座のお寿司屋さんの小野寺、焼肉のふたご、大きな器で出てくるうどん屋さんのつるとんたん、ケーキが人気のカフェHARBSとざっと挙げただけでもこれだけのお店が、この5年ぐらいの間にNYに進出しています。お店によっては、事業が成功して2店舗目を出したところも。

私は個人的に、日本のお店がNYに進出する際に一番重要なことは、日本で成功したやり方をそのまま持ち込むのではなく、NYの市場とニューヨーカーの好みに合わせて絶妙にアレンジすることだと思っています。

その際に鍵となるのが「高級感」。
家賃も人件費も高いニューヨークでレストランをビジネスとして成功させるためには、味が良いことはもちろんですが、日本と比べてはるかに多くかかる経費を回収してさらには利益を出すために、それなりの値段で提供しても、二度、三度と足を運んでくれるお客さんを獲得するこがとても重要です。
その際に重要なことは、それなりの値段に見合った満足度。お客さんは、味だけでなく、そこの空間にいる時間も楽しんでいるので、雰囲気も無視できません。
ニューヨークで成功している日本のレストランは、いずれも、高級感の演出がとても上手いです。

例えば、大戸屋。日本ではビルの2階にひっそりと佇むイメージですが、NYではマンハッタンの一等地に大きなお店を構え、日本を彷彿とさせながらもモダンな内装。とても雰囲気が良く、夜はデート、昼はビジネスランチに使われるようなお店で、日本の安いイメージは全くありません。実際、ランチセットも25ドル以上と気軽に通える値段ではありません。

その点で考えると、いきなりステーキの店舗は、早くオープンさせるために急いで作ったのか、日本の店舗のイメージをそのまま持ってきたのか、店内のテーブルや椅子の木の材質等、垢抜けない感じが、私は気になりました。

オープン当初は、立ち食いのスペースばかりでしたが、このスタイルは全然人気がなく、イスがある席を増やしたことは聞いていたのですが、私が行った店舗は、全席イスがありました。

また、以前は日本と同じ値段設定だったようですが、牛肉の消費量が多いアメリカは、牛肉の値段が日本よりはるかに安いです。それを受けてか、お客さんを増やすためにも値下げが必要と判断したのか、最近大幅な値下げをしたようで、ランチセット(ステーキ、サラダ、ごはん、スープ)がだいたい20−25ドルぐらいでした。
そして、味は予想以上に素晴らしかったです。

NYというとステーキというイメージが定着しているからか、NYに友人が遊びに来る度に有名と言われているNYの高級ステーキ屋さんはいくつも行きましたが、正直なところ、NYのステーキは高いといつも思っていました。お肉だけで50ドルぐらいしてしまうのです。
そんなNYのステーキ事情を考えると、20−25ドルで、NYの高級ステーキ店と遜色ない品質のステーキが食べられることはすごいことだと思いました。

また、衛生管理もしっかりしていて、キッチンにいる店員さんたちがプラスチックのマスクをしていたことにはびっくり。こんなお店はNYで見たことがありません。
また、高級店では、キッチンを望むカウンター席があるお店(特に和食屋さんを中心に)はありますが、いきなりステーキのような庶民派のお店で、キッチンがプラスチックの仕切りで中まで見えるようになっているのは、衛生管理がしっかりしている証拠で、すばらしいことだと思いました。

ただ、最終的にいきなりステーキが今後NYで躍進するかどうかという点で考えると、正直なところ、かなり厳しいと思います。あと1年ビジネスが持てば良い方かもしれません。
それは、NYの人種の中でもメジャーな白人層の心をほとんど掴んでいないように見えるからです。
小さな店舗でも、それなりにかかっている経費を回収しなければいけないことを考えると、主流派の白人に認めてもらう必要がありますが、いきなりステーキのNYでの知名度はまだとても低いです。ステーキは特別な日におしゃれなお店で食べる高級食と捉えている白人たちのステーキへの概念を覆すことが果たしてできるのでしょうか。

少し辛口の記事になってしまいましたが、日本のものがどんどんNYに進出してくることは同じ日本人としてとても嬉しいことで、私はそうしたビジネスを心から応援していますが、所変わればやり方が大きく変わるように、日本のビジネスが成功するためには、入念な市場リサーチが必要なことを痛感しています。

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