アメリカにはない日本のある考え方

私が渡米してから数年後、日本で「忖度」という言葉が広まり、2017年には流行語にもなりました。SUSHI、RAMEN、TSUNAMIなど、英語に存在しない日本の単語は、ローマ字でそのまま英語になります。近年では、MATCHA、MOCHIなどもアメリカ人が普通に理解してくれるようになりました。トヨタ自動車が生み出したKAIZENも、ビジネス英語になっています。

撮影も再開が始まったニューヨーク。よく見るとスタッフの多くがfriendsのTシャツを着用!

その一方で、日本の社会では当然のような考え方だったり、古いやり方だけど仕方ない、と思われているようなやり方で、アメリカでは通じないものもあり、それらは、英単語になることはなく、逆に、日本企業がアメリカでビジネスを行うときの壁になったり、言葉の壁以上に相手との距離を広げてしまう原因となったりと、アメリカ人からの信頼を失いかねないことになりかねません。

近所で見かけたミニカー。こんな車でアメリカの田舎を移動したら楽しそうです。

例えば、年功序列、終身雇用、根回しなどはその代表格です。そして、「忖度」も間違いなく、アメリカにはない考え方です。

相手の気持ちをはかることに長けている日本の文化は、ある意味海外の人には衝撃で、「おもてなし」は日本が世界へ誇る文化だと思います。忖度もおもてなしも相手の気持ちや状況を推しはかる、という意味では同じかもしれませんが、本来そうあるべきでないのに、しがらみなどから状況を勘案する「忖度」は、アメリカ人には全く理解できないことでしょう。

ニューヨークからニュースを見ている限りだと、日本でのコロナの対策でも、忖度があちこちで垣間見れます。

「強制」ができないから「要請」で法的拘束力がなかったり、コロナの感染が拡大しそうな夜のお店やパチンコ屋に営業休止を命令できなかったり。ビジネスが損害を受けてしまう、そうしたお店は闇組織と結びついていて営業休止を言い渡せない、など、理由は様々でしょうが、コロナの感染源を断つには、こうした事業は真っ先に営業休止にすべきではないかと思います。

ニューヨークは、3月22日の夜8時から強制ロックダウンが始まりました。いわゆる外出規制です。州知事命令として発令され、コロナの中で最低限必要とされるessential business(病院、警察、公共交通機関、スーパー、電力会社、郵便局など)以外の人は、完全に在宅勤務が命じられました。また、飲食業については、デリバリーとテイクアウト以外は一切禁止。

スタバも集客に苦戦。大きなサインを掲げていますが、観光客の多いエリアは人が依然少ないので、大変です。家賃分を稼ぐために開けているのかもしれませんが、従業員のお給料分赤字が拡大しているようで気の毒です。

ニューヨークで飲食業に従事している人は、思っている以上に多いです。観光客も相当多いですし、マンハッタンはオフィスも多いので、そうした人たちの出社前のコーヒーやクロワッサン、ランチ、そしておやつの時間のコーヒー需要だけで成り立っていて、ウォール街のような場所には、早朝に開き、4時には閉まるようなカフェもあります。その一方で、ミシュランの星の常連で、美食家の人たちのディナー需要に応えるために、夜だけの営業の敷居の高いお店も多くあるのがニューヨーク。オフィスワーカーが全員「強制的に」自宅勤務となったことから、オフィスワーカーを対象にしていたカフェなどは大打撃。そして、もともと、デリバリーなどはほぼやらず、レストランでの特別なディナー体験に注力していた高級レストランは、打つ手がなく、一時休業を余儀なくされました。さらに、日本と同様に数が多い美容室は無期限強制休業がおよそ3ヶ月続きました。お客さんとの接触が多い美容室は、なかなか再開の許可がおりませんでした。

数週間前に撮影。おしゃれな路面店が並び、海外ブランド店も多いミートパッキング地区もガラガラ。小売店もオンライン以外はしばらく営業休止だったため、私が訪れた時はこのような状況でした。

こうした大胆な施策が可能であったのは、アメリカ人に「忖度」という考えがないからだと思います。このビジネスを強制営業休止としたら、XXに影響があるのでやめておこう、とはならないのです。「コロナ感染者を減らす」という目標達成のためには、どのような施策が今必要か、という視点で政策が立案され、このような大胆な措置が取られました。

もちろん、これにより、大打撃を受けたのは、経営者や従業員。でも、そうした人たちを救うための補助金や失業保険の上乗せ、という施策が同時に発表され、そうした施策は、民間の意見を反映して、少しずつ改正されています。補助金だけでは足りずに廃業に追い込まれた会社も多いのが事実ですが、それでも、「忖度」よりも、現在必要な対応を曲げない目標達成型なのがアメリカ流。

コロナ対策では、お国柄が如実に表れているように感じます。世界中で早く平和な日々が訪れることを願ってやみません。

アメリカにはない日本のある考え方” への4件のフィードバック

  1. はじめまして♪とても面白い記事だと思いました!以前NYから旅行に来た友人がドアの前で女性と鉢合わせした時に女性が「すみません、すみません」と言っていたのが記憶に残っていると話してました。その時に私は、その「すみません」には「忖度」や「慮る」といった意味が含まれていると教えましたが、確かに「おもてなし」も「忖度」ですね^ ^ウイルス対応にお国柄が出ているという考え方はとても納得しました!

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    1. はじめまして!コメント嬉しいです^ ^ 「すみません」の連呼も日本特有だと思います。アメリカでは自分が悪かった時しか謝らないです(日本だと同僚のミスを他の人が被ったりもしますが、アメリカにはそれもありません)。
      ウイルス対策は、アメリカの場合、州によっても大きく違って、ニューヨークは一番というぐらいに厳格ですが、共和党支持者の多い州ではマスク義務でなかったり。所変われば色々違って面白いですよね。

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  2. 色々教えていただきありがとうございます!とても興味深いです^ ^
    ウイルス対策が州によって違うのは知りませんでした!まだまだ英語もNYのことも知らないことだらけなので、こちらのブログを参考に勉強します♪

    いいね: 1人

    1. アメリカは合衆国で50州の寄せ集めで、州の権限がとても強いです。コロナに限らず、車が赤信号で右折していいか否かから同性愛婚の可否まで、州によって違います!

      過去記事も、いつ読んでも楽しんでいただけるように、できるだけ陳腐化しない内容にしていますので、ぜひお楽しみいただけたら嬉しいです^ ^

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