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それぞれの人生 - Quality of Life -

NYに来て間もない頃、NYの辣腕弁護士として知られる方が、「日本の田舎とアメリカの田舎は全然違うよ。アメリカは本当に広い国で、アメリカの田舎を見ずしてアメリカを知っていると語ったら間違いだよ。」と話していました。

当時、NYを含めて、旅行でアメリカ国内の大都市しか行ったことがなかった私には、その深い意味が分かりませんでしたが、出張で、ウィスコンシンの空港から牧場ばかりを車で1時間も走った奥地や、ニューヨーク州とボストンがあるマンチェスター州との間に大きく横たわるコネチカット州の真ん中あたり、ニューヨークからは車で3時間はかかる辺鄙なところに足を運ぶ機会を持ち、その言葉の意味を実感しています。

国土の広いアメリカは、よく知られている大都市以外はすべて田舎と言っても過言ではないぐらいに、大都市との対照的な光景が広がっています。
大都市でも、一歩そこを踏み出すと、車なしではどこにも行けない別世界です。

アメリカの田舎が日本と大きく異なるのは、それぞれの地方独特の風情がないことだと思います。
日本であれば、その地方の特産品があり、その地に長く根ざしたお寺や寺院、史跡があり、温泉があり、その地方独特の風習があり、どこをとっても他と同じということはありません。
その一方で、アメリカの田舎は、英語でいうと"cookie cut"(クッキーを切ると断面はどこも同じであることから、特に大きな特徴がなく、みな同じであることの表現として使われています。)、どこに行っても、全く同じ光景が広がっています。

それは、広い道幅の道路が果てしなく続き、幹線道路沿いにぽつぽつと個人経営のお店が立ち、数キロごとに、巨大なショッピングモールが広がっている世界。ショッピングモールの端から端まで行くだけでも、歩いたら5分以上はかかるほどの広さです。そして、アメリカといえばファーストフードチェーン。アメリカは広いので、一部の地域でしか展開していないファーストフードやファミレスもありますが、マック、サブウェイ、ダンキンドーナツといった全国規模のものは、どこに行っても見かけます。

もちろん道を歩く人はいず、街頭もまばらなので、こうした地域の夜は早々に更けていきます。車社会なので、外でお酒をたくさん飲むということもないので、皆仕事が終わると一目散に帰宅し、家でのんびり過ごしているようです。

夜が早い分、朝が早く、毎日7時ぐらいから仕事を開始し、4時にはあがる人もいれば、そうでなくても8時から8時半にはみなオフィスにいて、5時半にはオフィスは真っ暗というのはごくごく普通の光景です。
出張先でアメリカ人の行動を観察していると、仕事後は、子供が所属する地元の野球チームの試合を見に行ったり、ヨガクラスに行ったり、ジムで汗を流したり、家でゆっくり映画やドラマ、スポーツ観戦といった過ごし方が一般的なようです。

都会育ちで都会が大好きな私には、そんなアメリカの田舎生活は全く合わず、ごみごみしているものの、ニューヨークに帰ってくるといつもほっとします。

今回一緒に出張に行っていたのは、陽気なジャマイカ人の後輩。ジャマイカのあまり開発が進んでいないところで生まれ育ったそうで、今回の出張先で、「この辺けっこう自然があってのんびりしていて、住むのもいいかもねー。」なんて話していたので、私がびっくりして、「えっ、こんな何もないところに住むなんてありえないよ!」と言ったら、「えっ、そうかな~。でも、きみは都会っ子だからね。」と笑っていました。(なお、「何もないところ」は、英語では'in the middle of nowhere" 面白い表現で気に入っています。)

ニューヨークは少しずつ秋が深まっています

ところで、アメリカ人が好きな言葉の一つに、"Quality of Life"があります。これは、自分なりに、「質の高い満足いく人生」という意味です。
そのため、人によって定義も様々。アメリカの地方出張に行くたびに、いろいろな意味でニューヨークとの違いに愕然とし、そしていろいろな形のQuality of Lifeがあることを再認識します。


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