昨夜の第82回アカデミー賞の結果は、一晩明けてもテレビや新聞で持ちきりです。
300億円をつぎこみ、現時点で2000億円を超える興行収入を記録している3D映画「アバター」と12億円の制作費でぎりぎりの15億円を回収したイラク戦争をテーマにした「ハート・ロッカー」の対決。
それは、「アバター」のジェームズ・キャメロン監督と「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督の元夫婦対決でもありました。
結果は、「ハート・ロッカー」の圧勝。
女性初の監督賞をはじめとした6冠を獲得しました。一方、「アバター」は3冠。
お金をかけて、多くの人を呼び込んだ超大作よりも、映画本来のストーリーやメッセージ性に支持が集まった結果となりました。
そのアカデミー賞を影で支えていたのは、国際的に名高いプライスウォーターハウスクーパースの会計士。
華やかな表舞台の裏で行われる様々な駆け引き。そうした誘惑に屈せず、発表当日まで秘密を厳格に守り、正確に票をカウントするという重大任務を、同会計事務所が76年間にわたりつとめています。
過去82回開催のうち76回。
その間に数えた票の数は45万票以上。
その間に作成した受賞者の名前を入れた封筒は2500通以上(1941年の封筒の制度導入以降)
候補者の票の集計に要した日数は7日。
最終票の集計に要した日数は3日。
毎年手集計にかかる時間はのべ1700時間。
これらをミスなく、そして最も重要な秘密を絶対に守る、という任務を今回も無事に終えました。
アメリカのテレビでは、何度もこの票はプライスウォーターハウスがカウントしましたと報じていましたが、会計士がこうした場面でも活躍できるのはとても面白いです。また、秘密を守るという重要任務の適任者として、会計士が選ばれるというのは、アメリカで社会的信用が高いことのあらわれだとも思いました。
この出来事は、日本でも最近報道されていたようです。
次回は私が一番注目していたアカデミー賞候補作品を紹介したいと思います。