夢いっぱいにスタートしたアメリカ生活で、海外組が最初に直面する試練といえば、
・携帯電話の契約ができない
・銀行口座が開けない
・クレジットカードが作れない
という3重苦ではないかと思います。
どれも、アメリカ生活を送る上で必須のアイテムですが、アメリカはそう簡単に海外から来た人たちに門戸を開いてくれません。
そこには、アメリカ生活を送る上で知っておかなければならない、アメリカ社会が重視する、ある価値観が隠れています。
それは、「信用力」
日本では、きちんとした身分証明書を持っていて、自宅の住所を示すことができれば、それなりに「きちんと」した人であるという暗黙の解釈が存在しますが、統計上把握できていない不法移民も多く抱えるような国アメリカでは、たとえパスポートがあり、定住している場所があっても、その人自身が、社会的に信用できるとは全く言えないのです!
なぜなら、身分証や自宅の住所といった個人情報からは、請求書をきちんと期日までに支払ってくれるような「きちんと」した人であるということが証明できないからです。
請求書を期日までに支払うなんて、当然すぎることですが、色々な人が暮らすアメリカでは、こんな日本では当たり前のことも当たり前ではありません。(NYで一般的なルームシェアでは、部屋をきれいに使い、家賃も滞納することがない日本人は、アメリカ人の大家さんに好まれているようです。)
数日前、グランドセントラル駅付近で行われていたユダヤ人によるイスラエルに関するデモの様子。老若男女が参加し、警察も出動する大騒ぎに。
アメリカが認めるようなきちんとした人であることを証明するためには、請求書の滞納をしないというレベルのきちんとした人であることを証明すれば良いので、簡単なようにも見えますが、アメリカ入国直後は、そもそもアメリカ国内でクレジットカードや携帯の契約ができないので過去に滞納したことがないことを証明できず、クレジットカード、携帯、銀行口座のいずれも持てないという負のサイクルになってしまいます。
では、こうしたサイクルはどうやって抜け出せば良いのでしょうか。
まず、クレジットカードは、日系の会社と契約(JALとANAは、アメリカ新参者でも契約をしてくれます。)し、1年ほど期日までに請求書の支払いをして実績を作った後に、アメリカのクレジットカード会社と契約ができるようになります。
携帯電話も同様で、最初は日系の会社(KDDIやNTT Docomo)と契約して、いずれアメリカの会社に移るという方法や、アメリカの会社に多額の敷金を支払って、最初からアメリカの会社と契約する方法が一般的です。(敷金は、契約期間満了時に全額返ってきます。)
そして、銀行口座は、学生であれば、大学の学生証やビザの書類だけで学生用の口座を開くこともできますが、NYでは、シティバンクの5番街店に日本人用デスクがあり、この店舗に限って、アメリカ入国直後の日本人の申請も受け付けてくれています。
日本人であれば、ほとんどの人が当たり前のように身につけている「きちんと」感が、渡米直後はアメリカ人に証明できず、出端を挫かれてしまうのは、なんとも皮肉ですが、そうしたハードルは、一定期間暮らしているうちに、自然に溶けていくように思います。
そして、面白いことに、アメリカでの信用力は、ある一つの番号によって、一元管理されていて、この番号は思わぬところでもその効力を発揮してくることになります。
次回は、そんな不思議な番号とそれにまつわるお話です。
こちらもすごい人だかり。碁盤の目状に走るマンハッタンの道に重なるように太陽が沈む年に二度しかない瞬間、通称マンハッタンヘンジを自らのカメラに収めようと集まったカメラっ子たち。
皆の視線の先は、マンハッタンの東側から望むタイムズスクエア。マンハッタンの象徴とも言える、写真手前に映るクライスラービルも同時に収められるこの場所は、毎回マンハッタンヘンジの頃になると大賑わいです。