前回の記事(こちらからどうぞ)では、アメリカ人女性と友達になる方法について書きましたが、今回はその続きで、いざ友達になって出かけたときに実際どんな話をしているのか、また、どんな話題を持ち出せばよいのかについて私なりに感じたことをご紹介したいと思います。
お互いに興味がある内容
当然ですが、会話は相手ありきなので、自分だけでなく相手も興味がある内容である必要があります。現在、または過去の職場の同僚の場合、仕事の話からが入りやすいでしょう。
ただ注意したいのは、日本や韓国では、同僚と飲みに行くことは、職場ではできない仕事がらみの話をすることもその目的に入ることがあると思いますが、アメリカでは、そういったことは決してないということです。あくまで会社外でごはんに行ったりするのは、プライベートでの楽しみとして行くものなので、仕事の話をメインにしないように気をつけましょう。
そのため、仕事そのものの話というよりも、仕事上で面白いと思ったエピソードを話したりします。私は今年に入ってから、あるプロジェクトで隣の州の田舎のホテル暮らしを3週間ほど強いられていたのですが、驚くことに、ニューヨークの一歩外に出ると、ニューヨークでは信じられないぐらい保守的なアメリカ人も多いです。私のプロジェクトメンバーは、食べ物の好みも保守的で、その田舎にあるとあるデリをとても気に入っていて、周りには他にもっと良いお店があるのに、なんと私がその田舎に滞在中、ランチは毎日そのデリから頼むことになりました。野菜もほとんど入っていないお肉だらけのあまり美味しくないサンドイッチばかりを置いているデリで、太ることを恐れた私は、そのデリでかろうじてカロリーが低そうな2,3種類のサラダを見つけ、それらを日替わりで食べて生き延びました。そんなエピソードを「ねぇねぇ、こんなありえない話があったんだよ。」と話したりしました。
健康嗜好なニューヨーカーの間では、今新鮮な野菜ジュースが流行っています。
最近1年ぶりに会った前職の同僚は、現在の職場をとても気に入っているけれども、一つ嫌なことがある、という話をしていました。それは隣のグループの男性で、趣味が仕事のようになってしまっていて、アメリカ人にしては珍しく、なぜか毎日夜遅くまで会社に入り浸っているそうです。デートのひとつもすれば良いのに、全然そんな感じじゃないのよ、と私の友人はぼやいていて、その子は、転職してまだ間もないので、自分の仕事がきちんと終わった状態でも、毎日その人の席の前を通り過ぎて先に帰るのがなんとなく気が重いそうです。
このような感じで、仕事の話といっても、仕事そのものの話というよりは、仕事上で発生した出来事をユーモアたっぷりに話したりします。
万人受けする話題
多くの人に好まれやすいのは、旅行や食事の話です。最近旅行で行って良かったところや近々計画している旅行先、自分のお気に入りのレストランのこともよく話題にのぼります。こうした話題は、どこの国の人にも好まれると思います。
自分の話
帰国子女で大学時代とほんのわずかの社会人時代しか日本に住んだことがなく、国際結婚をして今は香港で食品輸出会社を経営しているある女の子のブログを愛読していますが、そのブログでも以前書かれていたのは、日本人は自分の話題が少ないということでした。出る杭は打たれる、ということわざが存在するぐらいに他の皆と横並びであることが求められる日本社会(なお、このことわざは、欧米では、日本の閉鎖性からくる特殊な文化を表現する際に、半ば皮肉のような形で必ず語られます。)においては、相手に自分が自分がと思われてしまわないか、また、自分の自慢話をしているようにとられてしまわないか、ということを気にするあまり、自分のプライベートな話をすることは、欧米人に比べて極端に少ないと思います。
欧米社会では、皆驚くほどに自分や自分の家族の話をします。先日も、もうすぐ結婚1周年を迎える同僚に、1周年記念のお祝いの計画があるのか聞いたら、特にない、と話していましたが、「旦那さんがきっとサプライズで何か考えてくれているんじゃない?」なんて言ったら、「私が海外出張に行くたびに、その初日にホテルの部屋に大きな花束を手配してくれたりするから、確かに何か考えているかもねー。」と話していました。日本ではなぜか自慢話のように受け取られてしまうようなこんな話も、アメリカではごくごく普通に語られています。
私の場合は、アメリカ人の人たちが周りのアメリカ人からは聞き得ない話、つまり、私が日本人であることに関連した話をすると、割と受けが良いです。それは、日本とアメリカの働き方の違いや考え方の違いだったり、アメリカでの就労ビザの取得がどれだけ厳しいかといったことだったり、私はニューヨークで2度転職しているので、昔の会社でのエピソードだったりです。
メトロポリタン美術館で開催中のコムデギャルソンの創始者、川久保玲さんの特別展。
こうして見てみると、アメリカ人の場合、皆興味は自分に向いているので、日本ではありがちな他人の噂話というような自分と関係ない話題が語られることはかなり少ないです。
アメリカ人は話好きな人が多いので、自分からたくさん話すことに慣れないうちは、相手の話を聞いて、興味があった箇所についてさらに質問をして会話を発展させてみるのが良いと思います。そして、自分が話せる場面で話してみる、という体験を積み重ねていけば、自分が話す時間を少しずつ伸ばしていけるでしょう。