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アメリカ国民最大の関心ごと

50州もあるアメリカはなんでもばらばら。もともとアメリカという国は、国としての権限は少なく、州に大きな権限が委ねられているのです。そのため、州レベルでは認められているけれど、国レベルでは認められていないこと、また、その逆もあります。

近所のハロウィンの飾り付け。一般家庭ですが、アメリカ人はハロウィンは大人も楽しむイベント。この時期は、気合いを入れた飾り付けが見られます。

アメリカを騒がせたものでいうと、同性愛者の結婚。2015年に国レベルでは合法となりましたが、保守的な州では法制化されていません。こうした不一致によりどのような影響があるかというと、同性愛者の結婚が認められていない州では、同性愛者は婚姻届けを提出できません。また、結婚していると確定申告は夫婦合算となり、連邦税の申告書では夫婦としての税額控除が受けられますが、同性愛者の結婚が認められていない州では、州税の申告書ではこうした恩恵は受けられません。

多様な宗教、人種、考え方の人たちで成り立っているアメリカ。そんな場所なので、日本のように何かが爆発ヒットすることはなかなかありません。皆が同じ方向を向くことがないのです。そのような中、今アメリカ国民が皆注目していることがあります。

それは、ついに1週間を切った大統領選挙の結末。

かぼちゃに注目。どうやって彫ったのでしょうか。

4年前に前評判を覆して驚きの当選を果たしたトランプ。最初はすぐに弾劾されて4年もたないだろうと言われていましたが、あっという間にあれから4年が経ちました。今回の選挙は、民主党側に絶対的な候補がいない中、トランプの対立候補はオバマ政権時代の副大統領、バイデンに。高齢のバイデンだけでは心もとなかったところ、副大統領候補にハリスが指名されたところから、形成は大きく変化。

我が家の近所は完全な民主党寄り。バイデン、ハリスの旗がちらほらと。
これも近所の家。すごい主張の仕方にいつもびっくり。

たまに聞かれるのですが、11年もアメリカに住んでいても私には選挙権はありません。アメリカ国民でないからです。アメリカで生まれた人、グリーンカードから市民権申請をして市民となった人のみがアメリカ国民なのです。そのため、渡米後3度目の選挙も私は完全なる傍観者です。

アメリカの選挙制度は独特で、選挙人制度をとっています。この方法の一番の問題点は、国全体で見たときの得票数が多い人が当選するとは限らないことです。アメリカでは人口などの指標に基づいて州ごとに選挙人が割り当てられていて、この数は、州により異なります。投票は州ごとに数えられ、その週で最も多い得票数だった人が、その週の「全ての」選挙人を獲得します。最終的に最も多くの選挙人を獲得した政党からの候補者が当選するのです。

この記事の最初にも書きましたが、アメリカは州によって個性がありすぎて、まるで別の国のよう。そのため、歴史的に、民主党が強い州、共和党が強い州というのがある程度決まっていて、一般的には沿岸部(東海岸と西海岸。ニューヨーク、カリフォルニアなど)は民主党派、内陸部(ラストベルトと呼ばれる斜陽産業の工場が多い地域)は共和党派です。こうした州は、どれだけ対立候補が選挙活動を頑張っても覆すことができないぐらいにどちらの政党よりかが強固に決まってしまっています。

そのため、戦略としては、そうした州はあきらめ、どちらに転ぶか分からない州(いわゆるswing state。swingは揺れるという意味です)で集中的に選挙活動を行うことが鍵となります。4年前にトランプは、選挙直前にいくつかのswing stateで熱心に最後の呼び込みをしたことが、勝利につながったとも言われています。

今回も同様で、極端な話、既に勝敗が分かっている州は選挙活動をしてもしなくても結果は変わらないので、両候補ともに、swing stateでの活動に力を入れていました。

私が住んでいるニューヨークは意外と大きな州で、南の都市部は完全に民主党寄りですが、少し郊外へ行くと、共和党派ばかりです。先日、マンハッタンから車で2時間半ぐらいのキャッツキルという高級別荘地へ遊びに行きましたが、ここは共和党の基盤。大きな一軒家の前にトランプの等身大とも思える看板を立てている家もあり、驚きました。

10月28日のニューヨークタイムズによると、結果が読めない州として、こちらの7つの州が挙げられていました。
フロリダ、ジョージア、アイオワ、メイン第2地区、オハイオ、テキサス、ノースカロライナ

私は出張でアイオワ以外の州に行ったことがあるので、その州の雰囲気がなんとなく分かるのですが、これらの州がswing stateとなっているのは納得です。それはなぜかと言うと、州内にいくつか大きな都市を抱えていて、それらの都市が民主党派、そしてそれ以外の超田舎エリアが共和党派なのです。例えば、テキサス。NASAの宇宙センターやいっときはシェールガスで湧いたヒューストン、そして、豊田自動車が移転し、今日系企業の間でも注目度の高いダラスという2大都市を抱えていますが、それ以外のエリアは、驚くほど保守的な人々。こうした州では票が真っ二つに割れていて、選挙ごとに結果が異なってきます。

個人的には、どちらが勝っても、実際のところ人々の暮らしはあまり変わらないのではないかと思います。ただ、国家レベルで見ると、大きな違いがありますし、4年前のトランプ当選以降顕著となったアメリカ国内での分断(貧富の差の拡大、思想の違いなど)は続くのではないかと思います。4日後、勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか。

 

 

 


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