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アメリカ流・転職の考え方

最近では、日本でも若い人の間で転職は以前より一般的になってきていると思いますが、それでも、まだまだアメリカの転職事情と比べると、転職自体への考え方、そして転職率は、アメリカよりはるかに硬直化したものだと思います。

今日、日産の幹部が続々と同業他社へと転職していったという記事を読み、アメリカの転職事情は、「スポーツ選手の移籍」と捉えると分かりやすいのではないかと思いました。

最近では、サッカー日本代表の香川選手が、自分をより評価してくれる環境を求めて、イギリスの名門マンチェスター・ユナイテッドを去り、ドイツのドルトムントへの復帰を果たしました。退職した日産の幹部の中には、元いた会社に社長として返り咲いた人もいるようです。
自分が挑戦できる環境へと新たな環境へ身を置いた後に、自分をより評価してくれる古巣へと戻っていった香川選手の移籍と、この日産幹部の転職には、相容れるものがあると思います。

夕焼けに染まるイーストリバーとダウンタウンの街並み

ハロウィンの飾りも最近よく街で見かけるようになりました

 

ハロウィンの飾りも最近よく街で見かけるようになりました。

スポーツ選手が移籍をする理由には、どのようなものがあるでしょうか。

一つには、より強いチームで自分の力を試すため。日本代表クラスのJリーガーたちが続々と海を渡り、ヨーロッパの名門チームへと移籍していくのはこのケースに当たると思います。
その他、今回の香川選手の移籍のように、強豪チーム間で移るケースもあります。その場合は、監督との折り合い、チームの戦術に納得できるか、安定したレギュラーポジションを確保できる環境か、といったことがポイントになってくると思います。そして、より自分が居心地の良いチームへと活躍の場を移していくことになります。

スポーツの世界ではこうしたチームの移籍は当然のように行われ、海外で活躍する日本人選手も増えてきていますが、プロ選手以外の世界では、職場を移る、ということについての日本人の意識、そして日本の労働市場、労働環境は、アメリカとは大きく異なっているように感じています。

アメリカでは、プロスポーツ選手以外の一般人の世界でも、プロの世界で起こっている移籍と同じようなことが、いたるところで起こっています。

小さな企業から少しずつ転職を重ねて、有名企業へと駆け上がっていく人。
自分をより評価してくれる環境(=より面白い仕事の機会がある会社や、より高い職階を与えてくれる会社、よりお給料の良い会社)へと移っていく人。
生活スタイルの変化に伴って、よりワークライフバランスが達成できる状況(例えば、自宅に近い会社、定時に上がれる仕事、出張のない仕事等)へと変えていく人。
プロスポーツ選手の場合と異なり、一般人の場合には、新しい行き先との接触(仕事探し)や条件交渉(面接)は、基本的に自分主導で行わなければいけませんが、そうした転職活動のきっかけと過程は、プロスポーツ選手が新しいチームを探すときと同じような感覚で行われているように思います。

一つの会社で色々な職種を経験し、その会社のプロ(ジェネラリスト)の育成を目指している日本企業と異なり、アメリカでは、個人個人の能力が重視され、プロスポーツ選手が、自分がどんなに優れた能力があるのかを示して新しいチームへと移っていくように、一般の世界では、自分にどんな能力があるのか、今までどんな結果を残してきたのか、を示すことで、新しい会社への道が開けていくのです。

スポーツの世界では、生涯一つのチームでプレーする選手ばかりではないのと同じように、一般人の世界でも、同じ職種だったとしても、時の変化やライフスタイルの変化とともに自分が身を置きたい環境が異なってくるのはごく自然なことだと思います。そして、アメリカ人の労働市場はそうした発想で成り立っているので、人の動きも多く、労働市場も活発化しています。日本のように、一定の年齢を過ぎたら転職が厳しくなるということは一概にはなく、もちろんチャンスは限られてくるかもしれませんが、技術や経験が豊富で、その人自身が価値ある人であれば、アメリカでは、年をとってからでも、転職の機会は十分存在するのです。

アメリカ人の仕事への考え方については、過去の記事もぜひご参照ください。
・アメリカ的「仕事」論
・アメリカの会社が求めている人材
・アメリカにお茶出しOLはいるでしょうか?


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