しんしんと雪が降り積もる週末を迎えたニューヨーク。先週に入ってから毎日氷点下で、街全体がクリスマスに向かって加速する中、また本格的な冬がやってきました。
グラセン(日本人の間でのグランドセントラル駅の略称です。)探検の2回目は、意外と知られていない秘密のバーへのご案内です。
ニューヨークには、表立った看板もなく、知る人ぞ知る、隠れバーがいくつか存在すると言われています。1920年から1933年、憲法でお酒の製造や販売、輸入、輸送も禁じられていた禁酒法の時代には、West villageを中心に、speakeasyと呼ばれる隠れバーがあちこちにあったそうです。もちろん営業していることが見つかったらまずいので、看板はなく、ひっそりとしたたたずまい。普通のレストランの中にある扉を開けたところがバーだったなんてことがあったようです。
グランドセントラル内のバーは、そうしたspeakeasyの名残あるバーではなく、もともとはJohn W Campbellさんというニューヨーク市委員会のメンバーを長年勤めた方のオフィスであったところ。その名は、The Campbell Apartment。
バーとは思えない名前、そして目立った看板もないので、いざグランドセントラルに着いても、入り口が分からず迷ってしまう人も多いはずです。
バーへの行きかたは2通り。表の入り口は、グランドセントラルのすぐ西側を南北に通るVanderbilt avenueの42丁目と43丁目の通りの間。
赤い屋根にThe Campbell Apartmentと書いてありますが、ここがバーであることを知らないと通り過ぎてしまいそうです。
裏の入り口は、グランドセントラルの駅の中から。半地下のような階にある有名なOyster barを左手にして、コンコースをまっすぐ数十メートル歩くと見えてくるのが、古めかしいエレベーター。
このエレベーターの真ん中に掲げてある案内をよく見ると・・・
1923年にCampbellさんが賃貸を開始した時には古いバラック小屋のようだった内部は、13世紀のイタリア製のいすとテーブルをはじめとして、パイプオルガンにピアノ、床には当時30万ドル、現在の価値でいうと3.5億ドル(約350億円)はしたと言われているペルシアじゅうたんが敷かれ、それはただのオフィスを越えて豪華きわまりない空間だったようです。夜になると、Campbellさん夫婦が50人から60人もの友人たちを招き、生演奏が奏でられる中、宴が催されていたようです。
このバーに行ったら、まずはそんな豪華な調度品を楽しんでみてください。豪華なアメリカ人の暮らしを垣間見ることができます。バーなので、食事は軽食メニューです。夕食後の一杯にぜひ立ち寄ってみてください。