シンプルなデザイン、そして、高品質でありながら手ごろな値段の商品が多く、ニューヨークでもファンを獲得しているUniqlo。5番街の旗艦店はさすがアメリカというほどの規模で、迷子になりそうなほどの広さです。
今日、久しぶりに訪れた5番街店は、ニューヨークのトレンドを反映して、いくつもの面白い変化が見られました。
ここ数年のニューヨークのトレンドは、本業のブランドからライフスタイルブランドへの転換。
アパレル店や雑貨屋さんが本業で扱っているモノを売ることから発展して、カフェやフラワーショップを併設するなど、お客さんの生活全般に入り込んだビジネス展開をしているお店を見かける機会が増えてきました。生活全般に溶け込んだブランドになろうとしているのです。
ラルフローレンのカフェは以前からニューヨークで大人気。以前はラルフローレンの洋服屋の店内にだけしかなかったカフェが、いまやラルフローレンのカフェだけの店舗もあるほどに勢いをみせています。そのほか、ティファニーやルイヴィトンも店内でカフェを手掛けるなど、その動きはラグジュアリーブランドにも広がっています。
アパレルとカフェのコラボレーションは一般的になりつつあり、マンハッタンに数店舗構えるイタリアの女性用おしゃれ下着ブランド、Intimissimiも、先日5番街の店内2階にカフェをオープンしました。
しかし、今日訪れたユニクロの5番街店では、他社よりも数歩先を行くユニクロのライフスタイルブランド化を感じ、とても興味深かったです。
具体的な変化を一つずつ見てみましょう。
ユニクロコーヒー
かつて5番街のユニクロ店舗内のスターバックスが入居していた場所が、Uniqlo Coffeeになっていました。スターバックスはここ数年業績低迷が大きなニュースとなっていて、ユニクロ店内からは2018年に撤退したようです。
そこに新しいカフェを誘致するのではなく、独自にカフェを始めたのは、興味深いです。なんとこのカフェ、今月半ばにオープンしたばかりだそうです。ユニクロカフェは日本国内やアジア諸国にはありますが、北米では初の試み。
メニューはかなりシンプルで飲み物のみです。買い物中にさっと立ち寄れるので便利です。

5番街にはあまり気軽に入れるカフェがないので、買い物のついでだけでなく、カフェ目当てでやって来る人もいることでしょう
紀伊国屋書店とタイアップしたショップ
規模はかなり小規模ですが、紀伊国屋とタイアップして本や漫画、グッズを売るコーナーが誕生していました。

中二階に誕生していた紀伊国屋とのタイアップ店。子供たちがくつろげるようにソファも
紀伊国屋でも特に売れている商品を集めたのでしょうか。フィギュアやパズル、折り紙、そしてドラゴンボールなどの漫画が並んでいました。
ユニクロの洋服が好きな人の中には、日本文化に興味がある人も多いと思います。昨今、アメリカでのアニメ人気は目覚ましいものがありますが、ユニクロ店内に設けられた紀伊国屋書店の棚を見ると、どんなものが人気があるのかその傾向が見えてきます。

ブックオフもマンハッタンにフィギュア専門店を開くなど、ニューヨークでのアニメブームは高まる一方です
ライフウエアマガジン
店内のあちこちに、ユニクロが独自に発行したライフウエアマガジンが並んでいました。洋服の横にその洋服を着たモデルさんのページを開いて置いていたりも。てっきりどこかの雑誌の掲載情報かと思ったら、ユニクロが独自に発行した雑誌でした。

たまたま休憩にと腰かけたテーブルに誰かが置いていったこの雑誌がありました。隣の席のおじいちゃんに見てもよい?と声をかけられたのですが、おしゃれな表紙で興味を持つ人も多そうです
ニューヨークのダイナー(日本でいうファミレスのようなレストラン)やカフェ、マンハッタンの街中など、様々なシーン別のコーディネートを紹介していて、ユニクロが、ニューヨーカーの生活に密着したブランドという地位を築こうとしているのを感じました。

ファッション雑誌のような作りのライフウエアマガジン
サステイナブルへの取り組みも
近年アパレルの世界では、過剰生産による在庫や開発途上国での低賃金で劣悪な労働環境が問題視されていますが、それに呼応するかのように注目が集まっているのが、各ブランドのサステイナブルな取り組み。
ユニクロ5番街店の店舗内には、補修などをしてくれるサービスカウンターが設置されていました。ユニクロの商品はもともと手ごろな価格なので、修繕してまで着なくても、と思う人もいるかもしれませんが、こうした取り組みを会社として行っているのは時代の流れを感じます。

どのサービスも$5だそうです。物価高のニューヨークでお手頃価格!
久しぶりに訪れたユニクロ5番街店では、いろいろと新しい取り組みが見られて楽しかったです。テニス好きの私にとっては、ユニクロがスポンサーしているテニス選手たちのサインが見られるコーナーも嬉しいです。

ふつうに通り過ぎているお客さんばかりですが、大物選手たちのサインが並ぶエリア
日本を代表するアパレルブランドの一つにまで成長したユニクロ。そんなユニクロがニューヨークでどのような事業展開をしているのか、ぜひ機会があったら、実際に店舗を訪れて見てみてください!