いまだにコロナのニュースがメディアからなくなることはなく、なんだかコロナ疲れしてしまう日々ですが、みなさんお元気でしょうか。
このブログでも何度か書いてきましたが、同じときに同じ都市にいても、どこに焦点を当てるかによってその感じ方や捉え方は全く異なることを、今回のコロナで強く感じました。日本ではなぜかニューヨークの悲惨な状況ばかりがいまだにクローズアップされているようで、そこには何かマスコミの力が働いているように感じてしまいます。実際のところ、もちろん気を付けて暮らしてはいますが、私は過度に神経質になっているわけではなく、今は意外と普通の生活です。
大きく変わったことといえば、夜の外出を控えるようになったことでしょうか。こんなに不透明な状況なので、節約のため遊びに行く機会が減ったこと、そして、ニューヨークの治安が悪くなりつつあるようなので、なるべくリスクは避けたいこと、がその理由です。
今日の記事では、今のニューヨークは一体どのような状況なのか、ということを書いてみたいと思います。
経済活動は再開
ロックダウンの後、夏の頃から段階的に再開が始まった経済活動は、今や完全に再開しています。最後まで行政命令で閉まっていたジムも9月頭に人数制限のもとで再開し、そして、ついに9月末にレストランでの店内飲食も始まりました。
店内飲食再開というビッグニュース
今回のコロナで、マンハッタンに住む富裕層がハンプトンやキャッツキルの別荘へと避難したことに加えて、観光客と出張者がごっそりいなくなったことも、マンハッタンががらがらになった一因でした。それにより、タイムズスクエアやロックフェラーセンター、5番街などいつもにぎわっている場所がもぬけの殻になってただただ驚いていたのですが、そうした場所にある飲食店も軒並み閉店してしまいました。表向きはそうではないと言っていますが、タイムズスクエアの巨大なマックまでもがつぶれてしまいました。
観光客や出張者もいない状況で、さらに屋外だけの営業で、レストランのほとんどが今年の冬を越せないのではないか、とまで言われていましたが、ついに、25%までの収容人数で、9月末からレストランの店内飲食が再開となりました。25%ではいまだ採算はとれないと言われていますが、それでも、どんどん深まる秋の中、店内での飲食が再開されたのは大きなニュースです。
続くリモートワーク
日本では自宅から働くことをテレワークと呼んでいるようですが、アメリカでは、work from home、略してWFH。新聞記事などでWFHとあるのは、リモートワークのことです。アメリカではもともと事情があるときにはリモートワークが広く認められていましたが、今回は、少し事情が違います。今までは、大雪や台風から家族の看病、大きな荷物が届くため在宅していないといけない(アメリカでは配達の時間指定ができず、到着予定日しか知らされません)といった事情で、在宅勤務を行うことも可能でしたが、それはあくまで単発的なこと。ここまで大々的にリモートワークが普及したのは初めてのことです。大きなコンピューターがないと仕事がはかどらないような人は率先してオフィスへ復帰しているようですが、会社としては、万が一感染したときに責任がとれないため、オフィス勤務は義務付けていません。
ニューヨークとお別れ
世界の中でも家賃が高いことで知られるニューヨーク。リモートワークがこれほどまでに普及した状況で、わざわざニューヨークに住む必要がなくなりつつあることも事実です。マンハッタンの一等地のコンドミニアムに住んでいた友人は、家賃に含まれていたアメニティー(ジムやプール)が使えない中、高い家賃を払い続けるのも、ということで、別の都市へ引っ越してしまいました。また、人生の半分近くをニューヨークで暮らしていた友人も、将来を色々考えた末に、日本へ帰るという決断をしました。コロナによるお別れも少しずつ起こっているのはさみしい限りですが、自分が幸せと思える場所に身を置くことが一番の幸せなので、友人たちの新しい門出を応援したいと思います。
まだまだ氷河期のエンタメ業界
夏になって美術館は再開しましたが、いまだ再開できずにいないのが、室内芸術。ミュージカルやオペラなどは、来年春までの休演が正式に発表されています。また、ニューヨークの一大イベントのハロウィンパレードは今年は中止。そして、サンクスギビングのパレードはオンラインで実施されるそうです。また、ニューヨークの魅力の一つが、年間を通じて行われるイベントで、私は様々なイベントに友人と行くのを楽しんできましたが、そうしたイベントは、今や一つも開かれていません。
悪化しつつある治安
最近領事館からのニュースを見ていると、治安の悪化に注意というものが多いです。先日久しぶりに夜マンハッタンの街を歩いたのですが、今までとの大きな違いは街の暗さ。つぶれてしまったお店が多いため、街のネオン自体が今までの半分ぐらいではないかというぐらいに減ってしまっていたのには驚きました。また、道行く人の数も減っているので、マンハッタンの街がひっそりしているように感じ、自然と、誰もいない通りは歩かないようにと気が引き締まりました。前述したように、マンハッタンの富豪たちはいまだマンハッタンにいません。実際私の友人たちはキャッツキル(マンハッタンの北、車で2時間半ぐらいのところにある避暑地)にこもっていて、10日に1回ぐらいの頻度で自宅へ戻ってきたりといった生活です。失業率も高い中、マンハッタンには今まで見なかったような変な人も割とうろうろしているので、引き続き注意が必要ですが、人通りがあるところを歩いている分には問題ないと思っています。
限定的なロックダウン
コロナ対策は、何をやっても必ず批判は起こるので、州知事や市長は大変と思いますが、いっときは大変な状況にあったニューヨークですが、最近のコロナ対策はどこの都市よりもしっかりしていると感じています。最近では、陽性率が高い一部地域(郵便番号で指定)の再ロックダウンを行いました。再開した公立の学校も再び閉鎖に。なお、陽性率が高い地域は、ユダヤ教徒が多い地域です。このブログでもユダヤ教徒の独特の文化を紹介してきましたが、ユダヤ教徒の人たちの世界観は、そうでない人には分からないほどに複雑です。数か月前にブルックリンのユダヤ教徒が多い地域に行ったのですが、マスクをしている人が誰もいなくて驚きました(ユダヤ教徒経営の大きな量販店ではマスクを売っているものの店員さん自身はみなマスクなしでした)。NYでは外を歩くときにはマスクが義務付けで違反者は罰金ですが、それでも、一部の住宅街では警察も何も言えないのかもしれません。そうしたマスク着用を守らずに暮らしている人たちが多い地域で陽性率が上がってきてしまっているのが現状です。こうした状況も、「再ロックダウン」とだけ報道されたらなかなか見えてこないかもしれません。
いまだに実感湧かない大統領選
来月に迫った大統領選ですが、私の家にテレビがないことも影響してか、いまだにその実感が湧きません。私は投票権がないので、ただただ行方を見守ることしかできませんが、次の4年は誰の手に託されるのでしょうか。正直なところ、候補者はどちらも高齢でお飾りにしかすぎないのではないかと思っています。その背後にどのような人たちがいるのか、そして、どういった政策を持っているのかをよく見なければいけません。
つぶれてしまったお店も多く、街はいたってこじんまりしていますが、経済も再開して、今では割と普通の生活を送っています。ただ、イベントなどが開かれないので、友人たちと外出する機会は極端に減り、家で自炊して静かに暮らす日々です。早くも今年は残り2か月半。ニューヨークに移って11年。こんなに刺激のない日々は今まで初めてで、いろいろ戸惑う日々ですが、今は仕方ないのかもしれません。皆さまも健康に気を付けてお過ごしください。
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