アメリカに3ヶ月以上滞在する場合には、ビザの取得が義務付けられています。
3ヶ月以内であったとしても、お金をもらうという行為が発生する場合には、それを可能とするためのビザを持って入国しなければいけません。(ビザなしで演奏のために入国をしようとした人が入国審査にひっかかって入国できなかったという話を先日、NYの地元日系紙で目にしました。)
NYで暮らすためには、どのようなビザが考えられるのでしょうか。
それは、一人ひとりの状況やそれまでの経験によって異なってきますので、どのビザが一番、自分にとってとりやすいか、また、もしその後グリーンカードも視野に入れているのであれば、そこまで見越した戦略を立てる必要があります。
移民の敵、現職大統領がホワイトハウスに入居する前に暮らしていて、今もニューヨークに来るときには滞在するこのビルは、今や観光名所。警備員と写真を撮るなんてことは、ニューヨーク在住の移民にとっては考えられません!
私は移民法弁護士ではないので、あくまで一般的な話しかできませんが、NYで出会った日本人のビザのタイプを書いてみたいと思います。
・学生ビザ(F1ビザ):大学や大学院留学、語学学校留学のためのビザ。学業に専念することが求められているので、学外でのバイトは一切禁止です。日系レストラン等で違法で働いている人もたくさんいますが、万が一見つかってしまった場合には、強制送還となってしまいますし、その後観光で入国することさえも難しくなってしまうので、もし働く場合には、そのリスクも念頭に入れる必要があります。
大学や大学院であれば、卒業すると、OPTというアメリカで一定年数(通常1年。一定の条件を満たした理系の人のみ2年。)働く権利を得ることができます。
・アーティストビザ(Oビザ):日本でアーティストというと、かなり大物のような響きかもしれませんが、Oビザが対象とするアーティストの定義は幅広く、画家、音楽家、モデル、ダンサー、カメラマン、シェフ、書道家等が対象になります。芸術分野であれば、どんな人でも対象となります。NYは、その場所柄、アーティストビザを保有している日本人も多いです。
アーティストだけでの生活は厳しく、日系スーパーやレストランでバイトをしている人もたくさんいます(見た目でだいたい分かります)が、厳密にはアーティスト活動ではないので、見つかったらアウトです。
私が大好きなトランペット奏者は、朝の通勤時間にグランドセントラル駅にいます。この日はなぜかダンサーも。
・就労ビザ(H1Bビザ):私を含め、普通に会社員をしている人にとって一番身近なビザ。アメリカ外から来た移民で企業勤めをしている人たちは、たいていこのビザです。年間発行枠が決められていて、ここ何年間も応募受付日と同時に応募が殺到し、抽選という状況が続いています。応募受付日までに会社を見つけ、ビザの申請書類も準備してもらわなければいけないので、かなり戦略的に動くことが必要です。前述の学生ビザ(F1ビザ)からOPTを経て、就労ビザ(H1B)というパターンが一般的です。
・研修生ビザ(Jビザ):アメリカで一定期間(1年ぐらい)研修生として働くための権利。ただし、このビザは、あくまで短期間の研修生で、アメリカで学んだことを母国で生かすことを目的としたビザのため、Jビザが切れた後に他のビザへと切り替えることが難しいです。取りやすい反面、そういった難点もあるため、注意が必要です。
・投資家ビザ(Eビザ):自分で事業をやっている人向けのビザ。こんな言い方をしてしまっては、身も蓋もないかもしれませんが、アメリカが欲しいのは、「アメリカにお金を落としてくれる人」なのです。そのため、アメリカで起業し、さらには、アメリカ人を雇っている、となれば、アメリカは喜んでビザを出してくれます。
自由の国、アメリカ。下着だけで地下鉄に乗ってしまっています。
自分にとってどのビザが良いのかは、その後のアメリカ生活を左右するほどに重要な事項となりますので、渡米の時期も含めて、慎重な検討が必要です。
もしかしたら、日本にもたくさんの留学機関があるかもしれませんが、一番良い情報は、現地からの生の情報。そのため、ビザについても、日本の留学期間や日本にいる弁護士に高いお金を払って聞くことは、絶対に辞めたほうが良いと思います。
NYにはたくさんの移民法弁護士がいますので、インターネットで検索したり、日系の情報誌を見たり、日系の掲示板で情報収集をしたりして、NYに渡りたいのであれば、NYの弁護士に相談することをおすすめします。
アメリカで暮らしている人は皆同じことを感じていると思いますが、ビザは本当に微妙なプライベートな事柄です。正直なところ、日本人でも、どのようなビザでNYに滞在しているのか分からない人もたくさんいるので、そういう人に対して、ビザの話を持ち出したりするのは、とても失礼にあたるので、そうした会話は控えなければいけません。
ビザ問題で悩んだことがない日本人でNY長期滞在組(駐在員以外)は、日本に住んでいる時に付き合っていたアメリカ人男性と結婚することとなり、それを機に渡米したごくごく少数の方々のみのような気がします。ビザ問題を乗り越えてこそ、NYでの未来が見えてきますので、NYで長期で暮らしたい人にとって、この記事が少しでもお役に立てればうれしいです。