NYにおいて、日本の文化や経済交流の中心の場となっているJapan Society。
トヨタを始めとする多くの日系企業の支援のもと、日本関連のイベントを多数主催しています。
そんなJapan Societyで、先日、ローソンの新浪社長による、「日本の次期成長戦略」と題する講演会が行われました。新浪さんといえば、12年間社長としてローソンを率いて、11年連続営業増益という輝かしい業績を残されている、いわばローソンの顔。そして、今年10月からは、創業系外からは初めて、サントリーの社長への就任が決まっていて、日本の経済界を代表する経営者の一人でもあります。
現在は、安倍内閣の産業競争力会議のメンバーとして、政府の経済戦略への助言も行っていらっしゃることから、今回の講演会では、日本の経済成長に必要なこととして、新浪さん自身が考えていらっしゃることを語ってくださいました。
その中で特に印象的だったのは、日本の会社の国際的競争力を高める必要があるという強い思い。日本では、あらゆる世代で転職が一般的でなく、社内の人材が固定されているために、外部の考え方に疎く、組織として硬直化していること、また、制度面等で、ベンチャー企業のような新興企業が参入しにくい土壌となっていることを問題視していらっしゃいました。
アベノミクスにより、多くの仕事が創出されれば、労働市場がもっと流動的になり、若者がベンチャー企業で活躍したり、より自分が求めている環境に移ることができ、そしてその空いた枠には、別のところから人が移ってきて、といった流れで、人材の適材適所が行われることで、企業の競争力も高まるということを期待していらっしゃるそうです。
失われた10年という言葉は、もはや10年ではないとも言われている昨今、日本を日本の中からだけではなく、一歩引いて、海外の中での「日本」という視点から引っ張っていける新浪さんのようなリーダーに、ぜひ日本の国際競争力回復に向けて頑張ってほしいと思いました。
日本国内にいた時にはあまり実感しませんでしたが、アメリカでは、どこのホテルに行ってもテレビはかつて一世を風靡したソニー製ではなく、いまやサムソンかLG製。そんなところからも、日本企業の力が弱くなっていることを痛感しています。
新浪さんは、労働市場の活性化のためには、経営者のメンタリティーや経営手法の変革が必要だと熱く語っていらっしゃいました。
サントリーの社長就任と直接絡めたお話は出ませんでしたが、上層部の労働市場の活性化、といういまの日本が必要としていることを、自ら体現する新浪さんは、有言実行の経営者として、応援していきたいです。