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冬を越せる?ニューヨークのレストラン事情

青森県とほぼ同じ緯度のニューヨーク。日本と同様に四季がありますが、冬は長く、11月に入って間もなくハーフコートが必要になり、4月に入るまで寒さが続きます。

数年前の極寒の年には、マイナス15度になる日が何日もあり、大ニュースになっていました。毎週のように雪が降ったりする年も。そのようなことから、12月のホリデーシーズンを過ぎてから、観光客も一気に減り、3月に入るまで街は静かです。また、寒さのあまり室内で過ごす人も多くなるため、飲食ビジネスは、いかに冬の減収分を他の季節で稼ぐかが鍵になるとさえ言われています。

最近行ったブルックリンのグリーンポイントのレストラン。平日ではありましたが、店内には私たち以外誰もいませんでした。

こうした状態でありながら、今年はコロナで、稼ぎ時のシーズンでも苦戦を強いられている飲食店。ニューヨークはオフィスワーカーも多いですが、場所柄、レストランビジネスに従事している人も多く、皆がこの業界の動向を心配しています。

徐々に解除されたロックダウンにより、レストランは、6月には屋外のみでの営業が許可されました。これにより新しい法律ができ、席を路上だけでなく、車道にも拡大してもよいことになり、レストランがこぞって車道に特設屋外席を作り、大きな話題となりました。

SOHOの人気ブランチスポットは、広々とした屋外席。
夕方になるとこうした屋台のような盛り上がりを見せているお店も。

ウェストビレッジのようにおしゃれなバーが立ち並ぶエリアは、屋外席の設営もとてもおしゃれで、こんな素敵な空間で外で飲食が楽しめるのは今だけだからだし、ローカルビジネスをサポートしたいと、せっせと外へ出かける人もいました。

その一方で心配されていたのが、店内飲食の再開。コロナ再発を恐れて、市がなかなか許可をおろさずにいました。そして、当初は屋外飲食も10月31日までとの通達が。屋外飲食もなくなり、店内飲食もできない状態では、デリバリーとテイクアウトしか対応できません。レストラン業界を心配する声が強くなりました。

ここですごいと思ったのがニューヨーク市の対応。屋外飲食は市民に人気だったので、コロナと関係なく、無期限で延長されることになったのです。そして、店内飲食は、9月30日から25%のキャパシティーでの再開となりました。

ニューヨークで店舗を経営するのはとても大変と言われていますが、その理由の一つが高い家賃。レストランは、今までフル稼働してその家賃と従業員のお給料を稼いできました。そのため、店内飲食が再開されても、たった25%のキャパシティーでは経営もひっ迫したままで、かつ、入念なコロナ対策もしなければいけないので、運営面でも大変です。

観光客も出張者もほとんどいない状態で、飲食店経営者の頭は、厳しい状況と戦う日々だと思います。そのような中、飲食店の支援の一環として、ニューヨーク市が新たに正式に法制化したのが、10%の特別チャージ。15を超えるチェーン店を持つようなレストランは対象外ですが、それ以外のレストランは、お会計の合計額にコロナによる特別チャージとして10%を追加することができます。

あくまで任意であるので、レストランがこれを適用するか否かは選ぶことができますが、こうした制度を利用して少しでも稼ぎたいレストランに対して、せっかく経営が大変なレストランをサポートしようと足を運んでも、もともと高いお食事代に加えて、チップ(お会計の15-20%)、税金(NY州の場合は8.875%)に加えて10%のチャージがかかるのであれば、レストランへ行くことを控えてしまう、という消費者の声も多く聞きます。

こうした状況でありながら、新しいお店も少しずつオープンしています。ニューヨークの歴史を作ってきたレストランが姿を消してしまうのはとても寂しいので、皆が越冬できることを願うばかりです。

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