ついに1月20日、この日を迎えました。新政権の誕生。
一体この日を皆、どのような気持ちで迎えたのでしょうか。
私はまだ就労ビザでアメリカで暮らす移民なので投票権もなく、アメリカ生活もまだ7年ちょっとでアメリカの学校教育を受けていないのでアメリカの政治についても知らないことが多く、アメリカ人とは受け止め方がまた少し違うかもしれません。
とてもリベラルで、会社のEメールの署名にも"I support inclusion"という文字とともに虹色マーク(同性愛者の象徴)を既定設定している同僚は、朝起きた瞬間、「あぁ、この日が来てしまった。」と愕然としたそうです。
11月の選挙の後にもたびたび行われていたデモですが、就任式の翌日土曜日、デモの勢いは最高潮に達しました。
このデモは、Women's Marchという女性の人権を訴えるもの。
ワシントンDCがメインだったそうですが、全米各地、さらには世界の主要都市にも広がりを見せていたようです。
NYでは、マンハッタンの中心、ミッドタウンのエリアで大行進が行われ、人々は、5番街のトランプタワーへと向かったようです。
デモスタート地点の近く。パトカーもたくさん出動して交通整理していました。
政治について身近な人と話す機会が少なく、さらには、政治家に対する期待値も低い日本では、正直なところ、首相が変わっても、人々の生活が大きく変わったり、価値観を覆されるような出来事が起こることはないでしょう。
しかし、アメリカでは、一国の統治者がどのような舵取りをするかで、末端の人々の生活まで大きく変わります。
例えば、オバマ政権になり、同性愛者の権利は、世の中の大多数を占める異性愛者と平等になりました。同性愛者同士の結婚が連邦政府レベルでも合法化されたのは、歴史的な出来事です。
それにより、確定申告(アメリカでは働いて収入を得ている人は全員必須)でも、同性愛者の配偶者を扶養控除できるようになり、税金負担は軽減されました。
賛否両論ありますが、オバマケアにより、低所得者の人たち、収入が不安定な人たちにも保険に入る道が開かれました。アメリカには国民皆保険制度は存在しないため、それまでは、低所得者の人たちは高い健康保険に入れず、それにより、病気になっても適切な治療が受けられなかったり、医療費が払えず破産してしまうこともあったのです。
私は政治には詳しくないのですが、オバマ政権では、オバマさんの最後の挨拶にもあったように、「国民皆が幸せになる」ということが、全ての根底に流れていました。オバマさんが掲げた"change"は、ただ何かを変えるのではなく、多くの人たちが幸せになるための「変化」だったのです。
それに対して、新しい大統領のメッセージは、「より強いアメリカを取り戻す」。
本人のキャラクターにも現れているように、自分が全て、そしてアメリカが全て。
彼の中でのアメリカは、かつてのアメリカの製造業を支えていた白人労働者たち。
しかし、時代は変わり、この国には、世界中から人々が移り住み、より良いアイディアを生み出し、一生懸命働き、今のアメリカの一端を担っているのです。
そうした人々への配慮はなく、さらには、女性や弱者蔑視の発言を繰り返しているため、そうしたマイノリティーの人たちが立ち上がったのが、昨日のWomen's Marchでした。
グランドセントラル駅へ向かうデモの軍団。