NYから日本を考える NYで異文化体験

引っ越し業者をしながらNYで追いかける夢

人種のるつぼと言われるニューヨークが、なぜそのように言われるのかは、地下鉄に乗ったり街を歩いたりしたらすぐに分かることでしょう。肌や目の色、髪の毛、体形など、千差万別。世界の広さを実感します。

そして、ニューヨークへやって来たきっかけも、生き方も十人十色。しかし、街で見かける様々な人たちが、どのようなことを考え、どのような暮らしをしているのかは、友人や仕事上での付き合いがない限り分かりえないでしょう。

メキシコ人の友人が連れて行ってくれた本格メキシカンのお店の巨大なカクテル。メキシコでは有名なスタイルだそうで、味とビールを選びます。これはマンゴカクテル。メキシコと言えばコロナビールかと思ったら、このカクテルの場合Victoriaというビールとの組み合わせが良いとの友人のおすすめで、Victoriaビールを選択。その国本場の味を楽しめるのもニューヨークならでは

 

人種のるつぼのニューヨークでも珍しいチベット料理のレストラン。広い店内は吹き抜けスタイルで高い天井が。ダライラマの肖像画もあり、オーナーもスタッフもチベットゆかりの人だそうです

 

また、移民だけでなく、アメリカ生まれのアメリカ人も多種多様。以前も何度か記事にしましたが、アメリカの大統領選挙がここまで加熱するのも、全く違う意見や考え方の人たちが混在して1つの国の中で暮らしているからなのです。

家と会社を往復する日々の中では出会わない人たちと話をする機会を持てるのは、いつもと違う行動をしたとき。先日の引っ越しの時には、引っ越し業者のアメリカ人のお兄さん2人との会話を楽しみました。

この業者、ずいぶん前の引っ越しの時にもすごくサービスが良かったので今回もお願いしたのですが、今回担当してくれたスタッフの2人ともてきぱきと仕事をしてくれた上、フレンドリー。毎度のことになりつつあるのですが、今回の引っ越しでも結局業者の方々が来てくれた時点でパッキングがすべて終わっていず、わらわらしている私の横で、「終わっているものから運ぶから大丈夫だよ」と言って、引っ越し業者のスタッフがてきぱきと動いてくれました。

引っ越し前、自分の荷物の上でくつろぐみーちゃん

 

ぽつぽつとおしゃべりをしていたら、そろそろ聞いても大丈夫かな、と思ったのでしょうか。スタッフの一人に"Do you mind asking where you are from?" (どこ出身か聞いてもよいかな?)と言われました。"Where are you from?"と単刀直入に聞かず、"Do you mind"を使ったこの表現は、非常に丁寧です。引っ越し業者にとって私はお客さんに当たるので、こうした表現を使ったのでしょう。私の外見や英語からアメリカ人でないと思ったので、きっとどこの国の人だろう?と家に入った時から気になっていて聞くタイミングを待っていたに違いありません。

私が日本出身と知ると、「日本なんだ!いいね!」とテンションがあがったスタッフ。トラックへ荷物を運んで戻って来たもう一人のスタッフにも、「彼女、日本出身だって!」と話すと、身体に入れ墨が入った一見いかついお兄さんがきらきらした目で、「僕は日本のプロレスをいつも見ていて、いつか後楽園に試合を見に行きたいと思っているんだよ」と、思わぬところから日本談議になりました。

そろそろ私も少し切り込んだ質問をしても良いかなと思ったので、引っ越し業者のお仕事のことなど聞いてみたところ、とにかくこの仕事は手っ取り早くお金が稼げるから良いんだよ、と話す2人。私のように小さな部屋の引っ越しでもそれなりに思い荷物や家具もありますが、手際よく作業を進めてくれて、経験の豊富さを感じます。何部屋もあるような郊外の邸宅の引っ越しなど様々な形態の引っ越しを手掛けているそうで、体力的にもかなりハードだと思いますが、その分待遇も良く、すぐに給与も支払われるので、気に入っているそうです。

私に出身地を聞いたスタッフは、カメラマンとしてのキャリアを夢見ていて、空いているときには、人物の写真や飼い主とペットの写真を撮ったりしているそうで、素敵な写真がたくさん載った自身のインスタを見せてくれました。でも、これで生計を立てるのは大変だから、引っ越し業者をメインの仕事にしているとのこと。

日本では、夢を追いかけること自体が難しいと思われたり、安定した職業につくことがより良い人生だと思われたりしがちですが、自分の夢や目標を明確にして地道に活動している人が多くいるのは、アメリカ、特にニューヨークらしいと言えるかもしれません。

ミュージカルの劇場が立ち並ぶタイムズスクエアの近くには、ウエイターやウエイトレスがブロードウェイミュージカルへの出演を目指していて、店内で歌を披露してくれることで有名なダイナー(Ellen's Stardust Diner)もあります。朝7時から開いていて、毎日8時には早くも長蛇の列ができるほどの人気店。ロシアとの戦争が始まった頃により注目を浴びた1954年創業の老舗ウクライナ料理のレストラン、Veselkaは、今でこそ深夜に閉まりますが、パンデミック前までは、24時間営業のお店として知られていました。アーティストやミュージシャンたちが多く住むことで知られるEast Villageにあり、夜の仕事を終えた彼らが夜食がてら集う場所として栄えていたのです。

様々な夢、仕事があり、そうした人たちを支える土壌があるのがニューヨーク。そんな視点で街を歩いてみると、また違った発見があるかもしれません。


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