NYで働く NYで異文化体験

日本では最初、アメリカでは最後に渡すもの

私はNYで転職し、今の会社で働きはじめて早数年が経ちますが、入社当初に作ってもらった100枚ほどの名刺はいまだに半分ぐらいしかさばききれていません。

日本で働いていた時は、100枚ぐらいの名刺は、仕事で配っていたら、1年ぐらいであっという間になくなっていたでしょう。

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5番街のグッチのショーウィンドウ。和風とも中国風とも言えない独特のデザインです。どんな方が購入するのでしょうか?

仕事上で初対面の人に会ったら、まずは名刺交換から始まるのが日本での通常のビジネスマナーです。そこで皆、さらっと相手の肩書や名字の漢字表記を確認していますよね。

それに対して、アメリカでは、仕事で初めて会う人との挨拶は握手のみが基本です。その人のメールアドレスは、自分の同僚が既に知っていたら、その同僚から聞けば良いので、名刺をもらうことはありません。そうではなくて皆が初対面という時に限って、握手をしてお互いに簡単な自己紹介をし、最後の最後にメールアドレス教えてください、と言って初めて名刺をどうぞ、となるのです。

 

このように、名刺はアメリカではただメールアドレスが書かれたメモ用紙のようにしか考えられていないので、渡す側は、片手でほいっと机に軽く投げるように置いたり、手渡しするときも片手ですっと渡します。(アメリカでは、両手で物を渡すという概念はありません。唯一ユニクロの店員さんのみ、お会計の時にクレジットカードを両手で返してくれるので、以前、これを見たアメリカ人の友人が感激していました。)そして、名刺をもらう側も片手です。日本のビジネスマナーを知っているアメリカ人のみ、両手で受け渡しをしてくれますが、そうした人はほとんどいません。

 

また、プライベートで初対面の人と会った時にも、アメリカでは、日本のように名刺交換から挨拶は始まりません。お互いに自己紹介をして、そこから話が発展し、最後の別れ際に連絡先を知りたい時に限って、名刺持っている?と聞いたり、聞かれたりします。

そのため、話が盛り上がらなかったり、特に今後連絡をとろうと思わなかった人と名刺を交換することはありません。とても合理的ですよね。

 

なお、フェイスブックのお膝元アメリカでのフェイスブック普及率はとても高いですが、こうした初めて知り合った人とは、その場でフェイスブックで友達申請、ということには、アメリカ人とはなりにくいように思います。アメリカ人は、オンとオフをはっきり分けているので、「オフ」の世界であるフェイスブックは、友人のみとつながる場、としているのです。そのため、何度か会ってお互いのことをある程度知って仲良くなってからでないと、フェイスブックで友人関係にはならないように思います。そこで、初対面の人とつながる手段は、名刺となるのです。

 

このように、日米で名刺の位置づけは大きく異なっています。

アメリカで仕事以外の場で名刺持っている?と聞かれたら、相手が自分と何らかの形で(友達としてだったり、仕事以外の場で知り合ったけれども仕事上で何かコネクションになりそうという場合だったり、趣味の活動で共通点がありそうというケースだったり、理由はまちまちです。)繋がりたい、と少し興味を持っていることの意思表示でもあります。

逆に、名刺のことを聞かれなかったら、"It's nice to talk to you."とか"It's nice to see you."といって立ち去れば良いのです。(アメリカに社交辞令はないと思われていますが、これこそ究極の社交辞令ですよね!)

 

仕事以外の場で初対面の人とどんな話をしたら良いのかについては、また後日掘り下げて書いてみたいと思います。

 

 


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