NYから日本を考える

海外に住む日本人、という生き方

人気ユーチューバーで現在はアジアの国に在住の日本人が、幼い子供もいるのでコロナの拡大を心配して、家族で日本へ帰国したところ、コロナの菌を海外から持ち込むな!と大バッシングにあった、という出来事が数ヶ月前にあったことを遅ればせながら最近知り、とても驚いています。

日本には「コロナ差別」があるということは少し耳にしていましたが、アメリカではあり得ないこの現象にいまだに戸惑っています。

日本では、コロナ患者が軽蔑され、コロナ患者を受け入れる病院で働く人が差別を受けていると聞いたことがありますが、NYではそのようなことは聞いたことがありません。誰だってなりたくてコロナに感染しているわけではないですし、ましてや、病院スタッフはこの状況の中で命懸けで社会のために働いてくれていて、NYでは英雄です!そんなNYでの事情は、こちらの記事にも以前書きました。

話は戻り、人気ユーチューバーのケースですが、海外で暮らす日本人がこのように見られてしまうことに驚きを隠せません。海外での生活が長くなると、「日本」を外から客観的に見ることができ、それと同時に、日本の良いところは日本にいた時よりもよく見えますし、逆に、日本が世界の国々と比べて足りていないと思うところに気づくことも事実です。そんなことから、日本を離れたことで、日本への愛国心が芽生えているのは私だけではないはずです。国政選挙もわざわざ領事館まで毎回投票に行っていますし、令和のお祝いの記帳にも、会社の昼休みを使って領事館に出向きました。

NYで迎えた令和の時代

身体は日本の外にあっても、心は日本にも「在る」のです。

これだけ国際化が進んだ現代社会では、日本企業の海外進出は欠かせません。また、海外を舞台に活躍できる人材も必要です。日本でのやり方や考え方がそのまま通用しないことも多いからです。

そのようなことからも、海外で暮らす日本人は絶対に必要なのです。自らの意思で海外に住んでいる日本人が、母国に戻った時に白い目で見られてしまうのは残念なことです。私の周りには、ニューヨーク在住歴が私よりもはるかに長い20年を超える日本人もたくさんいますが、それだけニューヨーク生活が長くても、老後は日本が良いと思っていたり、病気になったら日本で治療したいと思っている人がほとんどです。また、子供が小さく、指しゃぶりもする年齢で、コロナの中ニューヨークにいるのは子育てが大変だからと、幼い子供たちを連れて日本へ疎開していた友人もいます。

人気ユーチューバーのケースでは、アメリカ生活が長い両親もコロナの時に日本へ帰国したことを疑問視している人のブログ記事を見かけたりもしましたが、日本人である人が母国へ帰ってなぜ非難されなければいけないのか分かりません。病気になってしまったら、入院費だけで一泊1000ドルもするような国で治療はなるべく受けたくない、というのが実情です。

自分が「母国」と呼ぶ国でその国のベネフィットを受けるのはあくまで普通のことだと思います。私のアルジェリア人の知人は、フランス生活が長く、アルジェリアとフランス両方が母国のようになっていて、病気の治療はアメリカより治療費が安くてより質の高い治療が受けられるフランスで行っています。

国際化がどんどん進むこの社会で、世界のどこにいても、日本人が日本人としての誇りを持って、母国と繋がりを持ちながら安心して暮らせる社会になったら、と思います。


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