日本の英語教育で一番軽んじられているもの、それは、発音の練習だと思います。
完璧な英語を目指すあまり、文法や単語といったことにまず目が行き、発音が二の次になってしまう状況は、とてもよく分かりますが、「正しい発音で話す」ということが、こんなにも重要だということは、渡米してから気が付きました。
ネイティブの人の英語耳は、日本人の耳と全く違う構造のようで、完璧ではなくても、ある程度正しい音で発音しないと、全く伝わりません!
また、間違った発音に対する許容範囲は人によって異なりますが、日本で出会うネイティブスピーカーの許容度は日本人と同じぐらい広いので、彼らに通じても、現地で通じないということは多々あることが分かりました。
以前、大学時代にアメリカ留学をしてとても流暢な英語を話しているギリシア人の同僚がいましたが、ネイティブの人たちは、その人がいないところで、「あの人、ちょっとだけアクセントあるよね。どこ出身なんだろう?」なんて話していました。
また、日本に方言があるように、アメリカでは出身地域によって同じ単語でも発音の仕方が異なっています。そのため、NY出身の人たちは、他地域出身の人の英語を瞬時に聞き分けて、「xxさんはシカゴアクセント、xxさんは典型的ブルックリンアクセント(同じNY州内でもマンハッタンとブルックリンでは発音が異なるようです。)」だと話しているのを聞いたことがあります。
そんなわずかな差にですら敏感なネイティブの人たちなので、たとえ第二外国語だからといって、日本人が独特の発音で話していても、残念ながら、なかなか通じないのです。
言語はあくまで相手とコミュニケーションする手段でしかないので、せっかく話していても通じていない、というのはとても残念ですし、相手と会話が成立しなくなってしまいます。
では、発音力をつけるにはどうしたらよいでしょうか。
私はこんな方法が有効だと思っています。
・ネイティブが話しているのを集中して聞き、各単語をどのように発音しているのかを観察する(このトレーニングは、ヒアリング力の向上にもつながります)
・(ドラマや映画を使って)ネイティブの後に続いて話してみる。そして、余裕があれば、自分の発音を録音して、ネイティブとの違いを直していく。
・テレビでネイティブの人が話しているときの口の動かし方、さらには舌の動かし方(正しい舌の動かし方は、良い発音をするための鍵です!)を観察して、真似してみる
・ネイティブの友人の前で発音して、直接直してもらう
・発音クラスを受講する(日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、海外では英語塾で一般的に見かけますので、海外に旅行で来た際に1日コース等を受講してみたら良いかもしれません。)
先日読んだ新聞記事では、NYでアメリカ人を相手に活躍している日本人コメディアン小池さんの体験談として、口角を少し上げて話すとそれっぽい英語になると書いてありました。小池さんは、仕事柄発音がとても重要なので、色々な方法で発音して、ネイティブの人がどれだけ理解してくれるかの統計をとった結果、この結論に辿り着いたそうですが、確かにこの方法で話してみると、より英語っぽくなるように思います。
高校生ぐらいから留学していても、ネイティブと同じような発音をすることは難しいようで、発音はもっと幼い時の体験がすべてのようですが、少しでも良い発音ができるように、今年も模索していきたいと思います。