読む、書く、聞く、話す。
英語の練習は、究極的にはこのどれかに属しますが、アメリカで生活すればするほど、アメリカでサバイバスするための英語学習の重要度は、「聞く>話す>書く>読む」ではないかと痛感しています。
実践的な英語力を考えた場合、日本の英語教育で重視されているリーディングやライティングの重要度は、リスニングやスピーキングに比べて、間違いなく低いです。
ここでの前提条件は、
・上記はあくまで、実践的な英語力をつけるために優先すべき順位であるということ。
つまり、アメリカの会社で働いたり、アメリカで友達を作ったり、日常生活のトラブル(アメリカでありがちなテレビのケーブルが突然不調となったり、誤請求が来てしまったり、といった事態への対処)に対処したり、といった、アメリカで「生きていく」ことを重視した場合の英語学習の重要度、という意味です。(大学院入学といった学術的な観点からの優先度ではありません。)
・最終的には4つの全ての能力がバランスよくあることが必要ですが、私の上記の優先順位は、限られた時間の中で英語学習をする場合にまずはどこから手をつけたらよいか考えた場合の順位です。
それでは、なぜ、リスニングやスピーキングが一番重要なのでしょうか。
それは、リーディングであれば、書かれていることが分からなくても、辞書を使ったり、何度も読み返してみたり、と時間をかけることで自分のペースで対処できます。また、ライティングもしかり。納得いくまでいくらでも文章を練り直すことができます。
それに対して、リスニングは、相手が言ったことを瞬時に聞き取って理解できなければ、そこから話が進められないのです。自分のペースだけでなく、相手のペースに対応しなければいけない点で、難易度が一気に上がります。
さらに、相手の発言内容が分からなければ、適切な会話のキャッチボールを相手と交わすことができず、とんちんかんな答えをしてしまい、相手に理解力や知力が足りないと思われてしまう(これは、残念ながら日本人にありがちだと思います。)のです。
アメリカは、日本とは比べ物にならないほど、自分を表現することが要求される世界です。
普通のオフィスワークでも、日本であれば、黙々と作業をし、最後に出来上がったものを見てもらう、という流れが普通だと思いますが、アメリカでは、自分の成果物のレポートを読んでもらう、という最後の段階に行き着くまでの間には、周りとの活発な議論が交わされます。
そのため、周りの人たちからの質問に答えたり、自分がいる状況を、その都度、相手に説明する能力が必要となってきます。
こうした背景から、まずは、相手が話していることを「正しく聞き取る」という力がかなり重要となってきます。相手の話が聞けないと、どう返して良いかが分からないからです。
以前の私は、相手が言っていることが7,8割しか自信を持って理解できず、残りの2,3割の核心に触れるところはなんとなく聞き取れてはいたものの、万が一聞き間違えていて変な返答をしてしまったらやだなぁ、とのためらいから、自分なりの返答ができず、受け身でいずにはいられませんでした。職場でこんな状態が数年続いていました。
そうすると、本当はその残りの部分も実はきちんと理解していても、それは相手に伝わることはなく、本当は分かっているのに、というもどかしい思いとの板挟みで、なんとなく不完全燃焼、といった気持ちの悪い状態になってしまっていました。
その時強く思ったのは、まずは「聞き取れるようになること」が何よりも重要だということでした。
理想は100%一言一句聞き取ることですが、知らない表現が出てきたり(日常生活や仕事場で使われる英語はかなり限られているので、数年経てばそういった分野で分からない単語はほぼなくなりますが、やはり表現は人によって様々なので、馴染みのないイディオムが出てくることもあったりします。)、助詞が一部聞き取れなかったり、ということはごくごく普通にあります。
しかし、相手の話の大勢さえ正しく把握できれば、細かいところが聞き取れていないことは、相手にばれることはありません。
アメリカ人社会では「話して」なんぼというところがあります。
面倒くさがり屋だからか、アメリカ人相手の場合は、どんなに文章で書いても、それを言葉で説明する必要があるのです。
そうしたことから、ヒアリングは、日本で考えられている以上に重要な能力だと痛感しています。
ハロウィンムード高まるニューヨークの街並み。