アメリカには、キャリアウーマンやワーキングマザーがたくさんいます。
もちろん、白人男性優位の社会だったり、ネイティブでない人が上へ行くのはなかなか大変な環境だったり、ということもあり、"glass ceiling"(見えないガラスの天井)という表現もあったりしますが、管理職は男性だらけといった日本の企業の状況と比べたら、アメリカは女性にとって、はるかに働きやすい環境だと思います。
それには、色々な理由があり、それらがすべて関連しあっていますが、ざっと挙げると、こんな要因によるのではないかと思います。
男女平等:職場でも家庭でも、男女平等、という考えがかなりしっかりと定着していて、女性はすぐに仕事を辞めてしまいそうだから責任ある仕事を任せられないとか(そんなことが表面化したら、会社は「差別」で訴えられてしまいます。)、女性だからごはんを作らないといけない(私の周りでは、女性のほうが仕事が忙しく、男性が料理担当という家も普通にあります。)といった固定観念がありません。
フレキシブルなワークスタイル:人間、生活していたら、毎日が同じペースで進むわけではありません。自分の体調が悪くなったり、家族が病気になってしまったり、子供が熱を出して保育園に居られなくなってしまったり、といった状況は誰にでもあるはず。そんなことが起こったら、真っ先に家に帰り、残りの仕事は家から、ということも可能です。また、台風や大雪といった出社が難しいような状況のときには、在宅勤務(通称"work from home")が一般的で、無理して会社に行こうとする人も、それを強制する人もいません。
時短制度:大企業になればなるほど、管理部門のしっかりしていて、社員がより長く幸せに働けるような体制づくりがなされています。その一つが、時短制度。昇進はもちろんするし、上の職位につくことも可能ですが、その一方で、お給料も8割や7割に減る代わりに、仕事量も通常の8割や7割に減らす契約を会社と交わすことができます。小さなお子さんがいる女性がよく利用しています。
二社択一でない価値観:日本では、今でこそあまり一般的ではないかもしれませんが、寿退社という言葉があったり、子供が生まれたら家庭に入って専業主婦になる、という選択がありますが、アメリカでは、「仕事か家庭か」といった発想をする人があまりいないと思います。仕事はあくまで、自分の人生の一部。どれかを選ぶというよりは、仕事もして、家庭も持ち、子育てもする、というように、すべてを行うといった生き方をしている人がとても多いと思います。私はアメリカで教育を受けたわけではないので、詳細は分かりませんが、こうした考えを皆が共通に持っているのは、きっと、アメリカの教育で、個人として独立した生き方をする、ということが教えられているからなのではないかと思います。
割と一般的なナニーさんやベビーシッター、お手伝いさん:日本では、お手伝いさんが家にいるというのは、とても珍しい状況だと思いますが、こちらでは、ナニーやベビーシッター、お手伝いさんを雇うのは、ごくごく普通のこと。ちょっとした外出のときにナニーやベビーシッターさんに子供を預かってもらったり、また、忙しい家庭で家の掃除をお手伝いさんに定期的にお願いする、というのは、よくある光景です。
多様な価値観を認め、融通が利き、ライフスタイルが変わっても女性が生き生きと働ける環境があるアメリカ社会は、キャリアウーマンが増えつつある日本にとっても、参考になることが多いのではないかと思います。