ユニークなスーパー・Zabar'sの魅力に迫る！

04/23/2023

ニューヨークのガイドブックにも必ず載っていると言っても過言でないほどに、マンハッタンの象徴とも言えるスーパーマーケット、Zabar’s。今日はそんなZabar'sの魅力を紐解いていきたいと思います。

お惣菜の種類も豊富で、様々な国の料理がありました

Zabar'sの歴史は古く、現在の店舗があるその場所に1934年にオープンしました。お店があるアッパーウエストは今でこそ閑静な住宅街で知られていますが、当時はどのようなエリアだったのでしょうか。

当時から変わらぬ場所で営業を続けるZabar's。NYには老舗のお店も多いですが、同じ場所で全く同じスタイルで、というのは奇跡に近いです。

多種多様な人種が暮らすニューヨークには、米系スーパー以外にも、日系、韓国系、中国系、アラブ系、イタリア系など多種多様なスーパーがありますが、Zabar'sはユダヤ系スーパーの最古参でしょう。

Louis Zabarさんとその奥さんのLillianさんが始めたスーパーは、現在は長男と次男が引き継いでいます。
Louis Zabarさんはウクライナからの移民。Lillianさんとはニューヨークで出会ったそうですが、どうやらLillianさんはLouisさんのことをウクライナの村にいる時から知っていたそうです。

店内では、Zabar'sの歴史を綴った本も売られていました。表紙の写真は現在のオーナーである創業者の長男と次男。

オープン当初からこだわっているのが、品質。
ドイツ製の世界最初のドリップコーヒーの機械、Wigomatや他のメーカーのドリップコーヒーの機械を米国で最初に売り始めたのがZabar'sだったようで、新しいものを紹介することにも貪欲でした。Zabar'sの店内ではさまざまな種類のコーヒーを量り売りしていて、お土産にもおすすめです。

Zabar'sがユダヤ系スーパーとしてその名を知られているのは、スモークサーモンの豊富な品揃えやベーグルにあるのでしょう。特にユダヤ系のベーグルとして有名なのが、スモークサーモンとクリームチーズのベーグルである通称Lox（ラックス）。元々はスカンジナビアの食べ物だったようですが、ニューヨークに来てからユダヤ教徒たちの間で急速に広まっていったようです。
ユダヤ教徒の人たちはコーシャーと呼ばれる食べ物（特定の食べ物や特定の処理方法をされた原材料を使った食事）しか食べることが許されていないため、肉の場合はさまざまな規制から入手が困難ですが、サーモンであれば、コーシャー以外のスーパーから仕入れることも可能で手軽だったことがその理由の一つのようです。

こちらがスモークサーモン売り場。スモークサーモンと一言で言っても、様々な種類の商品が置かれていました。

また、最近久しぶりにお店を訪れて驚いたのは、その変化。どんな時代であれ人々が食べ物を必要とすることは変わりありませんが、オンラインスーパーも増えて競争は激化しているに違いありません。Zabar'sは世界各国の商品を積極的に取り入れていて、他のスーパーで見かけたことがないような面白い商品も数多く見かけました。私の記憶違いでなければ、かつてのZabar'sにはなかった動きです。
こうした独特のセレクションでお客さんを飽きさせないように工夫しているのかもしれません。

Zabar'sのHPによると、1960年代にはブリーチーズ、70年代にはサンドライトマトとニョッキ、80年代にはキャビアと、次々と新しい商品を世に広めていったそうです。そんな創業者夫婦の意思を息子たちが引き継いで、さらに事業を拡大しているのは素晴らしいことです。

アッパーウエストは高級住宅街。共働きの人も多い場所です。そんな場所柄を反映してか、調理された食べ物もたくさん売っていました

お寿司も！日本の方がこうしたお寿司を見ると日本との違いに驚かれるかもしれませんが、アメリカでお寿司というとこんな感じのものが主流です。海苔を外側に巻くのではなく、外側はごはん、というのが一般的。アメリカ人は暗めの色の食べ物を嫌う傾向があるようで、外側が海苔だと見栄えが良くないから、と聞いたことがあります（同様の理論で、醤油ラーメンはアメリカでは流行らないそうです）