今日はメモリアルデーの祝日で、アメリカは久しぶりの3連休でした。
メモリアルデーは、5月最後の月曜日にあたり、現役のアメリカ軍人たちを労わる日です。
自衛のための軍隊しかいない日本と異なり、アメリカの軍隊は、国の命令で今でも戦地へと赴きます。そんなアメリカでは、軍人たちへの待遇は格別で、年間を通じて国民の休日は数えるほどしかないものの、そのうち2日は軍人を労わる休日です(1つはこのメモリアルデーで、もう一つは、11月11日の退役軍人を労わるveteran's dayです。)。
アメリカの空港にも、軍人への敬意を示す標識があり、軍人(退役軍人も)は飛行機への優先搭乗が可能です。(表紙の写真は、メモリアルデー恒例の光景。式典帰りの水平さん。)
メモリアルデーは、夏の始まりとも言われる日で、毎年天気が安定しない5月のニューヨークも、不思議とメモリアルデーの週末は夏日のような陽気となります。
海開きが始まるのも、メモリアルデー。そんなアメリカ中が半分お祭りのような週末を、トランプ大統領は日本で過ごしました。
日本のニュースを少し見てみましたが、やはり、いつもと同じく、アメリカ側での報道とは大きな温度差がありました。
日本にとって同盟関係も結ぶアメリカの大統領の来日は、たとえその大統領が、アメリカ国内でどんな風に見られているのかを問わず、重要なことなのかもしれませんが、残念ながら、アメリカにとっては、世界中の数ある国の中の一つ、アジアの小国、日本の大統領と会った、という位置付けにしか過ぎないのです。
私自身がそうでしたが、日本に住んでいた時には、日本のメディアが報道するように、アメリカでも報道がなされていると思い込んでいましたが、アメリカでは、トランプ大統領の来日はさらっと報じられたに過ぎません。
また、一番違和感を持ったのは、国技館に敷かれたレッドカーペット。
日本の国技とも言えるスポーツ観戦に他国の大統領を招く際に、なぜ、相手国に合わせなければいけないのでしょうか。
日経新聞社より。
アメリカ人は床に座ることに慣れていないので、長時間座布団の上に座ることはできないでしょう。そのために、椅子を用意するのは仕方ないことかもしれませんが、わざわざ大統領杯を用意して優勝力士に授与したり、レッドカーペットを敷いたりして、大相撲の慣例を破ることは、不必要だし、外交関係で相手国と対等に立てない日本の姿を如実に表しているように思えてなりません。
日本には世界に誇るべき伝統文化や芸術が数多くありますが、そうしたものの良さは、海外に出てみないとなかなか分からないかもしれません。たとえニューヨークのように、最先端の流行を作り出していると言われるような都市にでさえ、日本のように繊細な文化は存在しないのです。そんなことに気がつくと、日本人自身が自国の文化や伝統を大切に守ろうとせず、こうして他国に無理に合わせようとしてしまうことには違和感ばかりが募ってしまいます。
日本の周りを見渡してみると、韓国や中国は、自国の立場をアメリカにもはっきりと示しています。
韓国は、今でもアメリカ国内で従軍慰安婦問題を持ち出して、日本の非をアメリカ議会へ持ちかけている一方で、アメリカでも通用するレベルのアイドルグループを作り、文化面からアメリカ人の心をつかもうとしています。現在、韓国内でも大人気のグループBTSは、歌や踊りがアメリカでも通用するレベルで、主要メンバーが、帰国子女でもないのに英語が上手くて英語での取材にも対応できるので、アメリカでもK-popの代表格として知られ、NYのお隣にある巨大なスタジアムで週末にライブまで行う規模への人気へと発展しています。その一方で、日本の有名歌手がニューヨークに来ると、アメリカ人に知られていないために、コンサート会場が全然埋まらず、とりあえず会場を埋めるためにチケットがただで回ってきたりします。
また、韓国料理屋さんで欠かせない韓国のお酒、SOJU。かなりアルコール度数の高いお酒で、アメリカが規定しているアルコール度数を上回っているそうです。
同じく規定値を上回っている日本の焼酎がアメリカにないのに対して、SOJUはあちこちで飲まれているのは、韓国議員たちがロビー運動をした結果だと最近聞いて驚きました。
中国は貿易問題でアメリカと揉めていますが、アメリカで暮らす中国人たちはたくましいです。先日も、バスに乗ろうとした中国人女性が、運転手さんに何か話しているのですが、どうやら中国語で話していたようで、運転手さんが困惑していました。車椅子に乗った方でもあったので、運転手さんは、急いで乗客に、中国語が話せる人がいないか助けを求めていました。ニューヨークで長年生活しているように見えた女性でしたが、この方に限らず、ニューヨークには、日常会話レベルの英語もできずに生活している中国人もたくさんいます。
今回のトランプ大統領の訪日は、トランプ大統領が喜んで帰ったようなので、日本国内では接待は成功だったと捉えられているかもしれませんが、アメリカ側では、外交上、何のインパクトもないトランプ大統領のお遊び旅行のような感じで捉えれらているような気がしています。(アメリカでは、2年後の大統領選挙へ向けて、多くの候補者たちが選挙活動を始めました。こんなに日本が頑張って接待したアメリカ大統領も、2年後には違う人になっていることでしょう。)
この記事を書く直前に、ワードプレスでオススメの記事として、こんな記事が現れました。
日本はどうしたのか - 正気とは思えないトランプ"狂騒"狂騒
今回のトランプ大統領の訪日報道を見て、日本の外交政策のひどさにがっかりするとともに、それらが日本で報道されていない現状に危機感を覚えました。海外に住んでいる人で、私と同じように感じた人は多いはずです。