NY散歩

NYならでは!ハーレムのゴスペルでエネルギーチャージ

ニューヨークだからこそ体験できることは数多くありますが、そのなかの一つがゴスペル音楽を聞きに行くことでしょう。

(c) William College

私が初めてゴスペルと出会ったのは、20年以上前の2度目のニューヨーク旅行の時でした。初めてのニューヨーク旅行では自由の女神をはじめとするお決まり観光コースで旅程が埋まってしまったのですが、2度目の訪問時に、NYらしい体験をとハーレムを回るバスツアーに参加したのです。

かつては犯罪や薬物の温床のようなイメージしかなかったハーレムにクリントン元大統領が、政権を終えた後、慈善活動などのための自身のオフィスを構えたのが2001年のこと。ハーレムのイメージや人の流れを変えることになったと今でも語り継がれているような出来事で、大きなニュースとなりました。

ちょうどハーレムが変わり始めたばかりの頃とはいえ、土地勘のない人が地下鉄でふらっと行くのはリスクがあると思って参加した米系の旅行会社が主催していたハーレムツアー。その時に訪れた教会で聞いたゴスペル音楽は、20年経った今でもその光景が脳裏に焼き付いているほどに衝撃的な体験となりました。

何がそんなにすごかったかというと、教会内の熱気、エネルギッシュなゴスペル音楽のエネルギッシュ、そして観光客までをも温かく受け入れてくれた地元の人たちの優しさです。最後に司教さんが観光客の人たちにどこの国から来たか次々に尋ねて「私たちは地球上のファミリー。皆で仲良くしよう!」というメッセージをくれて、舞台のゴスペル聖歌隊、地元の信者たち、観光客みなが総立ちで盛り上がったのです。

ハーレムは、歴史的に、アフリカンアメリカンの人たちのコミュニティが根強い地域です。奴隷制のもとで虐げられた生活を余儀なくされていたアフリカンアメリカンの人たちは、自由を歌に求め、神への忠誠や愛を誓ったのがゴスペル音楽の原型と言われています。毎週日曜日の朝にアフリカンアメリカンの教会で同志と集い、ゴスペル音楽に触れるのは、彼らにとって唯一とも言える心やすらぐ時間だったのかもしれません。

ハーレムの街を歩くと、教会の多さに目を見張ります。何百人も収容できるような大きな教会もあれば、外の扉にさりげなく十字架が彫られていてブラウンストーンの一軒家の一部が教会となっていることも。

教会が自然と溶け込んでいるハーレムの街

アフリカンアメリカンの教会に限らずそうですが、敬虔な信者の人は通常、自分が所属する教会を決め、正式にメンバーとなり、毎週日曜日朝、また、年間で特定の大きな行事の日に教会へ行ってお祈りをします。彼らにとって神聖な場所である教会は、本来、観光客が軽いノリで行く場所ではありません。

そんなこともあり、観光客を受け入れてくれるハーレムの教会は限られています。今回、久しぶりに渡米間もない友人を連れて行くことになったのですが、教会はそもそも観光客前提で成り立っていないため、どの教会のホームページにも観光客用の情報が載っていず、初めて訪問したときの教会の名前を探す術はありませんでした。そこで、ハーレムで有名なある有名な教会を再訪しました。

そこは、1808年創設のAbyssinian Baptist Church。アフリカンアメリカンの人たちが、ある教会で黒人だからという理由で白人とは別の席に座らされたことがきっかけで、神のもとではみな平等であるのにおかしいと反発し、エチオピアン出身の商人たちと一緒に創設したのがはじまりと言われているハーレムの中でも歴史ある教会です。

生で聞くゴスペル音楽は迫力もエネルギーも全然違い、その素晴らしさは言葉で表現はできないほどです!音楽好きの方でもそうでない方でもぜひ一度は訪れたいハーレムの教会ですが、その情報はあまり多くありませんので、ここにまとめてみました(今回私が訪れたAbyssinian Baptist Church以外にも観光客を受け入れてくれる教会はありますが、正確な情報がネットからは入手できなかったため、ここでは私自身が実際に訪れた教会をご紹介します)

Abyssinian Baptist Churchの外観。荘厳なつくりが目をひきます。教会の外でも地元の参加者の写真をなかなか撮れず、写真がありませんが、華やかなドレスで広いつばがついた帽子をかぶっている女性も多かったです

Abyssinian Baptist Church
・132 W 138th street New York, NY 10030
(地下鉄A、B、C線の135丁目駅、または、地下鉄2、3番線の135丁目駅から徒歩5分)
・日曜日朝10時ぐらいから始まるセッションは、一定人数のみ観光客を確実に受け入れています。観光客の人は、教会の目の前の道を渡った向かいで並びんでいると、9時頃から整理券が配られますので、その整理券を受け取ります。その後、9時半ぐらいになると教会スタッフの案内で教会内の2階席へと案内してもらえます)
確実に整理券を受け取るためには、8:15-8:30amには列に並んだ方が良いです。
・教会でのセッションは10時から2時間ぐらいですが、途中退出や離席はできません(途中でトイレに行くことも厳禁)。整理券を待って並んでいるときに教会スタッフが教会地下のトイレに連れていってくれる時間がありますので、その時にトイレは済ませておいたほうが良いです。
・服装:教会は神聖な場所のため、露出ある服装をしていると、中に入れてもらえませんので注意が必要です。短パンやジーンズ、タンクトップ、サンダルはNGです。ちょっとお出かけするようなこぎれいな格好が必要です。
・寄付:セッションの最後のほうで、寄付を入れる入れ物が回ってきます。寄付はあくまで任意ですが、教会の人たちが快く観光客も受け入れてくれていることへの感謝の気持ちも込めて、少なくとも$10ぐらいは寄付したほうが無難と思います。
教会内での写真や動画撮影は一切厳禁です。また、教会内では飲食も禁止されています。
・セッションの途中では皆の動きに合わせて手拍子をしたり、立ったりする場面がありますが、周りの様子を見ながら一緒にやると、その場の雰囲気に溶け込んでさらに楽しめると思います。

この教会は、毎回のセッションを同時中継で、さらには録画で配信していますので、少しでも雰囲気を味わいたい方はこちらのページを覗いてみてください。

ゴスペル音楽の魅力を言葉で表現するのは難しいですが、映画「天使にラブソングを」で出てきたようなゴスペルが生で聞けるというと少しイメージが湧いてくるでしょうか。ニューヨークならではの感動体験であることは間違いありません!


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