恥ずかしながら、アメリカの有名人はほとんど知らないので、街中でロケバスやイベントに遭遇しても、あまり興奮することはありません。
でも、気になるので、そんな現場をたまたま通りかかると、近くの人に誰が来ているのか聞いたり、写真は撮ったりしています。
金曜日夕方の帰り道、それぞれの週末を楽しむ人たちや観光客が足早に歩く、グランドセントラル駅の東側を通るレキシントン街で、不思議なトラックを発見。
いつも交通量の多いこの通り、そして特に人通りと交通量が多い金曜日のこの時間になんだろう、と思ってよく見ると、なんとロケバスでした!
狭い道を占拠するように止まっている3台もの大型ロケバスをじっと見ていると、通りがかりのニューヨーカーが、そのバスについていたロゴ「Made in NY」を見て、「あっ、Made in NYのバスだよ!」と話しているのが耳に入ってきました。
早速調べてみると、NY Cityでは、こんなに面白いプロジェクトがずいぶん前から開始していたようです。
昨年末で任期満了でNY市長を退任されたマイケル・ブルームバーグさんが2005年に始めた「We Are Made In NY」プロジェクト(公式HPはこちらからどうぞ)は、NY Cityをデジタル経済の中心地にしようという運動。
インターネット関連のビジネスというと真っ先に思い浮かぶのは、グーグルやフェイスブック、アップルなど、アメリカの名だたるIT企業が本社を構えるサンノゼエリアを拠点とするシリコンバレーですが、どうやら、そのシリコンバレーに対抗してのプロジェクトでしょうか。
開発の75%以上をNY Cityで行い、一ヶ月のHP訪問者やユーザーが1万人を超える企業であれば、誰でもこのプロジェクトに登録可能で、認可されると、Made in NYというロゴを使ってビジネスができ、様々な支援が受けられるようです。
日本のように、大学を卒業してみんなが一斉に企業に就職するのと違い、アメリカはキャリアパスも多様です。
もちろん、大学を出て会社勤めをする人が大多数ですが、その後、さらにそのキャリアを追求するために大学院やビジネススクールに会社の補助を受けて行ったり、また、キャリアチェンジのために、学校に戻る人もたくさんいます。中には、自分で起業し、活躍する人も。
スティーブジョブスやマーク・ザッカーバーグの卵のような人はたくさんいるのが、ここアメリカです。
起業当初は、資金繰りからビジネスモデルの構築、広告宣伝等々、あらゆる課題があると思います。そんな時に、こうしたMade in NYのようなNY市が母体になったプロジェクトから支援が受けられたら、なんと心強いことでしょう。
Made in NYのロゴが使えるようになったら、ビジネスの信用度も高まりますし、無料や低価格での研修が受けられたり、NY市が提供する様々な情報源を使えたり、ネットワーキングイベントを通じて同業他社の人に会ったり、といったことを通じて、事業が発展していくきっかけを作ることができると思います。
また、NY市にとっても、こうした優秀なビジネスマンが集まってくることで街が活性化し、ゆくゆくは税金も収めてくれるようになったら、市がさらに発展するための強固な基盤ともなります。アメリカはUnited States of Americaという国名に象徴されるように、州に多くの自治が任されています。
そのため、州によって、運転免許の試験内容も違ったり、お酒のルールも違ったり、また、以前こちらのブログ(過去記事)でもご紹介しましたが、同性愛結婚の可否も異なったりと、州が違うと、一見国も違うような状態です。
法人税や個人税の税率も州によって異なり、とりあえず法人登記は法人税が安いところでする会社や、個人税の安い地域に引っ越して行ったりする人もいます。NYは税金が多くて有名な場所ですが、こうして勢いある会社や人が集まってくるのは、NY市にとっても良いことに違いありません。
私はIT関係はとても弱く、Made in NYプロジェクトにどんなIT企業が参加しているのかは全く分かりませんが、こうしたNY市とITビジネス両方にとってのWin-Winモデルが、どのように発展していくのか注目したいと思います。
また、少子高齢化社会という大きな問題を抱えている日本にとっても、東京オリンピックを控え、世界に日本をアピールする良いチャンスであるこの時期に、街や国の発展のために、こうしたモデルから学ぶことは多いような気がしています。