先日、コロンバスサークルの前にそびえ立つタイム・ワーナーセンタービル内に、NYで初めてとなるamazon booksの店舗がオープンしました。
人数制限をしていたので店内はぎゅうぎゅうという感じではありませんでしたが、みんなamazon booksのNY初店舗に興味津々で色々な商品を手にとって眺めていました。
アマゾンといえば、皆さんご存知のインターネットでのショッピングサイトで知られていますが、何でもインターネットへと移行する時代に、ネット大手のアマゾンが、このご時世に、ネットから飛び出して実際の店舗を構えた、というのは、興味深い事実です。
オープン当初とあって、人数制限をするほどの人気ぶり。本屋さんにしては、決して広くない、日本の小さな町の駅前にある本屋さんぐらいの規模ですが、この店舗には面白い試みがいくつもあります。
- 全ての本にアマゾンのレビュー付き
こちらの店舗で置かれている本は、アマゾンのサイトで高いレビューを受けたもののみと厳選された本ばかりなのですが、さらに、一つ一つの本にアマゾンのサイトでのレビューの平均点とレビューの要約が記されています。
レビューは、こんな感じです。右下に小さく2017年2月1日現在と記載があり、その時点で
のレビュー数や平均レートが記載されています。このレビューは、随時更新されることで
しょう。
- 同じ本に2つの価格設定
お店に並ぶ本に値段が書かれていません。アマゾンプライムの会員か(年会費99ドル)そうでないかによって、値段が異なるのです。アマゾンプライムの会員であれば、同じ本がそうでない人のほぼ半額で買える仕組みとなっています。そのため、本の値段が知りたい場合は、店内の専用の機械に本のバーコードをかざすと、会員料金と通常料金が表示されます。 - 現金での支払いは不可
このお店は、面白いことに、現金での支払いを受け付けていません。クレジットカード、もしくはプライムメンバーであれば、アマゾンのプライム会員の口座へのチャージがなされるのです。アメリカではクレジットカードが広く普及していて、1ドルや2ドルのコーヒーでもカードで買う社会です。個人経営の小さなお店では、カード会社への手数料を敬遠して、現金しか受け付けない場合もあります。しかし、その逆で、現金は受け付けないというお店は、amazon booksが初めてです。
プレミアム会員は、登録されている映画やドラマが見放題だったりと様々な特典があるので、1冊の本でこんなに値段が違うのであれば、プレミアム会員になったほうが長期的に見てお得かもしれません。 - 本以外のアマゾンの商品も販売
小さな店内ですが、アマゾンの電化製品を扱うスペースもあり、本屋さんとしての枠を超えています。 - 本は全て表紙が見えるように陳列
通常の本屋さんでは、売れ筋の本以外は、背表紙しか見えない状態で本棚に並べられていますが、ここamazon booksでは、全ての本が表示が見えるような形できれいに並べられています。もともとこのお店では、売れ筋の本しか置いていないですし、アマゾンの要約されたレビューとともに本を手にとれるので、良い本に出会いやすそうです。
全ての本がこうした形で陳列されていて、とても見やすいです。やはり、実物を手にとって見られるのは、便利です。
NYで本屋さんというと、私は大好きな映画「You've Got Mail」が思い浮かぶのですが、NYでは数年前から、まさにこの映画と同じようなことが起こっていて、街中の小さな本屋さんに限らず、大型本屋さんも閉店を余儀なくされています。赤白のチェック模様の看板で親しまれていたBordersは倒産してしまいましたし、もう1つの大型本屋さん、Barnes and Nobleもどんどんその規模を縮小しています。こうした老舗本屋さんの苦戦は、アマゾンの台頭によるとも言われてきましたが、そのアマゾンが、実店舗を構え、その数を増やそうとしているのは、興味深いです。皮肉にも、amazon booksのNY1号店となったタイム・ワーナーセンター内には倒産する2011年までBordersが店舗を構えていました。amazon booksの挑戦に多くの人の目が集まっています。
タイム・ワーナーセンターのショッピングモールの入り口。こちらのショッピングモールは、H&Mのような庶民派のお店もある一方で、人気ブランド店や、ミシュランの三ツ星店でおまかせコースが1000ドルは下らないというMASAという超高級お寿司屋さんや、同じくミシュラン三つ星の常連さんでるフレンチレストランPer Seも入居しています。