前回の記事では、アメリカで生活の立ち上げをするときに、海外から来た人が必ず直面する問題について書いてみました。
それらは、自分が「きちんとした」人であることを証明するための資料がないことから直面する問題の数々。
そして、アメリカでは、各人の「きちんと」度を適時に、そして正確に把握するために、ある番号を使うことが編み出されました。Social Security Number(略してSSNと呼ばれることが多いです。)、いわゆる社会保険番号で、日本でいう国民年金番号のようなものです。
もともとは、社会保障制度のために、各個人に付与された番号ですが、一生涯において一人一つの番号しか持つことができない固有の番号であるという特性を生かして、驚くべきことに、この番号は、アメリカ社会において、幅広い用途で用いられています。
SSNがあれば、クレジットカードや携帯電話の請求書をきちんと支払っているか、税金をいくら収めているか、といったことから、犯罪歴まで分かってしまいます。
なぜなら、このSSNという番号は、クレジットカードや携帯電話の契約時、確定申告書の提出時(アメリカでは日本と違い、かなり限られた例外を除き、基本的に全員確定申告を行います。)には必ず記載が求められる他、公的書類上にも必ず記入しなければなりません。そのため、この番号一つに、個人情報はほぼ集約されていると言っても過言ではありません。
生活をしていく上で重要なあらゆる場面で、この番号が求められるため、SSNを持った時が、アメリカにやっと一人前、と認めてもらえた時だとずっと思ってきたので、たった9桁の番号でしか過ぎないこの番号を入手できた時は、ほっとしたことを今でも覚えています。
この番号は、社会保険事務局に出向いて、一定の書類を提出することで取得できるため、アメリカに入国したからといってすぐにもらえるものではありません。以前は学生でも簡単に取得できたようですが、今では、アメリカで仕事につかないと、もらうことができません。
アメリカ人であれば生まれた時に付与される番号で、アメリカで暮らす大多数の人が持っているため、逆にこの番号がないと不思議に思われてしまいます。アメリカは色々な意味で適当そうですが、こんな制度を思いつくなんて、いかにも合理的なアメリカ人らしいです。それにしても、1つの番号ですべてが分かってしまうとは、恐ろしいことです。