NYで秋を楽しむ

Thanksgivingの過ごし方

アメリカには様々な宗教の人たちが暮らしているため、アメリカ中の人たちが一斉にお祝いをする機会は意外と多くありません。元旦、7月4日の独立記念日、そして11月の第4木曜日のThanksgivingが、アメリカの3大イベントの日と言えるでしょう。

そんな大きなイベント、Thanksgivingは今週の木曜日に迫っています。今日はアメリカのThanksgivingの起源を辿りながら、Thanksgivingの過ごし方についてご紹介したいと思います。

Thanksgivingの歴史

Thanksgivingはその名の通り、感謝祭。1年を健康で食べ物に困ることなく暮らすことができたことに感謝する日です。

その歴史はなんと1600年代にまで遡ります。歴史の浅い国アメリカで、1600年代と言うとかなり昔のようですよね。

イギリスからメイフラワー号に乗ってプリマスにやって来たピルグリム・ファーザーズは、1620年の厳しい冬を乗り越えることができず、半減してしまいました。しかし、先住民であるアメリカ原住民たちに狩りや農耕などを教えてもらい、1621年の秋には多くの収穫を得ることができたそうです。
そのお祝いとして、ピルグリム・ファーザーズがアメリカ原住民たちを招いて3日にわたって食事をもてなしたことが、今日のThanksgivingの起源のようです。

Thanksgivingの原型。当時のプリマスの様子 (c) History

当時のメニューは、現在のThanksgivingとはだいぶ違ったと言います。料理はアメリカ原住民が使用するスパイスや調理法に基づいていました。また、ピルグリムはオーブンを持っていなかった上、メイフラワー号の砂糖の供給もひっ迫していたことから、パイやケーキといった今日のThanksgivingのデザートの定番メニューもなかったのです。

独立戦争の頃は、議会が年に数日のThanksgivingの日を定めていたようですが、アメリカ初代大統領となったジョージ・ワシントンが、就任初年度の1789年にThanksgivingを宣言したそうです。その宣言の中では、独立戦争の嬉しい結末とアメリカ合衆国憲法の制定への感謝の気持ちを示すようにとアメリカ国民に呼びかけたようです。

その当時はThanksgivingは国全体ではなく、州単位での祝日でした。1817年、NY州はThanksgivingを祝日と定めた最初の州のひとつとなりました。その後、Thanksgivingを国全体の祝日とする動きが広がり、1863年にリンカーン大統領がついにその声に応え、11月の最後の木曜日をThanksgivingの祝日と定めました。しかし、世界恐慌の打撃を受けた時代に、小売業界の売上を上げようと、ルーズベルト大統領が、Thanksgivingを1週間早めて11月の第4木曜日とし、現在に至っています。

Thanksgivingの食べ物

上記の経緯から、Thanksgivingは家族や親せきで集まり、日々の生活に感謝する日として位置づけられていみあす。いわば、日本のお正月に当たるのが、Thanksgivingなのです。

日本では考えられないかもしれませんが、何時間もかけてオーブンで焼いた大きな七面鳥を切り分けて食べるのが、Thanksgivingの定番です。 (c) Getty Images

Thanksgivingの代表的な食べ物と言えば、七面鳥の丸焼き(通常、野菜やパン、ハーブなどを詰め込んでから焼きます)やマッシュドポテト、インゲンや芽キャベツのオーブン焼き、クランベリーソース、パンプキンパイです。他にも家庭によって定番メニューもあることでしょう。

この時期、スーパーには驚くべき大きさの七面鳥がたくさん売られています。こんな特大サイズの七面鳥を焼く家庭がたくさんあるのはアメリカならでは!

ここ数年、ビーガンフードも急速に普及していますが、なんと七面鳥に似せたビーガンフードまで。一体どんな原料なのでしょうか?

かぼちゃのパイもたくさん売っていました。隣に写っている缶は、ホイップクリームです。

 

Thanksgivingの過ごし方

前述したように、Thanksgivingは日本のお正月のような祝日。家族や親せきが一堂に会して、ひたすらごはんを食べる日とも言えます。Thanksgivingの週は実家への帰省ラッシュで空港や道路が混みあい、全米十で大移動が起こります。実家に帰省しない人たちは、"friendsgiving"と言って、友人たちで集まってホームパーティーをするのがならわし。

オフィスだけでなく、レストランや美術館など普段営業している多くの場所がお休みとなるため、街はとても静かです。マンハッタンで営業しているレストランといえば、韓国人や中国人が経営するお店ばかりです。この日はお休みのスーパーマーケットも多い為、前日までの買い出しでスーパーも混むのがこの時期です。

NYの街を彩るThanksgiving Day Parade

前回の記事に登場したアメリカを代表する庶民派デパートのMacy'sは、Thanksgiving当日に大きなパレードを開催することで知られています。

このパレードの始まりは1924年。今やNYのThanksgiving Dayを象徴するイベントとなっていて、テレビ中継も行われます。パレードは、アメリカで人気のキャラクターたちを巨大な風船として練り歩くというものですが、そのサイズはさすがアメリカ。ビル数階分ほどの高さまでのそれはそれは大きな風船なのです。

日本のキャラクターも登場するMacy'sのパレード (c) Xinhua/Li Rui/Getty Images

実のところ、NYの住人は混むからとか寒いからといった理由でパレードは現地には見に行かず、道を埋め尽くす観客の多くは、他州からNYへ観光へやって来た人と言われています。美術館など主要観光地はこの日はほぼ閉館しているため、Thanksgiving Day当日の観光と言えばパレードぐらいしかないのも実情ですが、これを楽しみにNYへ遊びに来る人も多そうです。

Thanksgivingの翌日は例年、年末に向けての大セールが始まるBlack Fridayですが、あまり景気の良くない今年は、なんと既に前倒しでBlack Fridayセールが始まっています。みなさま、良いホリデーシーズンをお過ごしください!


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