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(一部更新)就任1週間で大暴走、そして大きく揺れるアメリカ

トランプ政権の最初の1週間が終わりました。

遊説中は不可能に思えるような非常識なことを豪語していたけれど、いざ大統領に就任したら意外とまともな対応をするのではないかという淡い期待は、残念ながら、完全に、そして思わぬ形で覆されてしまいました。
アメリカ生活8年目ですが、こんなにも大統領の動向がメディアで報道されているのは見たことがありません。それだけ、奇想天外な行動に、皆が戦々恐々としているのです。
まず、メキシコとの国境に壁を作り、メキシコからの輸入品に20%の関税をかけることで、壁の費用を捻出するというとんでもない案を公にし、メキシコの大統領は近いうちに予定されていたトランプとの会談をキャンセルしました。
そして、昨日は、executive orderと呼ばれる大統領令が出されたのですが、それにより、トランプが不法移民が多いと判断したイラン、イラク、シリア、イエメン、スーダン、ソマリア、リビアの7カ国からの人々の入国が今後90日間禁止されることになりました。また、シリアからの難民の入国も禁止されることに。
executive orderは聞き慣れない言葉だと思いますが、調べてみたところ、議会での承認なく大統領の権限で発動できる命令のことのようで、トランプは、自身の権限を利用して、こんな命令を発動したのです。
ニューヨークタイムズ紙の記事を読んでいると、この大統領令が発動された直後から、空港の移民局での警備が突然強化され、これらの国々からアメリカに「合法的な」理由で戻ろうとしたり入国しようとした人々は、たとえ有効なグリーンカードや就労ビザ等があっても、入国を拒否されてしまっているそうです。アメリカに家もあり、家族もいる人々が、出張であれ旅行であれ、たまたま大統領令発動直後の便でアメリカに入国しようとして突然拒まれ、トラブルに巻き込まれてしまっているのです。
自分の力で合法的な滞在資格を取得し、今まで何ら問題なく暮らしてきた人々が、トランプが敵対視するイスラム教がメインの国出身だからという理由で、アメリカで暮らす権利を奪われてしまうというのは、一体どういうことなのでしょうか。
これに対してミシガン大学はいち早く声明を発表し、どんな国からの人であれ、平等にアメリカで教育を受ける権利があること、それを大学がサポートすることを明確にしました。さらには、生徒の出身国の情報はたとえ政府が相手であれ、求められても公表しないようです。
私の会社も、色々な国の人が働いているので、早速法務部から異例のメールが届き、今後の移民関連ニュースに注視するようにとのことでした。
幸い日本に対しては、ひどい対応はないと思いますが、トランプによって勝手に敵対視されてしまった7カ国の人たちの想像もできないような不安や抱えきれないようなストレス、そしてアメリカに戻ることができずに困り果ててしまっている人たちのことを考えると、人ごとではない大事態です。
NYの海外への玄関口、John F Kennedy空港では、今日の午後抗議デモが起こったそうです。
トランプがビジネスを行なっているトルコやアラブ首長国連邦のような国は、アメリカとの間にちょっとした確執があったり、イスラム教徒がメインの国であっても、今回の大統領令からは外されていて、完全に公私混同しているとの指摘もあります。
このexecutive orderが出されたのは、1月27日夕方4時半頃。トランプの突然の暴走に対して、その翌日の28日、ブルックリンの連邦裁が、空港で足止めを受けている人たちを開放するようにとの異例の立場を公表し、executive orderは裁判所判断でまったがかかりました。これにより、なんとかアメリカに戻ることができた人たちもいたようです。
移民の力で発展し、移民によって成り立っているアメリカが、移民たちを敵対視するという矛盾した方向へ突き進んでしまっていることに、危機感を覚えずにはいられません。

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