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アメリカの今後10年を占う一大イベント

3月半ば頃から、新聞やテレビ等を賑わせていたのは、アメリカ住民の生活を今後10年にわたって決めることになるこのイベントでした。

それは、United States Census 2010。
10年に1度行われる国勢調査です。

日本では5年に1度行われているようですが、あまりその存在を意識したことはありませんでした。しかし、アメリカでは、この国勢調査は一大イベントで、NY州でもしきりに回答の提出を呼びかけています。また、日系の新聞だけでなく、同窓会組織等でもさかんにNY在住日本人への投票を促していました。

というのも、この調査結果により、
・50ある各州の連邦下院議員の人数が決まる→NY州の回収率が高いほど、NY州の下院議員数が増えて、NY州の発言力が強まると同時に、NY州が多くの予算を獲得できる。
・州ごとに割り当てられた予算は、移民の数、行政区ごとの人口に応じて割り当てられる→日本人の回答が多いほど、日系人向けサービスへの予算が増加する。

電車の中には「たった10分の回答時間で、10個の質問に答えるだけで、あなたの10年が決まるのです」というキャッチフレーズも。

下が送られてきた封筒。上の葉書は提出を促すお知らせ。裏には、「回答はアメリカの法律で義務付けられています」との文字も

その10問の質問事項は、

Q1 現住所に滞在している人数(2010年4月1日時点)
Q2 Q1で含めなかったけれども、2010年4月1日時点で滞在している人数
Q3 家の所有形態
Q4 電話番号
Q5 住人の名前
Q6 性別
Q7 年齢
Q8 ヒスパニック、ラテン、スパニッシュ系か?
Q9 人種
Q10 たまに他の場所に滞在することがあるか?

いたって普通の質問ですが、なんともアメリカらしさが出ているのは、Q8からQ10の選択肢。
Q8では、Yesを選択すると、メキシコ人、プエルトリコ人、キューバ人、その他とさらに細かい区分けが。
その他にくくられてしまったものの、NYに多くの移民がいるドミニカ人たちは、「ドミニカ人という選択肢も設けてほしい」とデモ行進をしていました。

Q9の選択肢は、
白人、黒人、アメリカンインディアンまたはアラスカの土着民族、インド人、日本人、土着ハワイ人、中国人、韓国人、グアム人、フィリピン人、ベトナム人、サモア人、その他アメリカ人、その他太平洋の島民、その他

日本人という選択肢もちゃんと存在しますが、その他の選択肢はアメリカならではです。

Q10の選択肢では、
Yesをつけた場合、軍隊、刑務所なんてものもあります。

この国勢調査、あらゆる手段で回答を呼びかけ、さらにNY州職員が、登録台帳から漏れてしまっている住所を日々しきりに探し出しています。

それでも、回答率が芳しくないようですが、その主な理由として、NY州の国勢調査担当長が挙げている3つの理由がありますが、それは、
言葉の壁:回答用紙は全て英語のため、英語が読めずに回答を放棄する人がいる。⇒各移民のコミュニティーが成立しているNYでは、かたことの英語でも十分暮らせてしまいます。メキシコ、中南米からの移民も多く、英語ができなくてもスペイン語ができれば、それで事が足りてしまうほど。
不法移民であることがばれることへの恐れ:回答は、どの住所から返送されるかが一目瞭然のため、不法入国した移民は、身元が判明することを恐れて、回答をしない。→実際、締め切り日の4月1日時点での回答率は、移民が多く住むブルックリンやクイーンズはマンハッタンよりも低い結果となっていました。⇒仕事、安定した暮らしを求めて不法入国して何代も、という家族も多いNY。そうした彼らは、あえて身元がばれるようなことは絶対にしません。
個人情報が流出するのではという誤解

NYではまだまだ少数派の日本人として、日系人向けサービスが向上するように、との思いも込めて、先日回答を投函しました。これから判明する、各州の結果も注目していきたいと思います。


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