NYから世界を考える

ロシア人の友人が今感じていること

今年の2月にこちらの記事、「ウクライナ人クラスメイトの12年前の言葉」を書いてから早くも1年が経とうとしています。

この記事を書いた時には、今頃には戦争は終わっていると思っていました。いまだに毎日のように飛び込んでくる惨状を見るにつけて、早く平和が訪れることを願ってやみません。

ニューヨークでは、マンハッタンから地下鉄で1時間ほど行ったブライトンビーチという地域が、ロシア人街として知られています。
人種のるつぼと言われるニューヨークですが、世界各地からやってきた移民たちは、やはり母国の人たちと結束を強めるのが常で、マンハッタンのお隣のクイーンズやブルックリンは、エリアごとに人種構成が異なっています。

ブライトンビーチは、メインの通りから外れるとこうしたごくごく普通の住宅街です。目抜き通りには、ロシア系の食料品、洋服店などが並んでいます。

1070年代半ばにソ連からの移民、主にユダヤ系の人々がニューヨークでの定住先として選んだのがブライトンビーチでした。なぜこの地区が選ばれたのかは分からないですが、マンハッタンまで近すぎず遠すぎずという距離で、きっと地価が安かったのがこの地域だったのでしょう。第二次世界大戦以降、荒廃した地域だったのです。
そして1991年のソ連崩壊により、さらに多くの人たちがこの地域に移住し、ブライトンビーチといえばロシア人街、と呼ばれるようになったのです。

去年の秋に買い物に行った時の写真。商品は特別なルートでロシアから直輸入しているのでしょう。マンハッタンのスーパーでは見たことがない商品ばかり。ロシアだけでなくトルコなど中東のものも販売していました。

なんでも驚くほど安く、そして美味しいのです。マンハッタンからわざわざ買い物に来る人もいるほど。

こちらはスーパーのお惣菜コーナー。ロシアの料理が並んでいます。値札にもロシア語が。店内ではロシア語が飛び交い、店員さんにも英語で話しかけない限り、ロシア語で声をかけられます。

先日たまたま見た日本の報道番組で、この地域にウクライナ戦争により移り住んだウクライナ人女性と子供たち2人のことを取り上げていました。旦那さんは戦地へ駆り出されてしまっていて、母国での生活が困難なため、奥さんと子供たちはこのブライトンビーチのエリアに引っ越してきたそうです。子供たちは現地のロシア語メインの保育園へ通い、奥さんは子供たちが寝てから夜働きへ出かけています。物価が高いニューヨークで小さな子供を抱えての生活は大変、と漏らしていました。

ロシア人はきっとロシア系コミュニティの中で暮らしていることが多いのでしょうか。オフィスワーカーとしてニューヨークへやってくる人はあまりいないからでしょうか。私がニューヨークで出会ったロシア人はそんなに多くありません。

今でも印象深いロシア人美女のことは、以前、「ロシア人美女に刺激を受けた2週間」という記事で紹介しました。

引っ越してご近所さん同士になったことから交流が深まりつつあるロシア人女性が、「NYらしいメンバーとの土曜日朝の楽しみ」という記事に登場したDianaです。

戦争の話はセンシティブなので、私は自分から決して話題にすることはありませんでしたが、テニスのクラスにいたオーストリア人女性でNYのオーストリアメディアで働くAnnemarieとDianaがテニスレッスン中にボールを拾いながら戦況について話をしているのを何度か見たことがあります。また、いつも日本人ネイリストにユニークなネイルを頼んでいるというDianaが、ウクライナの国旗色のネイルをしていたことから、彼女はロシア出身ですがウクライナを支援していることに気がつきました。

Dianaは、ウクライナへの寄付金集めの野球のチャリティーマッチにも足を運んでいました。ロシアはロシア語だけで完結した社会なので、よほどのことがない限り、英語を流暢に話せることはありません。ロシアの小さな町出身のDianaはロシア人と結婚していた大昔のことを"abusive marriage"で大変だったと振り返っています。言葉の暴力、それともDV? 詳細はわからないですが、かなり苦労したそうです。そんな折に、友人の紹介でアメリカ人男性と知り合い、結婚のためにNYへ渡って今や20年ほどの時が経っています。ロシアにいた時に貿易会社で働いていて、英語圏とのやりとりも多かったので、英語の壁はなく、スムーズにNYでの生活が始まったそうです。

ジブリの映画について以前何度か聞かれたので、「となりのトトロ」を勧めたら、早速旦那さんと見てすごく気に入って、今度猫を飼う時には「トトロ」と名付けると決めた!とまで話していました。旦那さんがベジタリアンのため、ベジタリアン向けのSUSHIなど、和食を作ることもあるそうです。

テニスに食、さらには猫のオーナーという共通の趣味があって親しくなったDiana。彼女が今一番心配しているのは、ロシアにいる兄弟のことです。いつ召集命令が来るか分からないので、何度もロシアを離れることを説得しようと試みたそうですが、新しい環境での生活に不安とのことで、未だロシアに留まっているそうです。

以前、日本のYouTubeで、ロシアにいる人は一般人も含めて皆戦争の加担者だ、と流れていましたが、NYから見た今回の出来事、そして私が知る唯一のロシア人の友人のことをお伝えしたいと思ってこの記事を書きました。

一刻も早く平和な日々が訪れることを願ってやみません。


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