アメリカでの社交術は、日本とは大きく異なります。
今まで、色々な文化の違いについて書いてきて、それはどれも日本人にとっては完全になじむことが難しいものばかりでした。
・アメリカでの目標達成型思考はこちらとこちら へ
・日本人が必ず戸惑う待ち合わせはこちら
しかし、こちらの社交術は、日本人でも「アメリカ流がいいよねー」という人が多いぐらいに、かなりの支持率を得ています。そしてみんながその方法を導入しています。
私は、日本在住歴のほうがアメリカ滞在歴よりもかなり長いので、ふらっとお茶したりごはんに行ったりできる友達は、こちらよりも圧倒的に日本にたくさんいますが、アメリカ流社交術のおかげで、何かあったとき、困ったときに、助けてくれる友人、知人たちはこちらにかなりたくさんできました。
その社交術のキーワードは、「Networking」
新聞、テレビあちこちで日々耳にする言葉で、これはアメリカ生活を送る上での重要単語の1つだと思います。
この言葉が一番よく使われるのは就職活動の場面。
これについては、また別の機会に譲ることして、今回は友人作りのNetworkingについて触れたいと思います。なお、ここでいう「友人作りのNetworking」での友人とは、純粋な「友達」のことです。
日本での友人作りは、学校を卒業して社会人になってからはなかなか難しいと思います。会社内で多くの友人は作れても、会社外でとなるとかなり至難の業ではないでしょうか。
その大きな理由は、お互いの友達を紹介する文化がないから、だと思います。
たとえば、日本では、誰かと会う約束をしていて、別の友達からもその日に会おう、と言われたら、先約を優先して、別の友達とは違う日に会うことになると思います。
それがアメリカでは、かなりのケースで、「じゃあ、みんなで一緒に会おうよ」っていう方向に話が進んでいきます。
日本では、初対面の人同士で気が合わなかったらどうしよう、とか、話題に事欠いたらどうしよう、とか色々考えてしまい、色々気を使うより、別々に会ったほうが楽でいいや、というのが大きな理由だと思うのですが、アメリカでは、なぜかバックグラウンドの全然違う人たちがいきなり集まっても、不思議と場が成り立っていきます。
それは、こうした機会が多いから初対面の人とどうやって楽しむのかを知っている人が多いこと、話題をふったり話題を提供するのが上手い人が多いこと、バックグラウンドの違う人がたくさんいるから、そんな違いから自然と話題が生まれてくること、英語は日本語のように厳格な敬語はないのでカジュアルな言葉で話せること、がその理由なのではないかと思います。
前に友達何人かを家に呼んだときに、とある友人がいきなり私が面識ない人を連れてきて、「さっきまで一緒にいたから連れてきたんだけど、いい?」と聞かれたときには、さすがにちょっとビックリしましたが、そんなこともありの世界のようです。
そして、アメリカ流Networkingの良いところは、そこで出会った人たちと、「特殊なつながり」ができること。
たとえ1度しか出会っていなくても、そうした人々は、何かあったときに確実に助けてくれるのです。
誰かのためにどれだけ自分の時間やエネルギーを使うかは、日本的価値観だと、一般的には、友人関係の深さに比例すると思います。
しかし、アメリカでは、1度の出会いだけで、困ったときに行動を起こしてくれる人たちがとてもたくさんいます。
これは、NYの日本人社会にもかなり深く浸透していて、いまこんなことをしたい、とかこんな状況なんだけどどうしよう、とか話すと、みんなが自分ができる最大限の力、色々な方法で何かをしてくれます。
そして自分も、誰か困っている人がいたら、自分ができるあらゆる方法を駆使して、何とかしたいと思います。
これは、アメリカ流の気さくなNetworkingと、海外で生きる移民としての連帯感の相互作用から生まれてくるのではないかと思います。