NYでドキドキの体験

ニューヨークらしい?!驚くような出会い

ニューヨークでは、常に色々なイベントやパーティーが開催されているし、ニューヨークに住んでいる有名人も多いので、街中でそうしたセレブに出会うことも多そうですが、実際そんなことはめったにありません。
私が海外事情に疎いのと、人の顔を判別するのが苦手、というのが大きな原因ですが、それでも、ニューヨークに長いこと住んでいると、全く予想もしていない場所で、驚くような人と話す機会に恵まれたりもします。

7年間のNY生活でそんな最初の驚きがあったのは、数年前のこと。
それは、たまたまブログで見つけて興味があったアッパーイーストのイタリアンレストランにブランチに行った時に起こりました。
なんと、私の隣の席でたまたま食事をしていた、あのアメリカを代表する伝説的テニス選手、ジョン・マッケンローさんのご両親に突然声をかけられたのです。
そのレストランは、アッパーイーストの住民の間で人気のレストランだったようで、お客さんは私達を除いて全員白人のアメリカ人。
普段NYでそんなことは感じないのですが、アジア人が足を踏み入れているだけで少し目立つぐらいに白人社会の空間だったのです。
私達が食べ始めてからしばらくして隣の席に座った老夫婦。奥さんの方が、なぜか私の方をちらちらと見ていて少し話しかけたそうにしているのは気付いていたのですが、お話をする機会はありませんでした。
でも、私の友人がトイレに席を立った瞬間に、奥さんが私に「このお店どうやって知ったの?」と自然な形で声をかけてくれて(アジア人がいないお店なので、これが一番気になっていたのだと思います。)、「ある日本人の方のブログで見たんです。」と言うと、「あら、日本人なのね。」となり、そこから「うちの息子は仕事で日本に何度か行ったこともあって、私達もその時に一緒に着いて行って、京都のすばらしい旅館に泊まったのをよく覚えています。」と会話が弾み(この時にはまだジョンのご両親であることは先方は全く話していません。)、しばらくして、お父さんのほうが、「ジョン・マッケンローって知っていますか?」と言って、ジョンのお話で盛り上がったのです。
後からネットで調べてみると、お父さんはウォール街の有名法律事務所の弁護士さんで、今では独立し、ジョンとジョンの弟(同じくテニス関係)の著作権等の法律関係全般を一手に引き受けているようです。
「ジョンはとてもやんちゃな選手だったけれど、ある時日本の女の子からファンレターが来たこともあるんです。」と穏やかに話すお母さん。気品あふれるとても素敵な老夫婦でした。

なぜ私に話しかけようと思ったのかは今でもかなり謎ですが、英語で楽しく会話ができ、英語を学んでいて良かったと思った瞬間でもありました。そして、もっとアメリカのことを勉強して、アメリカ人が持っている常識的な知識も蓄えていこうとも思いました。(言葉はあくまで手段で何を話すかということが重要なので、アメリカ社会では特に、色々な話題についていける能力を身に付ける必要があります。)

そして、今日、また驚くべきことが起こりました。

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そんな出来事が起こったのは、アッパーイーストのこちらのカフェ、Sant Ambrose。軽食だけでなく、夏はジェラートも有名。ここは、私が尊敬する美容師さんが勤務していた美容室の一階にあります。

前から気になっていたカフェに読書をしに行こうと思い、一人電車に乗り、現地に着いたのですが、天気がよく、外の座り心地が良い席は全部いっぱいで、仕方なく店内の座り心地が悪いバーカウンターのような席にいたのですが、向かいに相席で女性が座りました。
どんな職業なのかしらと思うような全身ゴージャスな方。
彼女はなぜか誰かと話したそうで、私が飲んでいたグレープフルーツジュースを見て、「それ何ジュース?マンゴー?」と会話が始まりかけました。
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店内はこんな感じ。ショーウィンドウには美味しそうなサンドイッチがたくさん。

そして、私が単行本をかばんから取り出して読もうと思った瞬間に、本の表紙を見て、「あら、日本語の本じゃない?あなた日本人なの?」となり、アメリカ人で漢字やカタカナを見て瞬時に日本語と分かる人はそんなに多くないので、「どうしてこの文字が日本語だと分かったんですか?」と聞いてみると、「昔日本でレストランを経営していて日本に17回行ったことがあるの。」と会話が弾み、彼女のビジネスの話、旅行の話、息子の話等々で盛り上がりました。
途中で私のこともちょっと聞かれ(職業やNYに来た経緯等)、簡単に話したりもしました。彼女はロス・アンジェルスからたまたまニューヨークに遊びに来ているようで友人との待ち合わせがあるの、と言ってひとしきり話したらいなくなってしまったのですが、ロスに来ることがあったら、「日本人のxx(私の職業)のxx(名前)です。」って連絡ちょうだいね、と別れ際に名刺をくれました。

そしてその名刺を見てビックリ!名刺に収まらないほどの数のレストランの名前がたくさん書いてあるのですが、その半分ぐらいがWolfgang系列のレストラン。
なんとその方は、全米で手広くレストランを展開していて、NYでも有名ステーキ店を経営しているWolfgang Packさんの前妻だったのです。
彼女自身はインテリアデザイナーとして活躍されていて、ネットの記事によると、Wolfgangさんと結婚し、彼が手掛けるレストランの内装はすべて彼女が手がけていたようです。
Wolfgangレストランの成功の影の立役者でもあったのです。
今では仕事だけでなく、慈善事業家としても熱心に活動していて、あちこちから表彰を受けたりもしているようです。

アメリカでは億万長者(実際、アメリカの大金持ちは億ではなく何十億、何百億といったレベル)は山ほどいて、メディアを賑わすようなお騒がせセレブも多い一方で、お金持ちであることをひけらかすわけでもなく、ごくごく自然に普通の人と会話を楽しんだりする人もたくさんいて、そうした方と何らかの偶然で話す機会があるのは、ニューヨークならではで面白いと思います。

なぜ彼らが私に声をかけようと思ったのかは、直接聞いたわけでもないので不思議でならないのですが、一つ言えるのは、日本に興味があって、なんとなく私が日本人だろう、と思って話しかけたのではないかと思います。

そして、確実に言えるのは、私が、自分なりにきちんとした服とメイクでいたこと。
私はそんなに値段のはる服を持っているわけではないので、あくまで私が持っている服の中でちょっとお出かけ用みたいな感じの服で、週末ふらっとした外出なので、ほとんどメイクなしでもいいかなぁと思いつつ、いちおうちゃんとメイクしてみたときにこうしたことは起こっているのです。
アメリカでは、日本以上にTPOが重視され、その場に合った服装や行動が求められるのですが、いつも行かないちょっとだけランクが上の、それでいて高級というほどではないレベルのお店に行くと、店員さんもお客さんもきちんとした人ばかりで、驚くような出会いがあったりするのは、面白いです。
いつ何が起こるか分からないNY。これからも、面白い体験ができるかもしれないので、面倒だと思った時でも、きちんとした服とメイクで外出しょうと思いました。


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