年末から続いていて、過去最長の政府機関閉鎖の事態に追い込まれていたアメリカ。
日本でも報道されているように、トランプ大統領が、大統領就任当初の公約ともしていたメキシコとの国境に壁を作る予算を盛り込まない限り、予算案に署名をしないとして、署名を拒み続けたため、政府職員にはお給料が支払われず、多くの政府職員は自宅待機の事態となりました。
昨日、ようやく暫定案に大統領が署名したことによって、3週間の期限付きで政府閉鎖は解除されました。でも、壁建設の予算が盛り込まれなければ、3週間後に新たな閉鎖に入ると、大統領は強固な姿勢を崩していません。
移民によって成り立っているアメリカ。しかも、不法移民も多くいるアメリカ。法律を冒してまで移住するなんて、と思う人もいるかもしれませんが、アメリカ社会の構造を学ぶにつれて、不法移民だからといって一概に非難できないとも思います。
アメリカで暮らす人々の生活は、不法移民の人たちが普通の人がやりたがらない多くの仕事を安いお給料で行ってくれていることによって成り立っているからです。そして、そうした不法移民たちは、いつか不法滞在であることがバレたら母国へ強制送還になるというリスク、そして、一生アメリカから外に出ることができないという覚悟(不法である以上、合法的なビザがないので、一旦アメリカ国外へ出てしまうと、再入国ができないです)で、アメリカへやって来ています。
何より今回の出来事で驚いたのは、アメリカ人の貯蓄事情。
政府機関閉鎖で、国立公園等も閉まってしまい、観光客にも打撃が。また、1か月もの政府機関閉鎖は、アメリカの景気にも大きな影響与えています。(写真はCNNより)
宵越しのお金は持たないと言われ、将来のために貯蓄に励む日本人とは正反対の傾向があるアメリカ人ですが、政府機関閉鎖で、アメリカ人が本当にその日暮らしであることが浮き彫りとなりました。政府機関閉鎖の長期化で、1ヶ月分のお給料が支払われなくなったことで、家賃が支払えなくなったり、食べ物を買うお金がなくなって、フードスタンプ(低所得者のための食糧配給所)へ駆けつける政府職員が続出したのです。政府職員といっても色々で、空港や国立公園の職員など、決っして高給取りばかりではありませんが、それにしても、直近1ヶ月分の生活費を賄うだけの貯金もないなんて驚くべき事実だと思います。ある記事には、国民の40%が400ドルの貯金も持っていないと言われている、と書いてありました!
莫大な大学の学費を支払うために、社会人になってから学生ローンを何年間も返し続けている人の多いアメリカ。その後も、高い家賃の支払いや子供の教育費などで生計が圧迫されている人は多いです。また、大学へ行けなかった人や行かなかった人は、仕事の選択肢が限られてしまい、働いても働いても収入は増えません。ただ、それだけでなく、身の丈以上の出費をしてしまう人も多いために、貯蓄が著しく少ない事態を招いているのだと思います。
収入に見合った生活をしたり、計画的に貯蓄をしようというのが日本人の発想だと思いますが、アメリカはそれとは全然違う思考回路の人が多い国のようです。
それにしても、あまりに馬鹿げた壁建設議論に固執しているトランプ大統領で、強固反対している民主党との間に落とし所すら見えていない状況ですが、この論争、どのような決着となるのでしょうか。。。