NYから日本を考える

日本と世界との差ってどれぐらい?

みなさん、サッカーW杯はどこで観戦していますか。

NYでは、4年前のW杯のときには、NYを地盤とする日系広告代理店がバーを貸しきって日本代表応援イベントを企画していた他は、特に大きな観戦イベントもなく、友人たちと集まって近くのバーや家で観戦という人が多かったです。

今回は、初戦はNY時間で土曜日の夜9時というゴールデンタイムだったこともあり、4年前と同じ広告代理店に加え、いくつのも団体がマンハッタン内各地で観戦イベントを企画していました。広告代理店が企画したイベントには700人以上もの人が押しかけ、お店に入れなかった人たちは、試合開始前に急いで近くの別のバーに駆け込んで試合を見守ったそうです!私が参加した別の団体のイベントも、どこからこんなに、と思うほど続々と日本人が押しかけ、200人ほどの人が集まりました。

マンハッタンは街中にこんなバーが多く、スポーツ観戦はバーで行うのが定番。このお店では、W杯にちなんで、お店の軒先に参加国32カ国の国旗が飾られていました。

そして、今日の第二戦はさらに別の団体が企画したイベントに駆けつけました。普段街を歩いていると、日系企業が集まっているミッドタウンエリアを除いては、あまり日本人を見かけることはないのですが、4年前と比べてはるかに多い日本代表観戦イベント、そしてそれぞれのイベントの盛り上がり方を見て、一体どこにこんなに日本人がいたんだろう、と驚くと同時に、NYで暮らす日本人の勢いを感じています。

数的優位に立ちながら勝てなかったギリシア戦、残念でなりません。こちらへ来てから、テレビ中継がないので、日本代表の戦いを見るのは本当に久しぶりというのは、日本にいた頃、代表戦に足繁く通っていた私からは考えられない状況ですが、その分、少し冷静に試合を見ることができています。

1993年にJリーグが開幕した頃、海外経験者といえば、若い頃にブラジル留学をしたカズしかいませんでした。そして、W杯出場も夢のまた夢、という世界でした。

それから21年経った今、W杯出場はもはや当然、さらにはグループリーグ突破を目標に掲げ、レギュラー選手のうち半分ぐらいの選手はヨーロッパの有名リーグを筆頭とする海外でプレーする選手で占めることになる、とはその当時思いもしませんでした。世界との距離は、私達が予想できないほどのスピードで、確実に縮まっていっているのです。

アメリカ生活を始めてから、世界中から優秀な人たちが集まってくるニューヨークで、日本では出会ったこともない優秀な人たちを目の当たりにして驚く一方で、他国の人たちより優れた日本人の特徴も日々実感しています。
個性を尊重して自由な環境であるアメリカでは、優秀な人のレベルは日本よりはるかに高いと思いますが、国民全体で見た場合の「きちんと感」では、日本人のレベルは世界で一番だと思います。そして、そんな日本のことが気に入って、日本人以上に日本の文化や歴史に傾倒する海外の人が多いのです。

日本人のきちんと感とは、
・時間に正確(1分の誤差なく電車が走っている国は日本ぐらいだと思います。)
・清潔(アメリカでは、スタバのテーブルは座る前に自分でふかないといけません。)
・丁寧(アメリカでは、カスタマーサービスに電話すると対応の悪さにいつも気分が悪くなります。)
・真面目(アメリカでは、雪や台風で会社を休むことは公に認められています。)
・絶対忘れない(アメリカでは、仕事上でも送ったメールに2,3日返事がなかったら忘れられているので、確認の電話やメールは不可欠です。待っていても返事は来ません。)
といったことに集約されると思います。

体格面では劣るのに、日本のサッカー選手たちが欧州の名門クラブのスカウトたちに注目され、そして海外で活躍できるのは、こうした日本人のきちんと感から来る、日々の真面目な練習や努力の賜物だと思います。その一方で、まだ世界を舞台に互角に戦えないのは、きっと持っている力の出し方や見せ方の問題なのかなぁとも思います。なぜなら、日本人は世界一きちんとしているのに、伝統的な製造業は海外のライバル勢に押されているし、もっと海外を舞台に活躍できる日本人は多いはずなのに、まだまだその数は本来の姿よりも少ないように感じるからです。

数日後に控えたグループリーグ最終戦。手強いコロンビアが相手ですが、日本代表の選手のみんなには、コートで「日本らしさ」を表現し、ぜひゴールネットを揺らしてほしいです。


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