一日経った今でも、昨夜の感動が色鮮やかに蘇ってきます。
熊本を代表する演歌歌手、水前寺清子さんがNYで初めてのコンサートを行いました。
私が演歌を聞くのは、日本に住んでいた頃、1年に1回、紅白歌合戦の時ぐらい。
友人に誘われて何気なく足を運んだコンサートだったのですが、こんなに心に響くコンサートはなかなかないと思うほどの感動の連続でした。
熊本の被災者のためにとあるNPO団体が発案した今回の企画。
熊本出身ということで、水前寺清子さんの事務所に打診したところ、二つ返事で来てくれることになったそうです。
会場内は撮影禁止だったため、残念ながら公演中の写真がありません。こちらは昨日のパンフレット。
歌はもちろん、水前寺さんの軌跡を紹介するビデオ放映の前後に、歌手デビューのきっかけとなったお父さんの話、ちょうど昨日7回忌を迎えた恩師星野哲朗さんとの思い出話、あだ名チータの由来、NY初舞台への想いと盛りだくさんのトークが入り、会場全体が熱気に包まれました。
お父さんの経営していた商店の倒産により、12歳のときに夜逃げ同然で、夜行列車に揺られて一家で熊本から上京した水前寺さん。歌は好きだったものの、プロになることは全く考えていなかったそうです。その一方で、水前寺さんの才能を信じたお父さんの後押しで歌の練習を続けますが、歌手への道は狭き門。全国コンクールで1位にならなければデビューはできないという厳しい時代に2位を獲得し、4年間の下積み時代を経てデビューにこぎつけたそうです。
こんなに国民的歌手なのに、当時は3年売れれば十分、という気持ちだったそうです。
本場のステージでは、テレビで見る何倍ものオーラを発していた水前寺さん。
71歳とは思えないパワーと、「三百六十五歩のマーチ」に代表される前向きな生き方で550人もの聴衆を魅了しました。
水前寺さんの人生のモットーは、恩師星野先生による「真っ直ぐ生きている人のところには、真っ直ぐな人が寄って来る」という言葉だそうで、自分の人生に、そしてニューヨークの観客に、真っ直ぐに向かい合っている水前寺さんの温かい人柄をひしひしと感じたコンサートでした。
三百六十五歩のマーチは、一度はご本人単独で、2度目はニューヨーク近郊に住む子供合唱団の子たちとの合唱となりました。会場にいる人全員に歌詞も配られました。