今年は11月後半になっても穏やかな日が続いているニューヨークです。
この時期は例年であれば、最大限の防寒服を着ているはずですが、いまだに日本の冬のコートを着ています。
そして、この文章を書いていて気がついたのですが、日本のコートとは、なんと私がはるか13年以上も前に着ていたコートです。
絵になる景色が多いマンハッタンでは、映画や雑誌の撮影が行われることもしばしば。素敵なお姉さんを見かけました。
今日の記事は、そんな13年以上も前から私が思いを馳せてきたNYの老舗カフェ、Cafe Laloについてです。
Cafe Laloの外観。木枠の窓がなんともおしゃれ。
ガイドブックにも必ず載っているこのカフェが一躍有名になったのは、トムハンクスとメグライアンの有名な映画、”You`ve Got Mail"に登場したことがきっかけです。おしゃれなタウンハウスが並ぶアッパーウエストの閑静な住宅街に佇む古き良き時代のニューヨークの象徴のような佇まいなので、きっと映画に出る前から有名だったことでしょう。それだけ、内装も外装も、そしてメニューも全てがカフェという枠を超えた存在なのです。
日本でNY行きを夢見て英語を勉強していた時、外部講師の方が英語の勉強法を伝授するという社内研修があり、勇んで参加しました。
その時に、講師の先生が、生きた英語表現は、映画やドラマから学ぶのが一番の近道で、難しい作品ではなく、日常生活を描いたものを選んで、一言一句聞き取れるようにすることをお勧めしていました。
このブログでは書いたことがないかもしれませんが、私は人の顔を覚えるのが大の苦手。一度会った人であれば全く問題ないのですが、ブラウン管の中だけで見る存在である女優や俳優、芸能人は全く覚えられないのです。そんな状態なので、見られる映画も限られてきます。登場人物を追いかけることができないため、あまり大人数の人が出てきたり、服装や髪型が変わってしまうと、話に全くついていけないのです。
外部講師のお勧め映画リストの中に、そんな私でも見られる映画を見つけました。
それが、"You've Got Mail"
舞台もマンハッタンで、私にぴったりの映画だと思い、それから、日々、仕事が終わって家に帰ってはこの映画を少しずつ見る生活が始まりました。
最初は通しで見て全体のストーリーを把握しましたが、その後は一言一句を聞き取る練習、そして、その通りに話す練習へと入ったので、最初は10秒ずつのように短いスパンで区切って、その場面を繰り返し20-30回ずつ見る、ということを行っていました。大袈裟でなく、最終的には、渡米までの間に合計で50回ぐらいは見たのではないでしょうか。
映画のワンシーン。Cafe Laloにて。
私にとってバイブルのような映画の中で重要な役割を果たしていたのが、Cafe Lalo。
NYへ移住してから何度も行ったことのあるお気に入りのカフェです。一人で行ったり、語学学校時代の友人との再会に利用したり、日本の友人を紹介したり。
NYのロックダウンが終わった時に久しぶりに友人と訪れると、改装工事中とのことでお店は閉まっていました。
その時になんとなく嫌な予感はしたのですが、実は改装工事ではなく、カフェのオーナーと大家さんが法廷闘争にまでなっているということを最近偶然記事で目にして、ただただびっくりしています。
記事のライターも詳細が分からないのでしょう。
記事はかなりシンプルな内容で、パンデミックの間の家賃支払いと水漏れ修理代を求める大家さんと、真っ向から対立するオーナーとで裁判沙汰になっているとのことでした。
一度閉めてしまったカフェを再オープンするのはとても大変です。
従業員を雇ったり、仕入れ先の調整をしたり、もう2年以上閉めているので、メニューの再考も必要でしょう。
私が大富豪であれば、パンデミック期間の家賃をぽんと肩代わりして再開をサポートしたいと思うほどに、私にとって思い入れのあるCafe Lalo。私だけでなく、NYの街の歴史的スポットとしても再開を願っている人は多いはずです。
私が最後に訪れたもは2010年代半ばと思いますが、1998年の映画公開時と変わらぬ姿をしていました。
これだけ移り変わりの激しい街で、奇跡的なことです。
1日も早い営業再開を願って、今日はこの記事を締めくくりたいと思います。
☆Cafe Lalo☆
201 W 83rd St, New York, NY 10024