年々暖冬になっているニューヨーク。日によって気温差はありますが、今年も総じて過ごしやすい日が続いています。
私がニューヨークの寒さの基準としているのは、着るコート。本当に極寒のニューヨークでは、日本で着ていたコートでは全然間に合わず、私はZARAで買った内側がもこもこでスキーのジャケットのようなダウンジャケットを引っ張り出してきます。このコートが登場しないうちは、本格的な寒さではないかもしれません。
そんな過ごしやすい冬のニューヨークのこの時期の楽しみといえば、街中を彩るイルミネーションやホリデーデコレーションではないでしょうか(ニューヨークには色々な宗教の人がいて、クリスマスはあくまでクリスチャンのための行事なので、ニューヨークではあえて特定の宗教を避けるために、この時期のことをホリデーシーズンと呼んでいます。)。
ニューヨークの冬の楽しみ方は、皆それぞれ違うかもしれませんが(過去記事でご紹介した冬のおすすめは、NYで冬を楽しむのカテゴリー内の記事をぜひご参照ください。)、この時期はイベントが多すぎて、毎年消化不良です。
しかし、今年は私が渡米以来やってみたかったことをついに達成しました。
それは、期間限定のノスタルジアトレインに乗ること。鉄道おたくでは決してありませんが、歴史あるものが好きなので、ずっと気になっていたこの企画。
それは、なんと、1930年代に実際に使われていた地下鉄にそのまま乗車できるというものです。
丁寧に保存されてきたからか、現代の汚い地下鉄よりもきちんとしているかもしれません(笑)
イベント好きのニューヨーカーが考えそうなこの面白い企画は、ニューヨークの冬の風物詩の一つとなっています。それは、11月後半から12月末にかけての1ヶ月間、特定の週末に数本だけ、普通の地下鉄の路線を、大昔に使われた地下鉄が走るというとてもユニークなものです。
毎年ブルックリンの遠くの路線で行われていてなかなか行けませんでしたが、今年は2nd avenue line開通記念で、アッパーイーストの2nd avenueの始発96丁目の駅を通る路線が選ばれました。
1930年代といえば、日本は昭和の時代が幕開けしてまだ間もない頃です。そんな時代の電車がいまだに当時の姿で保存されていることだけでもすごいことですが、冬の楽しみとして、実際に運行してしまうという発想は遊びが大好きなニューヨーカーらしい発想かもしれません。
2nd avenueの96丁目駅。
電車が駅に到着すると一斉に拍手が沸き起こり、皆良い写真を撮ろうと一目散に電車へ近づいていました。電車は外観だけでなく、中も当時のまま。いすは意外としっかりしていて、裸電球がむき出しになっていたり、当時のまま広告も残っていて、時代の面影が至るところに感じられます。走っている途中で、蒸気機関車のような音が突然鳴ったり、電球が一瞬切れて社内が真っ暗になるところは、当時を再現した演出なのか、ただの不具合なのかは分かりませんが、友達とおしゃべりしながら、あっという間にマンハッタンの反対側まで到着しました。
昔の地下鉄は、こんなに落ち着いた色だったようです。
ネコの耳のカチューシャをつけた可愛い子もうまく写真に入ってくれています。
社内の広告にも注目です。
数年に一度ずつの度重なる値上げを経てついに1回の乗車運賃2.75ドル(ニューヨークの地下鉄は距離に関わらず、一律料金です。)にまでなった地下鉄ですが、当時はたったの10セント。
裸電球やむき出しのファンにも時代を感じます。
友人によると、この電車を含め、他にも昔の地下鉄は、ブルックリンにあるNew York Transit Museumに保管されていていつでも見ることができるようですので、ニューヨークの昔の姿に興味がある方は、ぜひお出かけください。
ノスタルジアトレインの運行スケジュールも同じくTransit Museumのサイトから確認ができます。
ノスタルジアバスもあるようですが、こちらはHPに正確な運行スケジュールが載っていませんでしたので、運良く乗れたらラッキーかもしれません。