このブログでも、おととし二度に渡って記事にしたAmazonの大躍進。
2017年、オンラインショッピングが売りだったアマゾンが、実店舗の本屋さんをオープンし、さらには、アメリカで人気のスーパー、Wholefoodsも買収しました。
NYにamazon booksが上陸
変わりつつあるアメリカ流ビジネスモデル
アマゾンの本屋さんでは、本に値段が書いてありません。店内の機械でスキャンすると、アマゾンプライム会員とそうでない会員とでそれぞれの値段が表示されます。もちろん、アマゾンプライム会員だと安く買えるようになっています。
また、アマゾンはWholefoods買収後、アマゾンプライム会員限定の特典を大々的に打ち出していて、これを機にアマゾンプライム会員になった人も多くいるのではないでしょうか。
ネットの世界だけでなく、実社会でも勢力を増し、敵なしといったアマゾンですが、今全米で大きく報じられている2つのことで、今年は試練の年になりそうです。
それは、アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏の驚くべき不倫報道と、ニューヨーカーからの大反対で頓挫しそうな本社機能半分のニューヨークへの移転。
日本でも報道されていましたが、年明け早々に、アマゾン創業前からサポートしてくれていた奥さんとの離婚を発表したベゾス氏。25年間も一緒にいた妻との間に一体何があったのかと皆驚きましたが、ゴシップ誌に、家族ぐるみで仲良くしていたご近所さんの女性との不倫が報じられました。ベゾス氏の奥さんもプライベートで付き合いがあったというベゾス氏の不倫相手。アマゾン創業者として多忙なベゾス氏は、誰にも見られないようにプライベートジェットで不倫相手と旅行を繰り返していたと言われています。また、一緒に過ごす時間を少しでも多く持つために、先日行われた、アメリカ最大のスポーツイベント、アメリカンフットボールの全米王者を決めるスーパーボウルの際に流す予定だったCMにも不倫相手を起用していたようです(スーパーボウルは全米で一番視聴率が高いスポーツイベントで、毎年目が飛び出るような高額なCM枠を、大手企業が買い取っていて、この日のためだけにCMを制作しています。ベゾス氏の不倫報道で、CM放送は取りやめになったようです。)
ただ、このベゾス氏の不倫報道は、驚くべき展開を見せていて、先週、ベゾス氏は、アメリカの大手ゴシップ誌から、脅迫を受けていて、彼らの言う通りにしないと、不倫相手とのテキストや写真を公表すると脅されていることを公表しました。プライベートなやりとりがどうやって漏れたのかと言われていますが、今朝の報道によると、不倫相手のお兄さんが流したとの噂も。そして、この一連の出来事は、単なる不倫報道ではなく、アメリカのビジネス界、エンターテインメント界、政界、さらには国際関係も絡んだ複雑な事情が隠されていることを、私が愛読している下記のブログで指摘されています。(ベゾス氏はアンチトランプ。ベゾス氏が不倫相手と交わしたプライベートなテキストメッセージや写真を出版社にリークしたと言われている不倫相手の兄はトランプ大統領の友人。)
かなり深い内容の長文記事ですが、記事途中にある関係者の相関関係図を見ただけでも、この出来事がいかに複雑か、そして、いかに世の中を支配している人たちが繋がっているかが見えてくると思います。
そして、会社の拡大とともに手狭となったシアトルの本社機能をアメリカの2都市に移転しようとしていたアマゾンですが、そのうちの1つとして選ばれていたのが、マンハッタンのお隣、ロングアイランドシティー。観光客には全然知られていない場所ですが、マンハッタンからイーストリバーを渡ってすぐの新興住宅街のロングアイランドシティーは、交通の便が良く、マンハッタンを見渡せる絶景が売りで、高級コンドミニアムが次々と建ち始めていて、今注目のエリアの一つです。今までマンハッタンにいた駐在員も、わざわざ引っ越したりするような場所になっています。
こんなに儲かっているのに、高額の税務控除を行政からもらって移転しようとしていたアマゾンに対して、ロングアイランドシティー地区の住宅価格の高騰、電車の混雑、地域に根ざしていた小さな商店の衰退を恐れた地元の人たちや、そうした人たちをサポートする議員たちの大反対にあい、ニューヨークへの移転を取りやめにする可能性も高まってきています。
社会の価値観が少しずつ変わってきていて、非人道的なことをしようとすると、たとえ大企業や力ある人の行動でも、反対運動が起こって、昔のようにすんなりと進まなくなっているのではないかと、アマゾンの出来事を見て感じました。
アマゾンにとって前途多難な年になりそうですが、どのようにイメージや失った信頼を回復していくのか注目したいと思います。
(表紙の写真は、ベゾス氏と離婚を発表した奥さん。Forbesより。)