今週末はLabor day weekendでした。
Labor dayとの名の通り、労働者の休日なので、Labor day当日は、街中の色々なお店が閉まっていて、静かなNYです。
Labor dayを境に秋になると言われていて、不思議と毎年この翌日から涼しい風が吹いています。
そんな夏の終わりを惜しむかのように、毎年白熱の試合が繰り広げられているのが、テニスの4大大会の一つにもなっているUS Open。
私は、日本にいた頃、プロのテニスの試合を生で観戦するという習慣がなかったのですが、こちらへ来て、世界レベルの一流選手の試合を目の当たりにしてその楽しさに目覚め、ほぼ毎年のように試合を見に行っています。
2週間に及ぶ大会で、その間に週末はたったの2回。
大会は平日休日問わず、朝から夜まで行われているので、お目当ての選手が休日に試合があるとは限らず、また、試合はトーナメント形式のため、見たい選手が早々に敗退してしまうということもあります。
そのため、良い日程のチケット選びは困難なのですが、今年は日曜日に行ってみることにしました。
会場は、Arthur Ashe(アーサー・アッシュ)と呼ばれるメインコート、Louis Armstrong(ルイス・アームストロング)という名のサブコート、そしてその他多数の小さなコートから成っています。チケットは、メインとサブコートは指定席のみ、その他のコートは、Ground admissionという券で、好きな時間に好きなコートを行ったり来たりできます。
指定席券の魅力は、チケットの値段は高く、それでも豆粒のように小さな選手を見下ろす状態だけれども、超がつくほどの有名選手のプレーを生で見られること。そして、自由席券の魅力は、メインとサブのコートには入れないけれども、前から数列目という間近で緊迫した熱戦が見られること。昨年は、指定席券でメインコートに行ったので、今年は自由席券で、色々なコートを回ってみることにしました。
残念ながら、私が行った日は、錦織選手、伊達選手の試合はなく、世界ランク10位台の選手同士の男子シングルスを観戦。
その後、座席の列が3列しかない、さらに小さなコートで、ジュニアの試合に出ていた日本人選手、福田創楽選手のシングルスの試合を観戦しました。福田選手は、日本を代表するジュニアの選手で、現在は錦織選手と同じアメリカのIMGアカデミーに留学中で、名実ともに、錦織選手の後輩として注目されている選手です。
小さなコートなので、とてもアットホームな雰囲気の中、最前列で試合を観戦。
最前列は、ちょうど選手たちと同じ目線で試合が見られる上、ボールの音や選手のつぶやきまでもが聞こえてきて、ジュニアの試合でも、熱気が伝わってきました。選手は、コートのサイド変更の時に、観客の横をすり抜けてコートへ向かうので、なんと驚くことに、福田選手は私達の前を通って2セット目に向かっていきました。1セット目を惜しくも取られてしまったところだったので、目の前を通った時、思わず「頑張ってください!」と声をかけたのですが、ものすごい集中力で、全く耳に入っていないようでした。そして、残念ながら、途中で両足に痛みが走ってしまい、歩くのもやっとの状態に。休憩のたびに氷で冷やしていたのですが、最後はほとんど動けず、初戦で敗退となってしまいました。
観客席にまで伝わってくる集中力の高さに、きっと観客のことは気づいていないのだろうと思っていたのですが、どうやら私がかけた声はちゃんと届いていたようで、試合後も様子を見守っていると、なんとコートを去る時、私達の前を通り、軽く2,3度おじきをして、帰っていきました。来年は、万全の状態で、ぜひ勝ち進んでほしいと思います。
日本では、US Openは、wowowが放送していて、昨年もwowowの中継ブースを見かけた場所に行ってみると、今年もブースが用意されていて、3人のキャスターが背を向けて並んでいました。
あまりに突然のことで、急いで携帯でwowowのUS Openのキャスターを確認すると、やはりダバディーさんのプロフィールが出てきました。
休憩時間で席を立ったダバディーさんに「ダバディーさん、こんにちは。」と声をかけると、こちらに気づいて、会釈をしてくれました。
その後私が、「サッカーではなくて、今日はテニスですか?」と声をかけると、「そうなんです、ここ10年ぐらいはwowowでUS Openの仕事をしているんです。」といった感じで会話が始まり、今年は錦織選手が勝ち上がっていて楽しみですね、とかNYにはよく来るんですか、なんていう会話を交わしました。「私もNYに住んでみたいですけど、仕事が・・・」、と流暢な日本語で話していたダバディーさんに、「ダバディーさんのように語学が堪能でしたら、NYで何でもできますよ!」と私が返したら、笑顔を向けてくれました。実は、私はダバディーさんの国際感覚、そして高い言語能力に惹かれ、トルシエ監督の通訳時代にダバディーさんが書いた本を2冊ほど持っているのですが、思いがけず、US Openの場で、そのことも直接伝えることができて、大感激の一日でした。
NYといっても、海外は日本人が少ないので、こうした場で、選手やキャスターの方々とちょっとした交流ができるのは、US Openの魅力の一つでもあると思います。US Openは、私の夏の重要な行事として、今後も定着していきそうです。