以前こちらのブログで2回に渡り、NYで世界一の寿司職人を目指して活躍をされている寿司職人ひでさんのことをご紹介しました。
世界一の寿司職人が生まれるまでひでさんの生き方は、いたってシンプル。
とにかくお寿司を握るのが好きで、その好きな道で頂点を極めたいと思い、日々精進してきたそうです。
そして、今ではNYに数あるお寿司屋さんの中で圧倒的にNo.1という人気を確立した牛若丸ののれんを守っています。
ひでさんがお寿司を握りながら話す昔話や信念はどれも面白く、いつも聞き入っています。
その中で印象に残ったのは、「お金を稼ごうと思ったらダメ。日々努力していれば、お金は自然とまわりまわってくるもの。」というひでさんの経営哲学。
お店の経営者であるひでさんにとって、いかにお店が利益を稼ぐかはとても重要なことのように思いますが、ひでさん曰く、そうした皮算用をした時点で、お寿司の品質は落ち、お客さんを失ってしまうそうです。
お客さんに自分が出せる最高のお寿司を味わってほしいというひでさんの思いがふんだんに詰まった牛若丸のお寿司はとにかく豪華。
異国の地で、新鮮なネタを仕入れるのはさぞかし大変なことだと思いますが、ひでさんは自ら日本の水産業者と交渉し、独自ルートでネタを仕入れています。特に驚いたのは、ウニのお寿司。シャリの上にはあふれんばかりのウニがのっていますが、これはほぼ採算度外視で提供しているそうです。良いウニは仕入れ値が高いから、出せば出すほど赤字になってしまうかもしれない、と言いながらも、ひでさんは全くもったいぶることなく、いつも豪快にウニをケースから取り出しています。
また、寿司職人さんとの距離が近いのも牛若丸の特徴です。
私は日本のお寿司屋さんの詳細な事情は分かりませんが、寿司職人さんといえば、きりっとした佇まいで寡黙を貫きながら黙々とお寿司を握っているという印象があります。
それに対してひでさんは、豪快にビールを飲み、お客さんと雑談しながら楽しくお寿司を握っています。
お寿司のネタの話やひでさんのお寿司への思いを聞きながら食べるお寿司は、格段の味わいです。
週6日営業のお店を切り盛りするだけでも大変だと思いますが、おいしいお寿司をもっと広めたいという強い想いから、定休日には若い寿司職人を集めて、ボランティアで講習会も開いているというひでさん。自分のような寿司職人がたくさん出てくれば、お寿司をもっといろんな人に知ってもらえる、との熱い想いから、もう何年も講習会を続けているそうです。
まさに365日、お寿司づくしの人生です。
そして、ひでさんがずっと貫いている信念が、積極的にお店の宣伝をしない、というポリシー。
取材したいという人が来ても断っているそうで、こちらで雑誌等に載ることもなく、またミシュランの星も獲得したことはありません。
お店を宣伝したほうが売上増にもつながりそうですが、外部からの評価にこだわらず、自分が美味しいと思うお寿司を日々握り、それを楽しみにやって来てくれるお客さんを大切にしていきたいというポリシーは、お店がまだ無名だった頃から貫いているそうです。
私はそんなひでさんの寿司職人としての心意気とひでさんが握るお寿司が大好きです。
Ushiwakamaru
136 W Houston St. New York, NY 10012
(Sullivan stとMac Dougal stの間)
日曜休業
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