NYで異文化体験

ダーウィンの進化論とキリスト教

このブログでもたびたび書いてきましたが、アメリカには驚くほど多くのカトリック信者がいて、人により敬虔度は異なりますが、あまり敬虔でない人もキリスト教に基づく年間行事、クリスマスやイースターにはきちんと参加しています。
クリスマスについてはイメージが湧いても、イースターについて無知だった私は、イースター前40日間のfeastについて(詳細は、ピザが売れる金曜日からどうぞ)、またAsh Wednesday(過去記事おでこに十字架をご参照ください)についても、アメリカに渡ってしばらくしてから知りました。アメリカの地理については中学生のときに勉強しましたが、こうしたことは全く習ったことがなかったので、当初とても驚きましたが、どうやらアメリカ人にとっては、知らない人がいることすら想像できないぐらい常識的なことだったようです!

私のお気に入りのケーキ屋さんFinancierのイースターエッグ。アメリカなので、誰が食べるのだろう、と思うような大きさです

大晦日には除夜の鐘を聞き、新年になると神社やお寺にお参りし、といった神仏習合の輪の中にいながら、クリスマスもお祝いするという面白い国日本。自分の家が仏教の中のどの宗派に属するかも皆あまり気にしないし、自国の宗教はおろか他国の宗教についても深く思いを巡らせることがないのが日本の特徴だと思いますが、海外では、キリスト教の中でも厳密な区別がされていて、アメリカ人に「Are you Christian?」と聞いたりすると、「No, I'm Catholic.」という答えが普通に返ってきます。そんな時、カトリックだってキリスト教の一種なのに、と思っていましたが、どうやら彼らの中では、キリスト教の中にも、カトリックやプロテスタント、ギリシア正教といった細かい区分けがあり、どの宗派に属するかにより、宗教事のお祝いの方法にも大きな差が出てくるようです。

ところで、NYに2度目や3度目の観光で来る友人にNYのおすすめ観光スポットを聞かれた時、私はいつもハーレムのゴスペルツアーを挙げています。私自身、2度目のNY旅行で日曜日の朝、ハーレムの地元の人たちが集う教会の礼拝に参加して聞いたゴスペルの感激は今でもはっきり覚えています。ゴスペル聖歌隊は皆、その教会に属している一般の人。それにも関わらず、プロ顔負けの声量で、教会全体が大きく揺れ動くような感触を感じました。そんな体験を味わえる場所はなかなかないし、また、NYで生活する人の日常が垣間見れる貴重な機会でもあるので、早起きしてぜひNY滞在中の予定に組み込みたいです。(そして、ハーレム散策のあとはこちらにお立ち寄りを。もうすぐなくなるかも、という話は昔からあがっているので、確認の上行かれることをおすすめします。)

そんなゴスペルの世界は、私にとっては、映画「天使にラブソングを」のような非日常空間だったのですが、そんな世界を「日常」としている人たちもいます。
以前、敬虔なクリスチャン(彼の所属は大雑把な括りでいうとバプティスト)の同僚と話していたときに、「ハーレムに観光で行って、ゴスペル聞いたりしたことあるんだ。」と話したら、「えっ、観光でゴスペル?!」と突然大笑いされて、「うん、そうだよ。だってゴスペル聞ける機会なんてめったにないし面白い体験だよ。」と話したら、「それって、僕の日常なんだけど!!」と言われて、お互いにビックリ!

ゴスペルのような教会音楽はバプティストと呼ばれるキリスト教の宗派の人たちが、毎週日曜日に教会で聞いたり歌ったりするもので、彼らにとっては、何も目新らしいことではなかったのです。

そんな敬虔なバプティストの同僚は、ある時真剣な顔で「世の中には色々な考え方があって、学校でもそうした多様な考え方を教えるべきなのに、ダーウィンの進化論だけが正として教えられるのはおかしい」と論じていました。
キリスト教の人からすると、世の中の生き物は神によって創られたものであるので、進化論のような考え方は断固として受け入れられないようです。
宗教観の薄い日本で生まれ育った私にとって、ダーウィンの進化論はごくごく自然の摂理で、そういった科学的に証明されたものにこの現代社会で疑問を唱える人がいることにただただ驚きました。しかし、きちんと学校教育を受けて大学まで出ていても、敬虔なクリスチャンの人の中には、ダーウィンの進化論を認められないという人がいるのは、価値観の多様性を示していると思います。

所変われば色々と考え方も異なりますが、この出来事は、何年経っても色褪せない驚きの体験の一つとして私の中に残っています。


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