この気持ちは、どう表現したら良いのでしょうか。未だに適切な言葉が見つかりません。
東京で働いていた頃熱心に取り組んでいたマラソンに例えるならば、何キロのレースか分からないマラソン大会に参加し、どうやったらゴールが見えてくるのか必死に考え、時には道を間違えてしまって急いで軌道修正し、沿道の応援に元気をもらいながら、ひたすらゴールを目指して走り続け、ようやくゴールのラインを踏んだ、そんな状況かもしれません。ゴールにたどり着いた嬉しさよりも、やっとゴールに到着した安堵感の方が大きいです。
ニューヨークの象徴。初めてのニューヨーク旅行では、上までひたすら階段で登りました。
大学1年生の時に初めてニューヨークに恋をし、この街に住みたいと思ってから足掛け19年。そして、この街に移住してから9年ちょっと。ニューヨークに移るにあたっての唯一とも言える目標にしていたグリーンカードの取得までの長い長いマラソンが、ようやく終わりました。
グリーンカードは、永住権。アメリカに長期で住みたい人にとっては不可欠です。グリーンカードでないビザの身の時には、ビザスポンサーになってくれる会社でしか働けないので仕事の選択肢も大幅に狭まってしまうし、ビザスポンサーをしてくれる雇用主の言いなりで馬車馬のように働かないといけなかったりと、不都合は多いです。
自由の国アメリカにいるはずなのに、実は片足は鎖で繋がれていて、一定の範囲までしか身動きが取れない状況なのです。
グリーンカード取得の方法は様々。自力で取るとしたら仕事を通じて取るのが一般的ですが、タイミング良くアメリカ人と結婚して取れる場合もあれば、偽装結婚をして取る人、日本人であればありえませんが、難民申請をして取るなど、その方法は何通りもあり、人によって取れるまでにかかる年数も異なってきます。
こうすれば絶対に取れるというマニュアルのない世界で、自分で自分用の「グリーンカード取得マニュアル」を書き換えながら過ごした9年間でした。
ニューヨークに住み始めて最初の数年間の貧乏時代によく通っていたカフェに久しぶりに来てみました。オシャレ度は流行りのカフェより劣るけれど、手頃な値段で割と美味しいです。
グリーンカードと一緒に届いた小さなチラシには、"Welcome to the United States"🇺🇸と書かれていました。私、もう9年前も前からアメリカにいるけれど、と思ったけれど、アメリカにとっては、ビザで住んでいる人はどんなに長いこと住んでいても、あくまで、一時的な滞在者。永住権を得た人こそが、正式な住民なのでしょう。移民への風当たりが強いトランプ政権下で届いたグリーンカード。American dreamの言葉通り、夢は諦めずに努力すれば叶うことを、アメリカは教えてくれました。
私は本が好きなので、本に例えると、この9年間は、まだ、ニューヨーク生活の前書き。やっと第1章に踏み出すことができました。
この旅は第何章まで続くのでしょうか。まずは、第1章の目標を立て、気持ちを新たに走り始めたいと思います。