ニューヨーク生活で、日本に比べてはるかに不便なことといえば、在住日本人ニューヨーカーは口をそろえて、「日本食のある生活」と言うことでしょう。
渡米前、家の近所にスーパーやコンビニがあり、必要な食材調達に困ったことがなかったので、こんな当たり前のことが異国の地では大変なことになるとは想像もしませんでした。
マンハッタンには、日本人経営の日本食屋さんも増えていますが、大戸屋のランチが3千円もするような土地なので、ちょっとおいしいお寿司を食べに行ったりしても、1万5千円はゆうに超えてしまうので、そうそう外食に頼ってもいられません。
当然ですが、マンハッタンの主流は、アメリカのスーパー。しかし、ここには、私達が欲しい日本の食材はありません。
キッコーマンの小さなお醤油も売っていますが、完全に英語のラベルでアメリカ人向けのお醤油と、日系スーパーに売っている日本から輸入されたお醤油とでは、もちろん味は異なります。
また、アメリカのスーパーでは、日本の野菜(例えば、ごぼう、大根、しめじ)は間違いなく取り扱っていません。
そのため、和食を作ろうと思ったら、日系スーパーにお世話になることになります。
日系スーパーは、NYにいくつかありますが、マンハッタンのような日本人が多い場所でも、なんと全部で7店舗しかありません。
Sunrise martとDainobuと呼ばれるスーパーが、それぞれ3店舗ずつ出店しているほか、片桐というマンハッタン1老舗のスーパーがあります。
ミッドタウンイーストのDainobu。
しかし、どのお店にも共通した特徴は、
・日本のスーパーとコンビニの間のような雰囲気(NYにはコンビニという業態がないので、日系スーパーは、コンビニの機能も果たす必要があります。)
・狭い店舗に商品がひしめき合っている(家賃の高いマンハッタン。色々物を売ろうとした場合、店舗を拡張するのではなく、棚にぎゅうぎゅうに商品を並べているのです。そのため、どこに何が置いてあるか熟知しているほどによく行くスーパーでも、いつも通っていた棚に見慣れない商品を発見したことは、一度や二度ではありません。)
・売っている商品は、とにかく多岐に渡る(日本のお惣菜、乾物、調味料、お菓子、薬といった日本から輸入したものもあれば、現地の工場で作っている和菓子や、店舗で作っているお弁当、ヤクルトや日本のビールといった現地生産の商品もあります。)
・冷凍ものが多い(スーパーによっては、お肉やお魚は全て冷凍です。いくらやたらこもかちかちに凍っている他、生焼きそばのようなものまで冷凍庫に入っています。生でないのは残念ですが、品質を保つために仕方がないのでしょう。)
・値段は日本の2倍以上!(どんな物でもとにかく高いです。日本一時帰国の際はいつも、スーパーに並ぶ商品の安さに驚いています。)
・不思議なことに、日本から輸入された商品で、賞味期限が書いていないものがある(NYで何度か食中毒になっている私は、どんなに良さそうなものでも、賞味期限が書いていないものは買わないようにしています。)
・日本からの輸入品は、貿易のための英語のラベルが貼られている(肝心の生産地や原材料が日本語で書いてある箇所にラベルが貼られてしまっているのは、少しやっかいです。ラベルを透かして下に書いてある内容を読み取ったりしています。)
商品がひしめき合う店内。
こんな感じの日系スーパーですが、日本の食材が手に入るのはとにかくありがたく、私は週に何度も足を運んでいます。
店内は、NY在住日本人の他、日本食好きのニューヨーカーも訪れます。
ただ、ちょっと分かりにくい場所にあったり、一等地にあっても入り口が見づらかったりするので、こうしたスーパーにいるニューヨーカーは、それなりの日本通や日本食好きの人たちではないかと思います。
お弁当を探す警官。
今までも、これからも、自分の住まいは日系スーパーの近く、と決めているほどに、私のニューヨーク生活にとって、日系スーパーはなくてはならない存在です。