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さあこれからどうなる?アメリカのWFH事情

2020年3月、アメリカ全土でのコロナウイルス拡大で、オフィスワーカーたちは一斉に在宅勤務(いわゆるwork from home (WFH))となりました。その後の状況は会社によって様々で、現在の状況は、オフィスワーカーが完全に職場に戻っている状態、まだ全く戻っていない状態、その中間(週に数日だけ出社しその他の日は在宅勤務という、Hybrid style)となっています。

ミッドタウンのビルの屋上から望んだ摩天楼。右にそびえるひときわ高いビルは、奥がBank of Americaの本社ビル、手前がクライスラービル。

 

そんな状態から早1年半。このWFH議論はその賛否、いつから元の状態に戻すのか、それとも戻さないのかなど、これまでの間に多くのメディアが報じてきて、会社の経営陣たちも何が従業員にとって、そして、会社にとって良い選択なのか、頭を悩ませているように思います。
今回は、そんなアメリカの現在のWFH事情とそれを取り巻く議論について考えてみたいと思います。

まず最初に、パンデミック以前のアメリカでの在宅勤務ですが、どんなことがあっても出社しなければいけないという日本の会社と異なり、アメリカでは在宅勤務は色々な場合に認められていました。

日本の感覚からすると驚く人も多いかもしれませんが、例えば、なんらかの事情(大雪や大雨など)で子供の学校が突然休講になりベビーシッターが見つからないため自分が家にいないといけない場合、家に大きな荷物の配達がある場合(アメリカでは時間指定の配達という概念がないため、配達日の連絡はありますが、その日の間のいつ配達が行われるかが全く分かりません。ドアマンがいないビルの場合、誰かが在宅して受け取らないといけないのです)、日中家の近所でお医者さんの予約がある場合(通勤時間がある程度かかる場合出社する時間を節約するため)に、もともと在宅勤務は許容されていました。

在宅勤務となると、100%仕事に専念できる状況でないことは上司も承知ですが、仕事とプライベートのバランスを重視するアメリカでは、こうした日本では在宅勤務の理由として考えられないようなことも、正当な理由として受け入れられていました。

しかし、在宅勤務が毎日続くと状況は異なってきます。
パンデミックの間は従業員の健康最優先で、在宅勤務以外はあり得ないという風潮でしたが、これだけパンデミックが長引いていると、会社も在宅勤務の非効率性やその弊害など(社員が100%仕事に専念できる状況にないこと、チームワークを必要とするような仕事がはかどらないこと)、様々なことを考えるようになってきました。

その結果、オフィスへの完全復帰を義務化する会社が出てくる一方で、会計監査やコンサルの大手PwCは、アメリカの従業員の永久的な在宅勤務を認めることを発表し、会社によりその対応は真っ二つに分かれています。

マスク着用を促す地下鉄内のポスター。「マスクは意見と同じで、全ての人が持つべきものです。」と書かれたこの広告。特に個人の意見を持つことの重要性がない日本の社会からすると、少しびっくりするような文言ですが、アメリカでは、意見がないことは美徳ではなく、逆におかしな現象と捉えられていることが、このポスターからもうかがえると思います。

 

そして、WFHの是非に関して社員の反応も様々です。

インターネット環境さえ整っていればどこでも働けるオフィスワーカーはこうした議論ができますが、レストラン関係者、工事現場やアマゾンの配達員、お医者さん、地下鉄やバス、タクシー業界で働く方々など、こうした議論さえできず、デルタ変異種など心配な状況の中でも出社しなければいけない人が多くいることが事実で、こうした方々の働きがあって社会が成り立っていることも忘れてはいけません。

従業員から見たWFHについては、また別の記事で書いてみたいと思います。

だいぶ人が戻ってきたものの、オフィスワーカーはまだまだ少ないタイムズスクエア。

 


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