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NYでの賃貸アパート探しで知っておきたいこと

パンデミックをきっかけにNYの人口流出が続き、統計局のデータによると2020年から90万人近くもの人がNYを離れたそうです。一方で、空前の高い金利が続く中で住宅ローンを組むことを躊躇し、NYでは購入よりも賃貸を好む人が増えていることから、NY市のアパートの家賃は過去最高とも言えるほどに高い水準となっています。

先日、知人がオフィスを整理していたら過去の書類がいろいろ出てきたそうですが、その記録によると、この20年でマンハッタンの家賃は4倍ぐらいになっていると聞き、驚きました。NYのアパートの値段は需要と供給の法則が如実に反映されていて、どんなに高くても借りる人がいることから、パンデミックが明けて以来、異常な状態が続いています。

私が大好きなエリアの一つ、フラットアイアン地区。マディソンスクエアパークは市民の憩いの場

 

私は2009年の渡米以来、なぜか引っ越しが多いNY生活で、今の物件は7軒目。それぞれの引っ越しにはライフスタイルの変化など理由があるのですが、これだけ引っ越しをしていると自然とNYでの引っ越しのコツがつかめてきました。今日はNYでの賃貸アパート探しの際に知っておきたいNYのアパート事情について、3つのポイントをご紹介したいと思います。

NYのアパートの種類
まず最初に知っておきたいのは、NY市のアパートの種類について。NYのアパートは、物件の個人オーナーから直接借りるケース、コンドミニアムと呼ばれる日本のタワマンのようなケース、Coop(コープ)と呼ばれる形態に大別されます。市場に出回っている多くの物件は後者2つのケースが多いかもしれません。

比較的新しい超高層のマンションであるコンドミニアムは、マネージメント会社が管理をしていて、賃貸はマネージメント会社を通じて行います。

一方で、NYに多いのがCoopという独特の形態です。Coopは会社のようなしくみで、物件の所有者それぞれがCoopの1株ずつを有していて、建物に関する重要事項は投票で選ばれたCoopの役員会のメンバーで決められます。さらに、特に重要な事項(例えばCoopの役員会のメンバーの選任など)については、株主総会のようなスタイルで、Coopの物件の所有者全員による投票が行われます。

マンハッタンの街を歩いていてよく見かける古い歴史ある建物の多くはCoopです。なぜこのような形態がとられているかというと、入居者(賃貸、購入ともに)を住人達で選ぶためです。Coopの役員会で入居希望者を審査し、Coopが認めた人しか入居できないようにしているのです。お金があるから入居できるというわけではないのがCoopの難しいところ。あまりに有名人が入居したらパパラッチが来るようになって静かな生活ができないとして、マドンナがアッパーイーストのCoopの入居を断られたのは有名な話です。比較的手ごろなCoopは書類審査だけで済みますが、アッパーイーストにあるような格式高いCoopでは面接があります。

私が以前借りたCoopは、かなり庶民派向けのCoopだったのにzoomでの面接があり、ブローカーの方もびっくりしていました(その時の様子は、こちらの過去記事をご覧ください)。CoopはCoopそれぞれで独自の運営がなされていることから、書類審査だけであっても時間がかかりがちな印象です(以前借りたCoopは担当者が夏休みで不在だったため、審査に2週間以上かかりました)ので、注意が必要です。

日本の常識はNYでは常識とならない?!
次に知っておきたいのは、部屋に洗濯機と乾燥機が必ずあると思ってはいけない、ということです。

日本であれば、洗濯機や乾燥機が自宅にない、ということは考えにくい状況かもしれませんが、NYには古い建物が多く、排水設備が整っていないという理由から、部屋の中に洗濯機や乾燥機を置くことを禁じている物件も多いです。また、日本のタワマンのようなおしゃれなコンドミニアムでも、建物の地下に共有の洗濯機と乾燥機が置かれた部屋があり、それぞれの部屋には洗濯機と乾燥機がないケースも少なくありません。

私が過去に住んだアパートのいくつかは小さな建物だったため、建物内にすら洗濯機と乾燥機がなく、数ブロック離れたコインランドリーまで洗濯に行かなければいけない状況でした。

また、NYの洗濯機と乾燥機はなぜか日本のように進化したスタイルではなく、洗濯機と乾燥機が別々なので面倒です。たった一度の洗濯のために、自宅とコインランドリーを最大3往復(洗濯、洗濯機から乾燥機への移動、乾燥された洗濯物のピックアップ)しなければいけません。それが面倒な人のために、コインランドリー内には椅子がいくつか置いてあり、終わるまで読書などしながら待つこともできますが、私はコインランドリーの薄汚れた雰囲気がどうも好きにはなれなくて、いつも近所で買い物などして時間をつぶしたり、自宅に戻ったりしていました。

NYの典型的なコインランドリー。移民が経営している代表的なビジネスの一つ

アパート探しで迷わない秘訣
最後にアパート探しで重要なことは、NYには自分の理想をすべて満たすアパートは存在しないということを事前に知っておく、ということです。

毎日の生活の拠点となる場所なので、快適な暮らしを望むのは当然のことですが、残念ながら、これだけ家賃が高騰した状況の中で、限られた予算の中で自分の希望をすべて叶えてくれる物件は絶対にありません。そのため、アパート探しの前に、妥協できる点、また、絶対に譲れない点を明確にしておくことが大切です。こうすることで、候補の物件を絞りやすくなるからです。

私はもともと何事もけっこう決断が早いほうですが、妥協できる点とそうでない点を明確にしていたことで、NYでのアパート探しで迷いが少なかったかもしれません。

次回は過去の私のアパート探しでの条件をご紹介しながら、NYのアパート探しの際の条件リストの作り方についてまとめてみたいと思います。


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